華麗なる追跡 THE CHASER

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
華麗なる追跡
THE CHASER
監督 村川透
脚本 古内一成
製作 日本テレビ
セントラル・アーツ
出演者 松田優作
フローレンス・ジョイナー
チャック・ウィルソン
山谷初男
芥正彦
沢たまき
角野卓造
小林稔侍
音楽 梅林茂
撮影 坂本典隆
編集 田中修
公開 1989年10月7日
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
テンプレートを表示

華麗なる追跡 THE CHASER』(かれいなるついせき ザ・チェイサー)は、1989年10月7日日本テレビ系で20:00〜22:00に放送されたスペシャルドラマ。松田優作最後の主演作品で、遺作である。

内容[編集]

当初は、「世界一速い女」フローレンス・ジョイナーソウルオリンピック金メダリスト)と「世界で一番速く走っている様に見せられる男」松田優作の共演というコンセプトであったが、この頃松田は膀胱癌が腰まで進行しており、思うように走れなくなっていたため、脚本や演出に手を加え、かなり改変している。

スタッフ[編集]

キャスト[編集]

兼城直也:松田優作
外事第二課の刑事。タムの宿泊していた部屋に残されたトランクを調べ、下着だけが入っていないことから、解決されたかに思われた事件に疑問を持つ。キャンプ地で一人悲しみにくれるティファニーの手を優しく握る。
ティファニー・ロバーツ - フローレンス・ジョイナー
オリンピック陸上競技の金メダリストで、今はスポーツジャーナリスト。AT702便の事故で、息子を失う。タムとは3年前に知り合い、友達になる。生活が苦しいことから、タムは実の息子であるクリスを養子に出し、ティファニーはクリスを養子として迎える。ヘンリーにトニー・ブラウンとアーサーケインは何らかのつながりがあると言う。
中井俊平:香川照之
兼城の同僚。吉田と名乗るエドワーズの一味に誘い出され、ガス爆発に巻き込まれ、入院するが一命を取り留め、退院。エンディングで兼城らとカヌーで渓流下りをし、河原でバーベキューパーティーをしている。
リチャード・ゲイル - チャック・ウィルソン
兼城の旧友で、CIAの情報管理官。実は有力な大統領候補であるアメリカの上院議員ケインに頼まれ、CIAは関係なしで個人的にケインに協力し、重要な証人である俊平をガス爆発に巻き込み、秘密を知った兼城とティファニーをエドワーズの一味を使って殺そうとした。
山下章弘 - 山西道広
兼城の同僚。かつて事件に巻き込まれた際、妻を亡くしている。
ジミー - 山谷初男
兼城の同僚。ホテルの部屋に残されたタイ語のメモを訳し、読む。かつて事件に巻き込まれ身内を亡くしている。また、タイ人女性とも暮らしていた。
ヘイジ - ポール牧
兼城の同僚で、"ヘイジさん"と呼ばれている。冒頭、山下とチェスに興じている。落ち込むティファニーをチェスに誘うが、断られる。かつて事件に巻き込まれ身内を亡くしている。
関 - 伊藤洋三郎
兼城の同僚。タムの遺体発見後、山下と出入国管理事務所に行き、その後犯人を目撃した男から、タムの替え玉とアメリカ人を目撃したことを聞く。
ゴ・ナムディン - 坂本長利
芳蘭の夫で、ベトナム人。兼城に、難民ボートピープル)であるタムは絶対犯人ではない、そんなことをしたら、他のアジア人が自分と同じベトナム人を良く見なくなる、難民を引き取る国が無くなってしまうと言う。
朱芳蘭 - 沢たまき
兼城たちのキャンプ地に来ている移動レストラン"芳蘭亭"の主人。兼城に"芳蘭亭のゴッドママ"と言われる。悲しみにくれるティファニーに、みんな悩みや悲しみを背負ってる、だから精一杯楽しく生きようとしてる、人にも優しくなれると言い、励ます。
朱香玉 - 和久井映見
芳蘭の娘。ティファニーと一緒にいる兼城に嫉妬している。
松本由紀子 - 中村あずさ
俊平の恋人。
リー・シャルク - 芥正彦
兼城の旧友で、タイ警察の警官。タムに会いに来た兼城を裏切るが、タイの犯人グループに口を封じられる。今わの際、兼城に自身の裏切りを詫びた。
ヘンリー平沢:マイク真木
ロス市警の刑事で、兼城の知り合い。俊平がガス爆発に巻き込まれた後、ホテルマンとティファニーの宿泊している部屋を訪ね、ドアを開けようとするが、爆発に巻き込まれる。ちなみにティファニーはその頃自宅にいて、無事だった。
犯人を目撃した男:榎木兵衛
事件のあった日、タムの宿泊していたホテルの非常階段を上っていく白人と、タムの替え玉を目撃したと証言するリサイクル業者。
ホテルのフロント係:中丸新将
タムが潜伏していたホテル、リステル新宿のフロント係。兼城らにタムがホテルに宿泊していたことを証言する。
田川敬三巡査部長:角野卓造
外事第二課部長刑事。兼城には"田川"と呼び捨てで呼ばれる。外事第二課の室内がタバコの煙で充満するほどのヘビースモーカー。
小田切達夫課長:小林稔侍
外事第二課課長。兼城たちの理解者であり、"ギリさん"と呼ばれる。かつて事件に巻き込まれ、身内を亡くしている。

ストーリー[編集]

成田バンコク行きの旅客機AT702便がバンコクの南のシャム湾上空で爆発。警視庁公安部外事第二課に所属する兼城(松田優作)とその同僚たち(小林稔侍ら)は、旅客機を爆破したと思われるタイ人の犯人、タムが宿泊するホテルに乗り込む。しかしタムはホテルの浴室で既に死亡。室内に残されていたタイ語で記されたメモには、AT702便に時限爆弾をしかけ、目的を達成。その目的とは、ベトナム外務大臣の殺害。兼城は、単身タイに渡り、調査を試みるが、収穫はなく、その間にもタイ政府が正式に犯人を発表。解決したかに思われたが、タムの犯行に疑問がのこる兼城。その夜、タムの犯行について聞く為、ゲイル(チャック・ウィルソン)と、クラブで待ち合わせる。そこで兼城はティファニー・ロバーツ(フローレンス・ジョイナー)に出会う。ティファニーもゲイルから事故について聞くために来ていた。ティファニーは、息子であるクリスを最後に見たのは、アメリカからタイに一人で行く時に空港で見送ったのが最後だったという。それだけではなく、その後タムはクリスをタイで出迎え、タムとクリス二人でティファニーに会いに来る予定だった、そんなタムが犯人なわけはない、タムはそんなことをしないと言う。その後ティファニーは兼城に連れられ、兼城たちがキャンプを張っている場所へ行く。息子の死を思い、浮かない様子のティファニー。一方兼城は犯行に及んだタムが替え玉のベトナム人、ライ・チーフォンという人物であったこと、本物のタムが犯人グループに拉致され、ホテルで殺されたことを知り、情報をつかんでいく。その間にティファニーも兼城と芳蘭(沢たまき)に励まされ、次第に笑顔を取り戻していく。その後兼城は聞き込みでつかんだ情報を報告。そこでかかわりのあると思われるアメリカ人ジャーナリスト、トニー・ブラウンが出てくる。ティファニーは単身アメリカに戻る。兼城のもとにもタムの潜伏先が分かったと報告が来て、兼城はタイへ渡る。リー(芥正彦)に護衛を頼み、タムが潜伏している場所へ向かう。しかしリーは兼城を裏切り、リーは犯人グループに射殺される。肝心のライもすでに殺されていた。犯人グループの襲撃を切り抜け、兼城は重要な証人としてタイに残る。証人が消えてしまったと思われたが、元FBIの捜査官フランク・エドワーズが出てくる。また、上院議員アーサー・ケインの何らかの証拠をトニー・ブラウンがつかんでいたこと、クリスと同じAT702便に乗っていたことも判明。そしてその情報を報告した俊平(香川照之)は、犯人グループに誘い出され、重傷を負い、ティファニーの部屋を訪ねたホテルマンとヘンリー(マイク真木)も、爆発に巻き込まれる。兼城は危険を感じ、すぐ日本に戻って来いとティファニーに言う。日本に戻った兼城はエドワーズの一味に襲われるが、山下(山西道広ら)に助けられる。続いてティファニーも日本に戻ってくる。兼城とティファニーは、機内でクリスと知り合った女の子、川口愛に会いに行く。クリスと知り合った愛は、クリスからぬいぐるみをもらっていた。その中にはマイクロフィルムが入っていた。アーサー・ケインと、アラブの武器商人ラミールとの密会を撮ったものだった。黒幕はケインと判明。ブラウンは、アメリカから成田へ行く飛行機で、クリスの隣りに座った際、密かにマイクロフィルムをぬいぐるみの中に入れてたのだ。次第に明らかになっていくが、エドワーズの一味がマイクロフィルムと引き換えに愛を誘拐。兼城とティファニーは取引場所に向かう。撃ち合いの末、愛を救出したかと思ったら、ゲイルが現れる。航空機を爆破し、タムの身代わりを殺したのはケインの一派のアメリカ人のエドワーズらで、ゲイルは有力な大統領候補であるアメリカの上院議員ケインに頼まれ、エドワーズの一味を使って重要な証人である俊平をガス爆発に巻き込み、秘密を知った兼城とティファニーを殺そうとしたことが判明。兼城はゲイルと対決し、ゲイルを射殺する。その後ゲイルの死は飛行機事故と片付けられ、エドワーズらの死体はCIAが片付け、愛を誘拐したことも警視庁がもみ消したりと、すべてがうやむやに終わったが、新聞では、ケインとラミールの密会の写真が公開され、これによりケインの政治生命が危うくなったと載っていた。

そして兼城はティファニーを成田空港まで見送ろうとするが、ティファニーは愛が見送りに来るから断る。ティファニーは帰国のため成田空港に行く。そこで、クリスからもらったぬいぐるみを愛からもらい、エスカレーターを降りていくが、見上げるとそこには兼城がいた。最後にティファニーは兼城に"call me"と言うのだった。

補足[編集]

  • 撮影が全て終わり、松田優作は1989年9月28日、西窪病院に入院する。もうすでに一人では歩けない状態だった。
  • 後に共演者のポール牧が、撮影中に5回近く、松田優作の腰をマッサージして、普通の腰の痛みではなかったとコメントしている。
  • 前述のストーリーの改変で一部のスタッフからは優作に対して不満が出ていたが、優作の死後に病気(膀胱癌)の事実を知り、全員不満を出したことを後悔したという。