白鳥ドレス

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白鳥ドレス
デザイナー マラヤン・ペジョスキー
2001年 (2001)
種類 白いドレス

白鳥ドレスアイスランドのアーティストであるビョークが、2001年3月25日の第73回アカデミー賞授賞式で着用した、白鳥に似せた 極めて特徴的な白いドレスである。2008年にデイリー・テレグラフが刊行したデベナムズの投票では、史上最も影響力のあるレッドカーペットのドレスランキング第九位に選ばれている[1]。ビョークの白鳥ドレスは2014年春のパリ・コレクションのショーでヴァレンティノによって再び取り上げられ、ファッション系のブログやソーシャルメディアで賞賛を受けた[2]


デザイン[編集]

"アカデミー賞に行った時、これがたぶん最初で最後の機会になるだろうとよくわかってたんです。それでほんと、豊穣さに関係あるようなエネルギーを投入しなきゃと思って、卵を持っていこうと思ったんです。

あまりハリウッド映画は見ないし、アイスランド出身なんで、そんなとこに行くなんて相当珍しいでしょ。ハリウッド映画といえばバズビー・バークレイのミュージカルばかり見てるし...あの泳いでばっかりの映画はなんでしたっけ?エスター・ウィリアムズみたいなやつですね。そういうわけで白鳥を着るのがすごくいいかなと思ったんです。もうそういう感じのことってハリウッドではしてないみたいじゃない?でもバズビー・バークレイとかそういうエレガンスに敬意を表したつもりだったんです。

"
— ビョークとCDNowのインタビュー [3]

マケドニアのデザイナー、マラヤン・ペジョスキーがデザインしたこのドレスは白鳥のような見た目で、授賞式でビョークはレッドカーペットで産卵するまねをした[4]。エマニュエル・レヴィによると、これは「巨大な白鳥ドレスなのだが、首をまわしてビョークにからみつき、頭とくちばしを着ている当人の胸で休ませている大きな白鳥に覆われた全身タイツ」であった[5]。ビョークはドライクリーニングができない場合を考えてドレスを二着作ってもらった [6]。のちにビョークは2001年のアルバム『ヴェスパタイン』のカバーでこのドレスを着ており、ヴェスパタイン・ワールド・ツアーで何度も似たようなドレスを着ていた。

評判[編集]

ドレスはこの式典の後何週間か、ファッションやエンタテイメント業界で話題になった。様々な人々から批判され、常軌を逸していて奇抜だと言われ、「その年の失敗ファッションになった」服だと見なされた[5][7]。ただの宣伝行為とは思えないくらい奇っ怪だと見る人もおり、これはビョークも認めている[8]。スティーヴン・コジョカルはこのドレスは「たぶん今までみた一番まぬけなもの」だと述べた[9]ジョーン・リバーズは「あとでビョークがお手洗いの床に紙を広げてるのを見たんだけど、この子難民保護施設に連れてくべきだと思った」と言った[9]。しかしながら、独創性についてドレスが褒められたこともあった。『ニュー・ヨーク・オブザーヴァー』の評決は「総体としては好きだ」というものであったし、メリッサ・エスリッジもドレスを褒めたということだった[9]

メディアの誇大宣伝に応えて、ビョークは「ただのドレスですよ」と言った[9]。「どうして自分が白鳥に執着しているのかわかりませんが、前にも言ったけど新しいアルバムについては何もかも冬についてで、白くて、冬の鳥みたいな感じなんです。どう見てもすごくロマンティックでしょ、一夫一婦制で。たぶんど真ん中に入り込みすぎてうまく話せないんですが、何かに執着すると五年後くらいにやっと説明がでいるんです。でも最中にはなぜはまってるのか正確にはわからないんですよね。今は白鳥はいろんなものを表してるみたいな感じなんです」というコメントであった[10]

メディアの取り上げ方[編集]

エレン・デジェネレスはのちに第53回のプライムタイムエミー賞でこのドレスをまねた[10][11]。ケヴィン・ジェームズは第29回ピープルズ・チョイス賞でこのドレスの一種を着用した。2007年には、過去のアカデミー賞レッドカーペットでおなじみのドレスを紹介する一環としてこのドレスをその年のオスカー・ファッション・ショーに登場させてはどうかという提案が出たが、アカデミー賞のプロデューサであるローラ・ジスキンによると、ビョークのチームはドレスの登場を許可しなかった[12]

2006年、第78回アカデミー賞において、ホストのジョン・スチュワートディック・チェイニーの狩猟中の誤射事件にひっかけて「ビョークは来られません...オスカー用ドレスを試着してたらディック・チェイニーに撃たれましてね」と述べた。

このドレスは2004年のコメディ映画『最凶女装計画』や2005年のコメディ映画My Big Fat Independent Movie、『Oops!フェアリーペアレンツ』や『シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ』の一エピソードでパロディにされた。『ハンナ・モンタナ』ではヒロインのハンナがガラでこのドレスを着ているところが見える。『サニーwithチャンス』の一エピソードでも、登場人物が授賞式にこのドレスを着ていくパロディがあった。『マッドTV!』のコントでも、アレックス・ボースタイン演じるスワン夫人という名前の登場人物がビョークと同じドレスを着けてデートに出かけるというパロディがあった[13]。このドレスはネリー・ファータドの"Bajo otra luz"のビデオクリップにも登場し、ネリーがこのドレスと同じものを着て踊っている。コメディアニメ『アーチャー』(Archer)の第三シーズンのエピソード「スペース・レース」(Space Race)では、シェリルがビョークのドレスに非常によく似た服を着ている。

脚注[編集]

  1. ^ Urmee Khan (2008年10月9日). “Liz Hurley 'safety pin' dress voted the greatest dress”. The Telegraph. 2011年5月1日閲覧。
  2. ^ Joanna Douglas (2014年1月24日). “Valentino Reimagines Björk's Infamous Swan Dress. Who's Laughing Now?”. Fashion Week. Yahoo! Shine. 2014年12月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年2月12日閲覧。
  3. ^ Bitzer, John (August 15, 2001). “Bjork's Newest Vision”. CDNow. 2001年8月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年8月21日閲覧。
  4. ^ Barsanti, Chris (16 December 2010). “Dancer in the Dark”. Filmology. Adams Media. p. 84. ISBN 978-1-4405-0753-3. http://books.google.com/books?id=ZPW4VhjQ0iIC&pg=PA84 2011年5月15日閲覧。 
  5. ^ a b Levy, Emanuel (14 January 2003). All about Oscar: the history and politics of the Academy Awards. Continuum International Publishing Group. p. 24. ISBN 978-0-8264-1452-6. http://books.google.com/books?id=dH2Lb_YhIhAC&pg=PA24 2011年5月15日閲覧。 
  6. ^ Vanity fair. Condé Nast Publications. (June 2007). http://books.google.com/books?id=e4g7AQAAIAAJ 2011年5月15日閲覧。 
  7. ^ Beller, Thomas (October 2001). “Into the Light”. SPIN (SPIN Media LLC) 7 (2): 85–86. ISSN 0886-3032. http://books.google.com/books?id=XBJLecfe-rcC&lpg=PA86&pg=PA85#v=onepage&q&f=false 2011年5月15日閲覧。. 
  8. ^ New York. 38. New York Magazine Co. (2005). http://books.google.com/books?id=cJApAQAAIAAJ 2011年5月15日閲覧。 
  9. ^ a b c d Crouse, Richard (1 September 2005). Reel Winners: Movie Award Trivia. Dundurn Press Ltd. pp. 67–68. ISBN 978-1-55002-574-3. http://books.google.com/books?id=q5Q4l1AhELcC&pg=PA67 2011年5月15日閲覧。 
  10. ^ a b Pytlik, Mark (29 May 2003). Björk: wow and flutter. ECW Press. p. 171. ISBN 978-1-55022-556-3. http://books.google.com/books?id=bill263dqDAC&pg=PT171 2011年5月15日閲覧。 
  11. ^ The advocate. Liberation Publications. (2007). http://books.google.com/books?id=WDEEAQAAIAAJ 2011年5月15日閲覧。 
  12. ^ Wear are they? Remembering Oscar gowns”. MSNBC (2007年8月1日). 2011年5月15日閲覧。
  13. ^ Miss Swan goes on a date

関連項目[編集]