茨城女子大学生殺人事件

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茨城女子大学生殺人事件とは、2004年平成16年)に茨城県稲敷郡美浦村で、茨城大学の女子学生が行方不明になり、遺体で発見された殺人事件

事件概要[編集]

2004年(平成16年)1月30日の深夜から翌早朝にかけて、茨城県稲敷郡阿見町のアパート居住の茨城大学の女子大生が殺害され、美浦村舟子地内の清明川(河口付近)において遺体で発見された[1]

経過[編集]

  • 2004年
    • 1月30日
      • 午後9時頃 - 自宅に帰宅。
    • 1月31日
      • 午前0時頃 - 女子学生が一緒にいた男子学生宛に「明日の朝には戻る」とメモを残し、阿見町の自宅から外出。行方がわからなくなる[2]
      • 午前中 - 男子学生は女子学生が帰宅していないことに気付く。テーブルには「友人に会いにでかける。遅くなる」と記したメモが残されていた。女子学生は視力が0.1程度しかなかったが、眼鏡コンタクトレンズも室内に残し、携帯電話や財布も自宅に置いたままだった[2]
      • 午前9時頃 - 女子学生が自宅から6キロ離れた美浦村舟子地内の清明川で遺体で見つかる[1]
    • 2月4日
      • 女子大生の物と見られる自転車が、土浦市の空き地で、鍵が付いたままスタンドを立てた状態で見つかった。現場は阿見町の自宅アパートから約2.5キロ離れていた[2]
  • 2007年
    • 両親が犯人逮捕に繋がる情報提供者に懸賞金200万円を支払う事を決める。
  • 2008年
  • 2014年
  • 2017年
    • 9月2日 - 容疑者のフィリピン国籍の男A(逮捕時35歳)を逮捕[3]。容疑者逮捕までに、3万3910人の捜査員を投入、4185日の捜査、約360件の情報が寄せられた[4]

捜査[編集]

司法解剖の結果、死因は首を圧迫したことによる窒息死。遺体の首には切り傷があり、胸には心臓に達するほど深い刺し傷があった[5]。自転車が放置されていた場所では、白っぽいワンボックスに乗った2人の男が自転車を下ろして立てかけていた姿が目撃された。

容疑者逮捕[編集]

事件発生から13年を経て、遺体に付着した微物のDNA型がAと一致[3]。情報提供や関係者への聴取などから、当時茨城県土浦市に住んでいた容疑者が浮上、共犯関係とみられる知人の男B・Cの2人を特定した。全員女子学生と面識はなかった[6]

本件に共謀した疑いで、事件当時に少年だったフィリピン人B・Cの逮捕状を取り、国際刑事警察機構を通じて国際手配をしている。しかし、2人は事件後に帰国しており、日本とフィリピンとの間には事件捜査の協力を要請できる「刑事共助協定」がなく、容疑者の身柄引き渡しに関する条約もないため、フィリピン政府に引き渡しを求めることができない為に、立件の見通しは立っていない[7]

Aについて[編集]

事件当時22歳。共犯者の母親の提案で2004年3月ごろ出国。2017年1月までの間に出入国を繰り返していた[5]。逮捕当時、Aは岐阜県瑞穂市に妻や娘、息子のほか、義母ら7人ほどの家族で住んでいた。2010年ごろに引っ越してきて、自動車関連の工場で働いていたという。近所では「子煩悩」と評判だった[8]。逮捕される可能性がありながら、日本で生活していた理由について「日本の方がお金を稼げるから」と語った[5]

B・C[編集]

事件当時18、19歳。2004年3月ごろ出国。2007年以降再入国していない。[5]

2018年末までに、事件当時18歳であった容疑者Bが訪日を希望しているとの情報があり、茨城県警は外務省などを通じて本人の意思を確認し、2019年(平成31年)1月23日に捜査員を派遣し、1月24日に成田空港から入国後に逮捕された[9][10]

裁判[編集]

Aは2004年1月31日、職場の同僚だったフィリピン国籍の少年B・C(当時18、19歳)と共謀し、茨城県阿見町付近の路上で、女性を車に連れ込み、強姦した後に車内で首を絞めて殺害したとされる[3]

第一審(水戸地裁)[編集]

2018年7月17日、裁判員裁判が水戸地裁(小笠原義泰裁判長)で開かれ、Aは「間違いありません」と起訴内容を認めた[11]。Aは「仲間に誘われて事件を起こした」と述べ、自転車に乗っていた女子学生を発見し、乗っていた車で自転車の進路を妨害。女子学生を車内に連れ込んだ。殺害の理由を「警察などに話されたら困るから」と語り、暴行を決めた段階で殺害まで計画していたことを明かした[5]

判決[編集]

2018年7月25日、判決公判が水戸地裁で開かれ、小笠原義泰裁判長は「殺害に主体的に関与しており、刑事責任は重大だ」として、求刑通り無期懲役を言い渡した。判決理由で小笠原裁判長は「犯行態様は執拗、残虐で殺意の強固さも明らかだ」と指摘し、「若さや飲酒が犯行に影響した」として有期刑を求めた弁護側の主張を退けた[7]。被告側は判決を不服として控訴した[12]

第2審(東京高等裁判所)[編集]

被告側は量刑が重すぎるとして東京高裁に控訴し、2018年(平成30年)12月12日に控訴審初公判(栃木力裁判長)が開かれ、検察側は控訴棄却を求め即日結審した[13]。2019年(平成31年)1月16日に判決が言い渡され、犯行の状況や被告の役割から刑事責任は重大で、量刑が重すぎることはないとして控訴を棄却し、無期懲役を支持した[14]

脚注[編集]

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  1. ^ a b 茨城県警察. “美浦村舟子地内における女性被害殺人・死体遺棄事件”. www.pref.ibaraki.jp. 2018年11月7日閲覧。
  2. ^ a b c “【茨城女子大生殺害】なぜ1人で外出?”. 産経ニュース. (2017年9月2日). https://www.sankei.com/affairs/news/170902/afr1709020027-n1.html 2018年11月7日閲覧。 
  3. ^ a b c “13年前の女子大生殺害、容疑のフィリピン男逮捕”. 産経ニュース. (2017年9月2日). https://www.sankei.com/affairs/news/170902/afr1709020021-n1.html 2018年11月7日閲覧。 
  4. ^ “【茨城女子大生殺害】県警、執念の捜査実る”. 産経ニュース. (2017年9月3日). https://www.sankei.com/affairs/news/170903/afr1709030001-n1.html 2018年11月7日閲覧。 
  5. ^ a b c d e “【衝撃事件の核心】茨城女子学生はなぜ命を奪われたのか”. 産経ニュース. (2018年7月24日). https://www.sankei.com/premium/news/180724/prm1807240004-n3.html 2018年11月7日閲覧。 
  6. ^ “茨城女子大生殺害初公判「女性の尊厳踏みにじった」”. 産経ニュース. (2018年7月18日). https://www.sankei.com/affairs/news/180718/afr1807180011-n1.html 2018年11月7日閲覧。 
  7. ^ a b “茨城大女子大生殺害事件、被告に無期懲役 「犯行は執拗で残虐」”. 産経ニュース. (2018年7月25日). https://www.sankei.com/affairs/news/180725/afr1807250009-n1.html 2018年11月7日閲覧。 
  8. ^ “【茨城女子大生殺害】容疑者、7年前から岐阜・瑞穂に在住…”. 産経ニュース. (2017年9月2日). https://www.sankei.com/affairs/news/170902/afr1709020026-n1.html 2018年11月7日閲覧。 
  9. ^ 【茨城新聞】04年茨城大生殺害疑い 元少年、24日にも逮捕 茨城県警 フィリピンへ捜査員”. ibarakinews.jp. 茨城新聞 (2019年1月24日). 2019年1月24日閲覧。
  10. ^ 【茨城新聞】04年茨城大生殺害疑い 共犯の元少年逮捕 フィリピンから入国 茨城県警”. ibarakinews.jp. 茨城新聞 (201901-25). 2019年1月24日閲覧。
  11. ^ “茨城大生殺害、公判始まるが…共謀容疑者2人は今も国外:朝日新聞デジタル” (日本語). 朝日新聞デジタル. https://www.asahi.com/articles/ASL7G3J8YL7GUJHB010.html 2018年11月7日閲覧。 
  12. ^ “被告側、無期不服と控訴へ=14年前の女子大生殺害”. 時事ドットコム. https://www.jiji.com/jc/article?k=2018072600665&g=soc 2018年11月7日閲覧。 
  13. ^ 茨城大生殺害、控訴審結審 来年1月判決、1審は無期”. 産経ニュース. 産経新聞 (2018年12月12日). 2019年1月24日閲覧。
  14. ^ 女子大生殺害 2審も無期懲役|NHK 茨城県のニュース”. NHK NEWS WEB. 日本放送協会 (2019年1月16日). 2019年1月24日閲覧。