紀伊由良駅
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紀伊由良駅 | |
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駅入口 | |
きいゆら Kii-Yura | |
◄紀伊内原 (5.3 km) (6.8 km) 広川ビーチ► | |
所在地 | 和歌山県日高郡由良町大字里466-2 |
所属事業者 | 西日本旅客鉄道(JR西日本) |
所属路線 | W 紀勢本線(きのくに線) |
キロ程 |
334.5km(亀山起点) 新宮から154.3 km |
電報略号 | ユラ |
駅構造 | 地上駅 |
ホーム | 2面3線 |
乗車人員 -統計年度- |
308人/日(降車客含まず) -2019年- |
開業年月日 | 1928年(昭和3年)10月28日[1] |
備考 |
業務委託駅 |
由良内駅 | |
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きいゆら Kii-Yura | |
(2.0 km) 由良内► | |
所属事業者 | 日本国有鉄道 |
所属路線 | 紀勢本線貨物支線 |
キロ程 | (紀伊由良起点) |
開業年月日 | 1929年(昭和4年)4月21日[2] |
廃止年月日 | 1968年(昭和43年)6月1日[2] |
紀伊由良駅(きいゆらえき)は、和歌山県日高郡由良町大字里にある、西日本旅客鉄道(JR西日本)紀勢本線(きのくに線)の駅である。
由良町の代表駅だが中心部とは1km余り離れている。かつては由良内までの貨物支線が当駅から分岐していた。また、通常は普通・快速列車しか停車しないが、1985年9月の興国寺の法灯国師700年遠忌期間中と1989年夏には一部の特急が停車したことがある。
歴史[編集]
紀勢本線(当初紀勢西線)を日高郡方面へ延長するにあたっては、当時の由良村がさかんに鉄道の誘致運動をしたが、東内原村も誘致を行っていた。鉄道が通らなければ、ますます陸の孤島化するとして由良村は必死の活動を行い、大分セメント由良工場が由良に立地していること、由良港が良港であることなどが決め手となって、由良村経由が決定された。これにより1925年(大正14年)12月に湯浅 - 紀伊由良間に着工した[3]。
1928年(昭和3年)10月28日に湯浅 - 紀伊由良間が開通し、当初は1日10往復の列車が運転された[4]。しかし駅は村の中心部からも港からも離れた場所にできることになり、村民にとっては不便であるとともに、港の衰微が懸念されることになった。そこでまだ建設中の1925年(大正14年)12月18日、由良港への臨港鉄道を建設するよう鉄道省に請願する運動を開始し、臨港鉄道と紀勢本線の貯炭場が建設されることになった[5][6]。
1929年(昭和4年)4月21日、紀勢西線が当駅から御坊駅まで延伸される[1]と同時に、当駅で分岐して由良内駅までの貨物支線が開通した[2]。その後、1959年(昭和34年)7月15日に紀勢本線が全通して、当駅も紀勢本線の所属となった[1]。
1968年(昭和43年)3月には紀伊由良駅以北が複線化され、9月には御坊までの複線化も完成した[7]。一方、由良内駅までの貨物支線は1968年(昭和43年)6月1日に廃止となった[2]。また紀伊由良駅自体の貨物営業も1971年(昭和46年)10月1日に廃止となった[8]。
1978年(昭和53年)4月に由良駅の駅長制度が廃止となって御坊駅の管理下となり、同時に列車集中制御装置 (CTC) が導入されて信号関係の遠隔制御が行われるようになった。また10月には和歌山 - 新宮間の電化が完成し、電車の運転が開始された。1985年(昭和60年)3月には小荷物扱いが廃止された。1987年(昭和62年)4月、国鉄分割民営化により、JR西日本に承継された[7]。
年表[編集]
- 1928年(昭和3年)10月28日:開業する[1]。
- 1929年(昭和4年)4月21日:国鉄紀勢西線が当駅から御坊駅まで延伸される[1]、同時に由良内駅までの貨物支線が開通する[2]。
- 1940年(昭和15年)4月11日:駅構内で第26列車と第27列車が接触し、第26列車が脱線、重軽傷者22名[9]。
- 1945年(昭和20年)2月21日:第384列車の入換作業中、第353列車と衝突[9]。
- 1959年(昭和34年)7月15日:現在の紀勢本線が全通、紀勢本線所属となる[1]。
- 1968年(昭和43年)6月1日:由良内駅までの貨物支線が廃止となる[2]。
- 1971年(昭和46年)10月1日:貨物営業廃止[8]。
- 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化に伴い、西日本旅客鉄道(JR西日本)の駅となる[1]。
- 2020年(令和2年)3月14日:ICカード「ICOCA」の利用が可能となる[10]。
駅構造[編集]
単式ホーム1面1線、島式ホーム1面2線、計2面3線のホームを有する地上駅。構内は広く側線もある。駅舎は単式ホームの1番のりば側にあり、島式ホームの2・3番のりばへは跨線橋で連絡している。
御坊駅が管理し、JR西日本メンテックが駅業務を受託する業務委託駅である。古くからの駅舎にはPOS端末のほか、ICOCAへのチャージやオレンジカードが利用可能な新型タッチパネル式自動券売機が設置されている。また、窓口営業(営業時間は7時20分から19時40分まで、但し12時20分から13時00分までは窓口閉鎖[11])もなされている。
のりば[編集]
のりば | 路線 | 行先 | 備考 |
---|---|---|---|
1 | W きのくに線 | 和歌山・天王寺方面 | 待避列車は2番のりば |
2・3 | 御坊・新宮方面 | 2番のりばは待避列車のみ |
上表の路線名は旅客案内上の名称(愛称)で表記している。下り本線は1番のりば、上り本線は3番のりば。2番のりばは上下線共用の待避線(中線)として、特急列車の待避に使われる。2015年3月14日現在のダイヤでは両方向とも特急待避を行う定期列車が設定されている。
利用状況[編集]
年度 | 1日平均 乗車人員 |
---|---|
1998年 | 601 |
1999年 | 564 |
2000年 | 552 |
2001年 | 521 |
2002年 | 493 |
2003年 | 487 |
2004年 | 466 |
2005年 | 456 |
2006年 | 438 |
2007年 | 415 |
2008年 | 395 |
2009年 | 375 |
2010年 | 379 |
2011年 | 369 |
2012年 | 364 |
2013年 | 383 |
2014年 | 371 |
2015年 | 362 |
2016年 | 357 |
2017年 | 347 |
2018年 | 330 |
2019年 | 308 |
駅周辺[編集]
- 国道42号
- 中紀バス本社
- 興国寺
- 門前の大岩
- 由良町役場
- 由良町立由良中学校
- 由良郵便局
- 白崎郵便局
- 白崎海洋公園
- 由良海つり公園
- 三井造船由良修繕部
- 海上自衛隊阪神基地隊由良基地分遣隊
- 旧日本海軍紀伊防備隊跡碑
- 紀伊防備隊鎮魂碑
隣の駅[編集]
かつて存在した路線[編集]
- 日本国有鉄道
- 紀勢本線貨物支線
- 紀伊由良駅 - 由良内駅
脚注[編集]
- ^ a b c d e f g 曽根悟(監修)『週刊 歴史でめぐる鉄道全路線 国鉄・JR』25号 紀勢本線・参宮線・名松線、朝日新聞出版分冊百科編集部(編集)、朝日新聞出版〈週刊朝日百科〉、2010年1月10日、19-21頁。
- ^ a b c d e f 『停車場変遷大事典』p.383
- ^ 『日本の地方鉄道網形成史』p.224
- ^ 『由良町誌 通史編 下巻』pp.37 - 38
- ^ 『日本の地方鉄道網形成史』pp.224 - 225
- ^ 『由良町誌 通史編 下巻』p.42
- ^ a b 『由良町誌 通史編 下巻』p.58
- ^ a b 『停車場変遷大事典』p.380
- ^ a b 『由良町誌 通史編 下巻』p.55
- ^ “2020年春ダイヤ改正について” (日本語) (PDF) (プレスリリース), 西日本旅客鉄道和歌山支社, (2019年12月13日), オリジナルの2021年1月4日時点におけるアーカイブ。 2021年1月4日閲覧。
- ^ 紀伊由良駅|駅情報:JRおでかけネット - 西日本旅客鉄道、2014年10月15日閲覧。
- ^ 『和歌山県統計年鑑』及び『和歌山県公共交通機関等資料集』
参考文献[編集]
- 『停車場変遷大事典 国鉄・JR編』2、JTB、1998年10月1日、初版。
- 武知京三『日本の地方鉄道網形成史』柏書房、1990年10月20日、第1刷。
- 『由良町誌 通史編 下巻』由良町誌編集委員会、由良町、1991年11月。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- 紀伊由良駅|駅情報:JRおでかけネット - 西日本旅客鉄道
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