熊野市立図書館

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Japanese Map symbol (Library) w.svg 熊野市立図書館
Kumano City Cultural Exchange Center.jpg
熊野市駅側入り口(2016年5月)
施設情報
正式名称 熊野市立図書館
専門分野 総合
事業主体 熊野市
管理運営 熊野市
延床面積 1387.77 m2
開館 1958年(昭和33年)[1]
所在地 519-4324
三重県熊野市井戸町643番地2
熊野市文化交流センター内
位置 北緯33度53分20.3秒 東経136度5分55.2秒 / 北緯33.888972度 東経136.098667度 / 33.888972; 136.098667
ISIL JP-1002027
統計・組織情報
蔵書数 140,416冊(2015年3月31日[3]時点)
貸出数 145,938冊(2014年度[3]
年運営費 44,000千円(2011年予算[4]
条例 熊野市立図書館条例(平成21年9月18日熊野市条例第17号)
館長 山門俊彦(2016年7月現在[2]
公式サイト 熊野市立図書館
プロジェクト:GLAM - プロジェクト:図書館
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熊野市立図書館(くまのしりつとしょかん)は、三重県熊野市井戸町にある公立図書館JR熊野市駅前の熊野市文化交流センター内にある[5]建物2009年(平成21年)に完成し、図書館としては三重県で最も新しい施設である[6]

地元産の木材を用いた開放感のある図書館であり、児童書のコーナーや貴重書を含む松岡文庫に特色がある[6]

歴史[編集]

公民館・文化会館時代(1958-2009)[編集]

1958年(昭和33年)、木本公会堂の一角に「熊野市中央公民館図書部」として開設された[1]。同年12月27日には三重県立図書館熊野分館が併設された[7]。この時の蔵書は、県立図書館からの委託図書と市民からの寄贈書を合わせて1,304冊にすぎなかった[1]1964年(昭和39年)3月に県立図書館熊野分館は閉館し[7]、熊野市中央公民館図書部の単独に戻った[1]

1972年(昭和47年)1月に熊野市民文化会館が新築開館し、その一室を図書館に充て、熊野市立図書館に改称した[1]。図書館には専任職員が1名配置され、熊野市文化協会と協力して市民に図書の寄贈を呼びかけると同時に、紀南小・中学校図書館教育研究会の助力を得て蔵書の整理を行い、図書館としての体裁を整えた[1]。翌1973年(昭和48年)から貸出業務を開始した[1]。同年、三重県図書館協会に加盟している[1]1980年(昭和55年)時点の蔵書数は10,766冊に増え、利用者は学生を中心に年間約6,000人の利用があった[1]。蔵書は寄贈書に負う部分も多く、「霞城俳句文庫」などと命名して他の図書とは別の棚に配架していた[1]

2009年(平成21年)8月4日に新館への移転準備のため図書の貸し出しを停止し、8月5日から8月15日までは図書の返却業務や新聞などの閲覧に絞って図書館サービスの提供を続け、8月16日に一旦閉館となった[8]

文化交流センター時代(2009-)[編集]

2009年(平成21年)10月3日、熊野市立図書館を中核施設とする熊野市文化交流センターが熊野市駅前に開館した[5]。当日は開館記念イベントとして六方行列などの伝統芸能の披露や熊野市ゆかりのフルート奏者によるコンサート裏千家野点が行われた[5]。文化交流センターは図書館のほか小ホールや研修室も備えた複合施設で、1か月あたりの利用者数は旧館時代の3倍に増加した[9]。この時点の蔵書は旧図書館から引き継いだ約4万冊で、将来的には18万冊(うち開架図書は9万冊)とすることを目標に掲げた[5]

2011年(平成23年)10月6日には、熊野市波田須町を拠点に活動するシンセサイザー奏者の矢吹紫帆が同年の台風12号の被災者を励まそうと無料コンサートを開催した[10]。同年10月、旧熊野市の初代市長を務めた小林清栄の親族から、小林らが撮影し吉野熊野国立公園の指定申請の際に提出した1931年(昭和6年)から1935年(昭和10年)までの紀伊半島の写真87点が図書館に寄贈された[11]。これらの写真は2012年(平成24年)5月10日から5月13日まで館内で写真展の形で一般公開された[11]2013年(平成25年)2月には熊野市出身で土方歳三や開拓時代の北海道を撮影した写真家田本研造に関する企画展を三重県立熊野古道センターの協力の下で開催[12]、同年10月15日から10月19日には市民団体が収集した矢ノ川峠に関する資料のパネル展示が開催された[13]

2016年(平成28年)6月には図書館ボランティア活動報告展示会として、熊野市立図書館で読み聞かせや書架の整頓、本の修繕などを担当する約30人の活動について館内で展示を開催した[14]。目玉展示として「かわいそうな本たち」コーナーを開設し、一部の心無い利用者によって落書きや切り込みを入れられた図書約20冊の展示を通して、図書館資料を大切にするよう呼びかけが成された[14]

熊野市文化交流センター[編集]

2009年(平成21年)10月開館[6]。2階建ての施設で、1階は図書館や交流ホールなどの複合施設、2階は図書館機能のみとなっている[15]。熊野産のヒノキ材をふんだんに用いた天井の高い施設で、太陽光を取り込めるように設計されている[6]。センター内のベンチのデザインは名古屋学芸大学メディア造形学部デザイン学科の学生が手掛けた[16]

1階には熊野市立図書館、演奏会や落語会などが開かれる「交流ホール」、展示会や映像の上映ができる簡易展示スペース「クマノミチ」と「ホワイエ」のほか多目的ルームと2室の研修室がある[5]

図書館の構造[編集]

図書館は熊野市文化交流センターの1階と2階に設置されており、1階に一般ゾーンと児童ゾーンなど、2階に松岡文庫などの貴重書収蔵室を配置している[6]。館内には140席の閲覧席があり、窓辺のカウンター席や屋外のテーブル席など来館者の好みに応じて読書をする場所が選べるようになっている[6]

児童ゾーンは、子供専用のパーソナルコンピュータトイレを設置し、授乳室も整備するなど乳幼児から児童までの子供が使いやすくなっている[6]。また子供らが興味を惹きやすいように本棚を迷路状に配置したり、本の表紙が見えるように配架したりしている[6]

松岡文庫は熊野市に居住していた松岡喜代志(故人)が収集した図書群で、日本史を中心とした6,000冊超のコレクションである[6]。現在では入手困難な図書を含み、研究資料として重要である[6]

利用案内[編集]

  • 所在地:三重県熊野市井戸町643番地2 熊野市文化交流センター内
  • 開館時間:10時から19時まで
  • 休館日:月曜日、特別整理期間、年末年始
  • 貸出制限:住所要件はない[18]。ただし貸出冊数に熊野市在住者と市外在住者で差が設けられている[18]
  • 貸出可能点数:図書雑誌:10冊(ただし市外在住者は5冊)
  • 貸出可能期間:2週間
  • 予約、リクエスト可能。
  • 自動貸出機あり。

特色[編集]

熊野市駅に隣接しているため、熊野市内外から利用者が訪れており、特に休日熊野古道を訪れるリュックを背負った観光客の姿が多く見られる[6]。図書にはICタグが付され、自動貸出機を設置するなど、最新設備を導入している[5]

図書の収集に当たっては、熊野市の郷土資料、イタリア神話防災に関する資料を重視している[18]。イタリアに関する資料を収集しているのは、同国のソレント市と熊野市が姉妹都市提携しているからであり、ソレント市から寄贈された図書も所蔵している[19]

2016年(平成28年)4月に館長に就任した山門俊彦は元中学校の理科教員であり、自身で収集・制作した昆虫標本を15ケース保有している[2]。同年8月に図書館で開催した「むしてん」では自身の標本を展示したほか、昆虫に関する本の展示や標本教室を主催した[2]

脚注[編集]

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  1. ^ a b c d e f g h i j 熊野市史編纂委員会 編 1983, p. 855.
  2. ^ a b c 福永保典 (2016年7月28日). “昆虫標本を企画展に出品 熊野市立図書館で6日から”. 中日新聞. 2016年10月24日閲覧。 “Internet Archiveによる2016年7月28日時点のアーカイブページ。”
  3. ^ a b 201.公共図書館”. 平成28年刊 三重県統計書. 三重県戦略企画部統計課分析・情報班 (2016年). 2016年10月24日閲覧。
  4. ^ 県内14市の図書館状況”. 伊賀市. 2016年10月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年10月24日閲覧。
  5. ^ a b c d e f 10/3 JR熊野市駅前に熊野市文化交流センターがオープンします”. 東紀州ほっとネット くまどこ. 東紀州ITコミュニティ (2009年10月3日). 2016年10月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年10月24日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h i j k 松上 2011, p. 7.
  7. ^ a b 三重県総合教育センター 編 1982, p. 1033.
  8. ^ 「新館へ移転準備 貸出を停止 熊野市立図書館」中日新聞2009年8月5日付朝刊、くろしお版16ページ
  9. ^ 小若理恵「図書館 気軽にゆったり そばにカフェや公園■長い開館時間…」朝日新聞2010年3月6日付朝刊、熊野版30ページ
  10. ^ 百合草健二"台風被災者に「音楽で勇気を」 シンセ奏者・矢吹さん、熊野で来月6日 新譜の講演、急きょ無料で"朝日新聞2011年9月27日付朝刊、三重版23ページ
  11. ^ a b 「吉野熊野80年前を見て 国立公園申請で撮影の写真展示」朝日新聞2012年5月10日付朝刊、熊野版35ページ
  12. ^ 百合草健二「幕末の動乱期 土方撮った 熊野出身、北海道へ 写真家・田本研造 開拓の記録、故郷で記録展」朝日新聞2013年2月4日付朝刊、三重版23ページ
  13. ^ 「尾鷲と熊野結ぶ道の歴史たどる 国鉄バス通った矢ノ川峠/国道42号 来月19日、熊野でシンポ」朝日新聞2013年9月10日付朝刊、三重版28ページ
  14. ^ a b 福永保典「傷ついた本を展示 熊野市立図書館 修理の写真も」中日新聞2016年6月15日付朝刊、くろしお版16ページ
  15. ^ 施設案内”. 熊野市文化交流センター. 2016年10月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年10月25日閲覧。
  16. ^ 「熊野市と名学芸大協定」朝日新聞2015年6月5日付朝刊、三重版29ページ
  17. ^ 利用案内”. 熊野市立図書館. 2016年10月24日閲覧。
  18. ^ a b c d e 県内の市町立図書館・図書室紹介/熊野市立図書館”. 三重県立図書館. 2016年10月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年10月24日閲覧。
  19. ^ 図書館で知るイタリア ソレント市寄贈本など100冊紹介 熊野”. 毎日新聞(伊賀版) (2016年7月5日). 2016年10月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年10月24日閲覧。

参考文献[編集]

  • 松上由貴子「今、図書館がおもしろい。」『すばらしきみえ』第161号、百五銀行経営企画部広報CSR課、2011年4月15日、 1-12頁。
  • 『熊野市史 中巻』熊野市史編纂委員会 編、熊野市、1983年3月31日、1377頁。全国書誌番号:88024262
  • 『三重県教育史 第三巻』三重県総合教育センター 編、三重県教育委員会、1982年3月30日、1107頁。全国書誌番号:84050499

関連項目[編集]