移動体識別用特定小電力無線局

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移動体識別用特定小電力無線局(いどうたいしきべつようとくていしょうでんりょくむせんきょく)は、特定小電力無線局の一種のパッシブ型RFIDのことである。

定義[編集]

総務省令電波法施行規則第6条第4項第2号(10)に、

移動体識別(設備規則第24条第15項に規定する移動体識別をいう。)用で使用するものであつて、次に掲げる周波数電波を使用するもの
(一) 915MHzを超え930MHz以下の周波数(屋内において使用する場合に限る。)
(二) 2,400MHzを超え2483.5MHz以下の周波数

と定義[1]している。

促音の表記は原文ママ、設備規則は無線設備規則の略

概要[編集]

特定小電力無線局として共通の特徴は、特定小電力無線局#概要を参照。

パッシブ型電子タグシステムに用いられるものであり、同周波数帯の同用途に、最大空中線電力1Wの構内無線局が、同250mWの陸上移動局があるところから、移動体識別用特定小電力無線局は小電力電子タグシステムと通称される。 この周波数帯はアクティブ型RFIDも利用するが、これについてはテレメーター用、テレコントロール用及びデータ伝送用特定小電力無線局の一種として規定される。

電波産業会(略称ARIB)(旧称、電波システム開発センター(略称RCR))が、無線設備規則第49条の14第6号、第9号及び第10号並びに関連告示の技術基準を含めて、標準規格

  • RCR STD-29 特定小電力無線局2.4GHz帯移動体識別用無線設備
  • ARIB STD-T81 特定小電力無線局周波数ホッピング方式を用いる2.4GHz帯移動体識別用無線設備
  • ARIB STD-T107 特定小電力無線局920MHz帯移動体識別用無線設備

を策定している。

技術的条件[編集]

2.4GHz帯
  周波数ホッピング方式 周波数ホッピング方式以外
周波数 2.441175GHz 2.448875GHz
指定周波数帯 2400MHz~2483.5MHz 2427.00MHz~2470.75MHz
電波型式 スペクトラム拡散方式 N0N、A1D、AXN、F1D、F2D、G1D
空中線電力 2400MHz以上2427MHz未満又は

2470.75MHzを超えて2483.5MHz以下

平均電力10mW/1MHz以下でかつ総電力260mW以下

10mW以下
2400MHz以上2483.5MHz以下、

但し2427MHz以上2470.75MHz以下を含む

平均電力3mW/1MHz

空中線 規定しない 絶対利得は原則として3dB以下
条件により不足分をアンテナで補うことは可
混信防止機能

識別信号の送受による制御
使用者による周波数切替および発射停止

920MHz帯
指定周波数帯

916.8MHz、918.0MHz、919.2MHz

920.4MHz~923.4MHzで200kHz間隔

電波型式 N0N、A1D、AXN、H1D、R1D、J1D、F1D、F2D、G1D
空中線電力 250mW以下
空中線 絶対利得は原則として3dB以下
条件により不足分をアンテナで補うことは可
混信防止機能

送信時間制御
キャリアセンス機能

無線チャネル[編集]

920MHz帯単位チャネル
番号 中心周波数
5 916.8MHz
11 918.0MHz
17 919.2MHz
23 920.4MHz
24 920.6MHz
25 920.8MHz
26 921.0MHz
27 921.2MHz
28 921.4MHz
29 921.6MHz
30 921.8MHz
31 922.0MHz
32 922.2MHz
33 922.4MHz
34 922.6MHz
35 922.8MHz
36 923.0MHz
37 923.2MHz
38 923.4MHz
チャネル23以上は最大5隣接単位チャネルまで動作可

旧技術基準による機器の使用期限[編集]

無線設備規則のスプリアス発射等の強度の許容値に関する技術基準の改正 [2] により、「平成17年11月30日」までに認証された適合表示無線設備の表示は「平成34年12月1日」以降は表示されていないものとみなされる[3]。 但し2.4GHz帯周波数ホッピング方式は除く[4]

すなわち、2.4GHz帯周波数ホッピング方式以外の旧技術基準で認証された機器は、技適マークがあっても2022年12月1日以降は使用できない

沿革[編集]

1992年(平成4年)- 特定小電力無線局の一種として制度化された。 [5] [6]

  • 周波数は2.4GHz帯、空中線電力は最大10mWだった。
  • 周波数ホッピング方式とそれ以外のものとがあった。
  • 呼出名称記憶装置の搭載が義務付けられていたが、メーカー記号と製造番号を送信するもので具体的な使用者を特定できるものではなかった。

1998年(平成10年)- 呼出名称記憶装置の搭載が廃止され、混信防止機能の搭載が義務付けられた。 [7]

2003年(平成15年)- 周波数ホッピング方式が2441.75MHz、それ以外が2448.875MHzとされた。 [8]

2005年(平成17年)

  • 電波の利用状況調査の中で、770MHz~3.4GHzの免許不要局の出荷台数が公表された。[9]
    • 以降、三年周期で公表される。
  • 「平成17年11月30日」までに認証を受けた適合表示無線設備は、一部を除き「平成34年12月1日」以降は使用できないとされた。[2]

2006年(平成18年)- 950MHz帯の953.5MHzが割り当てられた。 [10] [11] [12]

2010年(平成22年)

  • 953.5MHzが954.8MHzとなり指定周波数帯が拡張された。[13][14]
  • 952~954MHzで認証を受けた適合表示無線設備は、「平成30年3月31日」までしか使用できないとされた。 [15]

2011年(平成23年)-

  • 920MHz帯が割り当てられ、これに伴い950MHz帯の使用は「平成30年3月31日」までとされた。[16]
  • 2.4GHz帯の周波数ホッピング方式以外の空中線電力が最大250mWに緩和された。[17][18]

2012年(平成24年)- 電波の利用状況調査の周波数の境界が770MHzから714MHzに改められた。 [19]

2018年(平成30年)- 950MHz帯は廃止された。 [16]

出荷台数[編集]

出荷台数
周波数帯 平成13年度 平成14年度 平成15年度 出典
2.4GHz帯 38 637 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[20]

注 上段は周波数ホッピング式、下段は周波数ホッピング式以外

215 1,022 912
周波数帯 平成16年度 平成17年度 平成18年度 出典
950MHz帯 88 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[21]
2.4GHz帯 3,992 7,592 6,825
周波数帯 平成19年度 平成20年度 平成21年度 出典
950MHz帯 1.420 1,237 1,756 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[22]
2.4GHz帯 66,292 5,096 5,006
周波数帯 平成22年度 平成23年度 平成24年度 出典
950MHz帯 321 2,310 22,876 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[23]
2.4GHz帯 276 199 115
周波数帯 平成25年度 平成26年度 平成27年度 出典
920MHz帯 4,053 2,550 5,845 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[24]
2.4GHz帯 1,535 550 73

廃止[編集]

950MHz帯の廃止時点の情報を参考として掲げる。 チャネル番号はARIB STD-T90 特定小電力無線局950MHz帯移動体識別用無線設備(廃止済み)による。

周波数 954.8MHz
指定周波数帯 952.0MHz~957.6MHz
電波型式 N0N、A1D、AXN、H1D、F2D、R1D、J1D、G1D
空中線電力 10mW以下
空中線 絶対利得は原則として3dB以下
条件により不足分をアンテナで補うことは可
混信防止機能 送信時間制御

キャリアセンス機能

単位チャネル
番号 中心周波数
7 952.2MHz
8 952.4MHz
9 952.6MHz
10 952.8MHz
11 953.0MHz
12 953.2MHz
13 953.4MHz
14 953.6MHz
15 953.8MHz
16 954.0MHz
17 954.2MHz
18 954.4MHz
19 954.6MHz
20 954.8MHz
21 955.0MHz
22 955.2MHz
最大3隣接単位チャネルまで同時に動作可

移行促進の為、新たにこの周波数を使用する認定開設者のソフトバンク(旧称ソフトバンクモバイル)が期限内に無線機を取り替える為の費用を負担する「終了促進措置」を実施していた[25]

脚注[編集]

  1. ^ 平成24年総務省令第99号による電波法施行規則改正
  2. ^ a b 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正
  3. ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正附則第5条第1項
  4. ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正附則第5条第2項第2号
  5. ^ 平成4年郵政省令第21号による電波法施行規則改正
  6. ^ 平成4年郵政省告示第319号による平成元年郵政省告示第42号改正
  7. ^ 平成10年郵政省令第86号による電波法施行規則改正
  8. ^ 平成15年総務省告示第432号による平成元年郵政省告示第42号改正
  9. ^ 「平成16年度電波の利用状況調査の調査結果(暫定版)」の公表及び「平成16年度電波の利用状況調査の評価結果の概要(案)」に対する意見の募集(総務省 報道資料 平成17年3月7日))(2007年8月8日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
  10. ^ 平成18年総務省告示第42号による周波数割当計画改正
  11. ^ 平成18年総務省告示第52号による平成元年郵政省告示第42号改正
  12. ^ 平成18年総務省令第10号による無線設備規則改正
  13. ^ 平成22年総務省告示第203号による周波数割当計画改正
  14. ^ 平成22年総務省告示第204号による平成元年郵政省告示第42号改正
  15. ^ 平成22年総務省令第63号による無線設備規則改正附則第2項
  16. ^ a b 平成23年総務省告示第512号による周波数割当計画改正
  17. ^ 平成23年総務省告示第516号による平成元年郵政省告示第42号改正
  18. ^ 平成23年総務省令第162号による無線設備規則改正
  19. ^ 平成24年総務省令第100号による電波の利用状況の調査等に関する省令改正
  20. ^ 平成16年度電波の利用状況調査の調査結果(暫定版)平成17年3月 p.342 (「平成16年度電波の利用状況調査の調査結果(暫定版)」の公表及び「平成16年度電波の利用状況調査の評価結果の概要(案)」に対する意見の募集(総務省 報道資料 平成17年3月7日))(2007年8月8日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project (PDF)
  21. ^ 平成19年度電波の利用状況調査の調査結果 平成20年5月 p.390(「平成19年度電波の利用状況調査の調査結果」の公表及び「平成19年度電波の利用状況調査の評価結果(案)」に対する意見の募集(総務省 報道資料 平成20年5月2日))(2009年1月13日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project (PDF)
  22. ^ 平成22年度電波の利用状況調査の調査結果(770MHzを超え3.4GHz以下の周波数帯)平成23年6月 p.401(「平成22年度電波の利用状況調査の調査結果」の公表及び「平成22年度電波の利用状況調査の評価結果(案)」に対する意見募集(総務省 報道資料 平成23年6月7日))(2011年8月1日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project (PDF)
  23. ^ 平成25年度電波の利用状況調査の調査結果(714MHzを超え3.4GHz以下の周波数帯)平成26年3月 p.443(「平成25年度電波の利用状況調査の調査結果」の公表及び「平成25年度電波の利用状況調査の評価結果(案)」に対する意見募集(総務省 報道資料 平成26年3月20日))(2014年4月2日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project (PDF)
  24. ^ 平成28年度電波の利用状況調査の調査結果(714MHzを超え3.4GHz以下の周波数帯)平成29年5月 p.537(「平成28年度電波の利用状況調査の調査結果」の公表及び「平成28年度電波の利用状況調査の評価結果(案)」に対する意見募集(総務省 報道資料 平成29年5月12日))(2017年6月1日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project (PDF)
  25. ^ 900MHzに関する情報 (ソフトバンク - 公開情報)

関連項目[編集]