端末エミュレータ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

端末エミュレータ(たんまつエミュレータ)・端末模倣プログラム[1]とは、端末として動作するソフトウェアである。端末エミュレータといった場合は、DEC VT100エミュレーションをするソフトウェアをさすことが多い。別称としてターミナルエミュレータ、また特にグラフィカルユーザインタフェース (GUI) 環境で用いるものを端末ウィンドウと呼ぶことがある。キャラクタユーザインタフェースを提供する。

概要[編集]

端末エミュレータは、専用端末の機能を、パーソナルコンピュータ (PC) やUnixワークステーションなどで代替するためのソフトウェア。通常はキャラクタベースのビデオ端末をエミュレートするが、グラフィック端末(xtermTektronix 4014をエミュレートする)やプリンタのエミュレーションを行うものもある。

端末エミュレータを動作させるコンピュータがウィンドウシステムを搭載している場合、これを利用して一つのコンピュータ上で複数の端末エミュレータを同時に稼働させることができることが多い。これは殆どの専用端末では実現できない機能である。

TCP/IPを介した端末エミュレータの接続にはSSHTelnetrlogin等の機能を用いる。rloginとTelnetは、パスワードなども含めて、すべての通信内容を平文暗号化されていない状態)で送受信する。極めて限定された用途であれば、それが必ずしも悪いわけではないが、インターネットを介した接続ではあまりに危険な行為である。したがって、近年は、SSHによる接続が一般的である。

なお、2015年現在マイクロソフトWindows用のSSHを開発中で、正式リリースしていない[2]。したがって、端末エミュレータがそれを持つことが多い。

エミュレートする端末[編集]

実際の端末における、画面制御やキーボード制御、プリンタ制御など、入出力処理には統一された規格が存在しない。現在、端末エミュレータを使用する接続先はUnixが多いため、Unixで事実上の標準となっているDEC社のVT100やその上位機種のエミュレータが多い。VT100の端末エミュレータやその機能を「VT100互換」と呼称する。

接続先がメインフレームであれば、IBM 3270富士通日立製作所の端末を、接続先がIBM AS/400であればIBM 5250を、エミュレートすることになる。それぞれのメーカーから純正のエミュレータが発売されているが、サードパーティ製もある。メインフレームの端末の多くは、RS-232のような単純なシリアルインターフェースではなく、インテリジェントなものだったが、その後、シリアル接続やイーサネット接続も可能となっている。

多くの端末はキャラクタしか扱えないが、グラフィックを扱うことができるグラフィック端末もある。例えばxtermがエミュレートするTektronix 4014がその一例で、キャラクタとグラフィックのどちらも扱うことができる。日本では、ヤマハYISもよく知られている。また、コンピュータグラフィックスの黎明期には、多くのメインフレームにオプションとして専用のグラフィック端末が用意されていた。

実際の端末エミュレータ[編集]

  • X Window System上で動作するもの
    • xterm(Xの標準的な端末エミュレータ。VT102を拡張した仕様とTektronix 4014)
    • uxterm
    • kterm(xtermを日本語対応としたもの。kはkanjiの意)
    • rxvt(xtermからTektroエミュレーションなど、機能を削って軽量化)
    • QTterm
    • lxterminal
    • dtterm (CDE)
    • GNOME 端末 (GNOME)
    • Konsole (KDE)
    • Eterm
    • mlterm
  • Microsoft Windows上で動作するもの
    • Windowsにバンドル
    • フリーソフトウェア
    • IBM
      • パーソナル・コミュニケーションズ (IBM製3270/5250端末のエミュレータ。略称PCOMM)
    • 富士通
      • WSMGR (富士通製F6680, 3270, 5250エミュレータ)
      • Kシリーズ端末エミュレータ(PRIMERGY 6000など)
    • 日立製作所
    • インターコム
      • FALCON(クライアントPC導入型 3270, 5250, 6680, 560 端末エミュレータ)
      • FALCON for .NET(サーバー導入型 3270, 5250, 6680, 560 端末エミュレータ)
      • FALCON for iPad(iPad導入型 3270, 5250 端末エミュレータ)
    • キヤノンソフト情報システムキヤノンソフトウェアの子会社。旧蝶理情報システム)
      • TCPLink スタンダード
      • DirectLink HIS対応版
      • DirectLink DLC対応版
      • DirectLink HNALAN対応版
      • SingleLink
    • サイバネットシステム
      • Reflection for UNIX and OpenVMS(VTエミュレータ)
      • Reflection for IBM 2007(3270, 5250エミュレータ)
    • NetManage
      • RUMBA for Citrix and Terminal Server(3270, 5250, VT, WYSE 50/60, HP/MPEエミュレータ)
      • RUMBA Mainframe(3270エミュレータ)
      • RUMBA AS/400(5250エミュレータ)
      • RUMBA UNIX-HP(VT, HP3000 MPEエミュレータ)
    • ビーコンIT
      • EXTES(F6680, 3270, 5250, 560, Kシリーズ 端末エミュレータ)
      • EXTES Xuras(F6680, 3270, 5250, 560, Kシリーズ Webエミュレータ)
  • CygwinMSYS上で動作するもの
  • MS-DOS上で動作するもの
    • MS-Kermit(VT102エミュレーションとカーミットプロトコルによるファイル転送)
    • hterm (AXやDOS/VでないIBM-PCでも日本語の使用を実現した。)
  • macOS上で動作するもの
  • Classic Mac OS上で動作するもの
    • NCSA Telnet(Telnetとftp)
    • BetterTelnet(NCSA Telnetを改良したもの)
    • MacSSH(BetterTelnetをSSH対応としたもの)

脚注[編集]

  1. ^ JP G06F 44004, 南部 茂樹, "端末模倣プログラムにおけるドット座標入力方法", published 1994年2月18日, issued 1992年7月22日 
  2. ^ Steve Lee [MSFT] (2015年10月19日). “OpenSSH for Windows Update - Windows PowerShell Blog”. Microsoft Corporation. 2015年12月8日閲覧。

関連項目[編集]