著作権法

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著作権法
日本国政府国章(準)
日本の法令
法令番号 昭和45年5月6日法律第48号
効力 現行法
種類 知的財産法
主な内容 著作権の内容、発生、効力
関連法令 知的財産基本法ベルヌ条約
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著作権法(ちょさくけんほう、昭和45年5月6日法律第48号)は、知的財産権の一つである著作権の範囲と内容について定める日本法律である。

概要[編集]

著作権法は、著作物の創作者である著作者著作権(著作財産権)や著作者人格権という権利を付与することにより、その利益を保護している。同時に、著作物に密接に関与している実演家、レコード製作者、放送事業者及び有線放送事業者に対して著作隣接権等を付与し、これらの者の利益も保護している。同法に定められる内容は、総則(1条~9条の2)、著作者の権利(10条~78条の2)、出版権(79条~88条)、著作隣接権(89条~104条)、私的録音録画補償金(104条の2~104条の10)、紛争処理(105条~111条)、権利侵害(112条~118条)、罰則(119条~124条)に分類される。

沿革[編集]

旧著作権法制定前[編集]

日本で最初に著作権の保護が規定されたのは、1869年出版条例である。出版条例では、出版者に対して図書の「専売ノ利」を与えていたが、その内容はむしろ出版の取締りに重点が置かれていた。1887年、出版条例から版権の保護に関する規定が独立し、版権条例が制定された。版権条例は版権を著作者に認め、登録を要件としてその保護を規定していた。同時に、脚本楽譜条例(明治20年勅令第78号)及び写真版権条例(明治20年勅令第79号)も制定され、図書以外の著作物に対する著作者の権利が保護されるようになった。1893年、版権条例が改正され、版権法(明治26年法律第16号)が制定された。

旧著作権法の成立と改正[編集]

1899年文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約(ベルヌ条約)加盟にあわせ、水野錬太郎が起草した著作権法(明治32年3月4日法律第39号)が制定され、版権法、脚本楽譜条例及び写真版権条例は廃止された。これは現在では一般に「旧著作権法」と呼ばれる。起草者の水野錬太郎は著書「著作権法要義」で旧著作権法の逐条解説を行った。

現行の著作権法は、1970年に旧著作権法の全部を改正して制定された。

著作物と著作者[編集]

著作物[編集]

著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」のことを指す。著作者の内心に留まっている思想・感情そのものは著作物ではなく、著作物になるためには、それが表現されなければならない。一方で、表現された物であっても、それが思想・感情を表現したものでなければ著作物ではない。

「創作的」とは、著作者の個性が表れていればよく、必ずしも芸術性は必要でない。例えば、幼稚園児が描いた絵であっても、そこに個性が表れていれば著作物となる。

著作者[編集]

著作者とは、「著作物を創作する者」を指す[1]。企画発案者や資金提供者は著作者とはならない。著作物を創作するのは自然人であるため、原則として著作者は自然人であるが、一定の要件を満たせば法人が著作者となることもある[2]映画の著作物の著作者については、特に「制作、監督、演出、撮影、美術等を担当してその映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者」とする規定がある[3]

なお、著作物の原作品に直接に氏名または周知の変名が著作者名として表示された者、又は、著作物の公衆への提供・提示の際に氏名または周知の変名が著作者名として表示された者は、その著作物の著作者と推定される[4]。例としては、絵画のサイン・書画の落款・テレビ番組のテロップ等である。反証がない限り、「著作者名として氏名等が表示された者」が著作者として取り扱われることになる(挙証責任の転換)。

日本の著作権法では、無方式主義が採用されているため、著作者は著作物を創作した時点で自動的に著作権者となる(著作権取得のための手続は必要とされない)。ただし、著作権(著作財産権)は譲渡可能であるため、著作者と著作権者が異なることはある。

著作権の内容[編集]

著作権は、個々の支分権の総体であり、一個の「著作権」という権利があるわけではない。著作権者は、自己が著作権を有する著作物を自分で利用するだけでなく、他人に対し、その利用を許諾することができる[5]。なお、著作権法には「使用権」というものは規定されておらず、「使用権」を他者に「許諾」するということも著作権法上の権利に関しては特に意味を持たない[6]。著作権法には、以下のような支分権が規定されている。

複製権[編集]

複製権とは、著作権制度において全ての著作物を対象とする最も基本的な権利で、著作物を複製する権利である[7]。著作権法において複製とは、手書き、複写、写真撮影、印刷、録音、録画、パソコンのハードディスクやサーバーへの蓄積その他、どのような方法であれ著作物を形のある物に再製すること(有形的再製)を指す[8]。したがって、複製の結果出来上がった複製物は物に固定されている必要があるが、複製の対象となる著作物の方は必ずしも物に固定されている必要はない。例えば、演劇用の脚本の複製といった場合、脚本を直接コピー機を使って複写した場合だけでなく、その脚本に基づいて上演されたり、放送された演劇(無形的再製)をCDやDVDに録音、録画する行為も脚本の複写にあたり、複製権が及ぶことになる[9]。また、建築の著作物については、その設計図に従って同じ建築物を建てれば、建築の著作物の複製となる[10]。なお、その設計図をコピー機を使って複写した場合は、建築の著作物の複製になるの、一部分だけの再製であっても当該部分が著作物性を有する部分であれば複製となる。したがって、たとえ音楽の1小節、小説の1ページであっても、複製すれば複製権侵害となりうる。

さらに、映画(映像)の作品の中で音楽や美術作品が使われている場合、その映画の著作権とは別に音楽や美術作品の著作権が独立して成立しているので、その映画を複製しようとする場合には、映画の著作権者だけでなく、その映画の中で使用されている音楽や美術作品の著作権者(複製権者)の許諾も必要となる(同じことは、二次的著作物や、著作物性を有する素材からなる編集著作物やデータベースについてもいえる)。

複製権侵害の要件としては、判例は原著作物と複製物との同一性の他に原著作物に「依拠したこと」も求めている。従って、原著作物の存在を知らずに創作し、結果的にたまたま同一の著作物が出来上がったにすぎない場合は、そもそもアクセスしていないため、複製に該当せず、複製権侵害にもならない。

また、著作権法第30条から47条の9に規定されている著作権の制限規定に該当する場合、基本的には複製権者に無断で複製しても例外的に複製権の侵害とはならないが、法が許容する目的以外にその複製物を使用すると、その行為は複製とみなされる[11]

なお複製権者は、その複製権の目的たる著作物について出版権を設定することができるが、その複製権を目的とする質権が設定されているときには、当該質権者の承諾を得なければならない[12]

また、著作権法第47条の7では、電子計算機による情報解析についての規定があり、この条文では「非営利」に限定していない。このため、営利企業が他人の著作物を使って機械学習を行ったり、学習済みモデルを販売しても、著作権侵害には当たらないとされる。諸外国の著作権法にも同様の規定はあるが、大抵は「非営利」に限定されており、営利での利用が可能であることは、日本の著作権法の特徴となっている[13]

上演権・演奏権・上映権・口述権[編集]

  • 上演権 - 著作物を公に上演(演奏以外の方法で演じること)する権利
  • 演奏権 - 著作物を公に演奏(歌唱を含む)する権利
  • 上映権 - 著作物を公に上映(著作物を映写幕その他の物に映写すること。映画の著作物に固定されている音楽を再生することも含む)する権利
  • 口述権 - 言語の著作物を公に口述する権利

演劇や落語、講談、漫才の著作物等[注 1]は上演権の対象となるが、詩や小説の朗読は口述権の対象とされ、上演権の対象に含まれない。

「公に」とは、「公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として」いることを指し、「公衆」とは著作権法上は不特定多数だけでなく、特定多数を含む[14]。したがって、特定少数に対して上演することは上演権の行使にはあたらない。また、劇団員が公演前に特定多数の関係者の見ている前で練習しても、あくまで練習であって「直接見せ又は聞かせることを目的として」いないので、上演権の行使にはならない。しかし、公演本番で幕が開いた状態で演じた場合は、誰も観客が来ていなかったとしても、「公衆に直接見せ又は聞かせること目的として」上演している以上、上演権の行使となる。

ただし、既に公表された著作物を非営利・無料・無報酬で上演した場合は、たとえそれが公に行うものであっても、権利の範囲外である[15]。学校の文化祭等での劇の上演はこれにあたる。一方で、チャリティーショー等でその収益をすべて慈善団体などに寄付する場合は非営利・無報酬であるが、観客から料金を徴収している場合は無料の要件を充たさず、無許諾で上演すれば上演権の侵害となる。

公衆送信権等[編集]

著作物を公衆送信や送信可能化する権利である。

翻訳権、翻案権等[編集]

著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利である。

その他の支分権[編集]

  • 展示権 - 美術の著作物又はまだ発行されていない写真の著作物を、原作品により公に展示する権利。
  • 頒布権 - 映画の著作物をその複製物により頒布する権利。
  • 譲渡権 - 映画の著作物以外の著作物を、その原作品又は複製物の譲渡により公衆に提供する権利。
  • 貸与権 - 映画の著作物以外の著作物を、複製物の貸与により公衆に提供する権利。

著作権の制限[編集]

著作権の行使は、著作権者の利益を侵害しない範囲で制限されることがある。例としては、私的利用における制限等が挙げられる。

著作者人格権[編集]

著作者人格権とは、著作物を創作した著作者に認められる人格的利益を保護するための権利である。著作権(著作財産権)とは異なり、一身専属的な権利であるため、他者に譲渡することはできない。公表権氏名表示権同一性保持権の3種の権利が存在する。

著作隣接権[編集]

著作隣接権とは、「著作物を公衆に伝達する役割を果たす行為に対して与えられる独占的な財産権」のことを指す[16]。具体的には、実演家・レコード製作者・放送事業者・有線放送事業者に認められる権利のことを指す[17]
なお、著作隣接権は、著作者の権利に影響を及ぼす物として解釈してはならない。

法による定義[編集]

「実演」とは、著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演ずること(これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む。)をいう。 「実演家」とは、俳優、舞踊家、演奏家、歌手その他実演を行う者及び実演を指揮し、又は演出する者をいう。

「レコード製作者」とは、「レコード」(音盤、テープやストレージなどに音を固定したもの(音を専ら影像とともに再生することを目的とするものを除く。))に固定されている音を最初に固定した者をいう。(原盤権

実演家の著作隣接権[編集]

実演家に対し、あるいは実演家の実演に対して認められる権利を列挙する。

  • 氏名表示権 - 実演に対する、著作物における氏名表示権と同様の権利。
  • 同一性保持権 - 実演に対する、著作物における同一性保持示権と同様の権利。
  • 録音権録画権 - 実演を録音し、又は録画する権利。
  • 公衆送信権 - 実演を公衆送信する権利。
  • 譲渡権 - 実演を、その録音物・録画物の譲渡により公衆に提供する権利。
  • 貸与権 - 実演を、それが録音された商業用レコードの貸与により公衆に提供する権利。
  • 報酬請求権 - 実演家の許諾範囲内で、実演の録音物または録画物を放送等しまたは有線放送等する場合に、放送事業者等から実演家が相当額の報酬の支払を受ける権利。
  • 二次使用料請求権 - 商業用レコードを用いて実演を放送または有線放送した場合に、文化庁指定の実演家構成団体が放送事業者等に対し二次使用料を請求できる権利。(なお後述のTPP11改正で、送信可能化されているレコードを直接放送または有線放送した場合にも請求権が認められた)

レコード製作者の著作隣接権[編集]

レコード製作者に対して認められる権利を列挙する。(原盤権と呼ぶ)

  • 複製権 - レコードを複製する権利。
  • 送信可能化権 - レコードを送信可能化する権利。
  • 譲渡権 - レコードを、その複製物の譲渡により公衆に提供する権利。
  • 貸与権 - レコードを、それが複製された商業用レコードの貸与により公衆に提供する権利。
  • 二次使用料請求権 - 商業用レコードを放送または有線放送した場合に、文化庁指定のレコード製作者構成団体が放送事業者等に対し二次使用料を請求できる権利。

(有線)放送事業者の著作隣接権[編集]

(有線)放送事業者に対して認められる権利を列挙する。

  • 複製権 - その(有線)放送を受信して、その(有線)放送に係る音又は影像を録音し、録画し、又は写真その他これに類似する方法により複製する権利。
  • 送信可能化権 - (有線)放送を受信して、その(有線)放送を送信可能化する権利。
  • 放送権、再(有線)放送権、有線放送権 - (有線)放送を受信してこれを放送または再(有線)放送し、又は有線放送する権利。
  • 伝達権 - (有線)テレビジョン放送又はこれを受信して行なう有線放送を受信して、影像を拡大する特別の装置を用いてその放送を公に伝達する権利。

権利侵害[編集]

著作権が侵害された場合の救済手段として差止請求権が認められている。損害賠償請求は一般法である民法の規定によるが、損害額の算定に関して特別の規定が設けられている。さらに権利侵害に対しては刑事罰も規定されているが、これらは親告罪とされている。ただし、コピーを防ぐためのプログラムを解除する装置ソフトを販売したり、著作者名を偽って販売を行ったりした場合には、権利者の告訴は必要ない(非親告罪)。

非親告罪化[編集]

海賊版対策の観点から、2006年(平成18年)より内閣府で行われた「知的創造サイクル専門調査会」の報告書(2007年2月26日)に、親告罪の一部非親告罪化、海賊版の広告への規制が盛り込まれた。報告書は、親告罪の状態では海賊版を取り締まる際に以下のリスクがあると述べ、それを解消するため、一定の場合(営利目的の海賊版の販売など)においては非親告罪の適用範囲拡大の見直しが提言された。また、海賊版の広告についても、権利侵害として法律の整備を提言している。この報告書などに際し日弁連が反対意見を述べている。

現行著作権法第123条は、第119条、第120条の2第3号及び第4号、第121条の2並びに前条第1項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない、と、規定している。しかし、後述の「TPP整備法による改正」に基づいて、一定の条件下で著作権等侵害等罪を非親告罪化する法改正案が可決成立し、非親告罪化規定が、TPP11協定発効日である2018年(平成30年)12月30日から施行される事が決定した[18]

TPP整備法による改正[編集]

TPP協定締結に関連する著作権法改正については、文化審議会は著作権法による音楽・書籍等の保護期間を70年へと延長する改正する方針を決定[19]。他のTPP関連改正と逢せて「環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案」として2016年3月8日の閣議決定[20]を経て、同日第188国会の衆議院へ提出され、2回継続審議になった後、2016年11月10日に衆議院、同年12月9日に参議院を通過し、同年12月16日に法律第108号として公布された[21]改正条文ほか)。なお後述するようにCPTPPの締結に伴う法改正でTPP整備法は、CPTPP及びTPP整備法となったが、以下の記述ではTPP整備法のままとする。

TPP整備法による著作権法改正[22]は、保護期間延長、有償著作物等の著作権等侵害等罪の非親告罪化、アクセスコントロールの回避行為の違法化、アクセスコントロールの回避行為の為の装置販売の刑事罰化、配信音源の二次使用に対する報酬請求権の付与、および損害賠償に関する規定の見直しを行うものである。

保護期間延長[編集]

著作権の保護期間を著作者の死後50年から70年に延長する。

無名又は変名の著作物及び団体名義の著作物についての保護期間を公表後50年から70年に延長する。

著作隣接権の保護期間を実演又はレコードの発行後50年から70年に延長する。放送及び有線放送については、放送から50年のままである。

なお保護期間の延長は、施行日の前日において著作権又は著作隣接権が消滅している著作物、実演及びレコードについては、適用されない(後述の、CPTPP及びTPP整備法附則第7条)。具体的には、著作者の死亡が1967年の場合は、1968年1月1日から50年であるから2017年12月31日限りで著作権が消滅しているので保護期間の延長の対象にはならない。これに対し著作者の死亡が1968年の場合は、1969年1月1日から50年であるから、改正がなければ2018年12月31日限り著作権が消滅するはずであったが2038年12月31日まで著作権が存続することになる。

技術的利用制限手段[編集]

アクセスコントロール(技術的利用制限手段)の回避行為を違法化(著作権等[注 2]を侵害する行為とみなす)する法改正である。技術的利用制限手段の回避[注 3](技術的利用制限手段の効果を妨げることにより、技術的利用制限手段により制限されている著作物等[注 4]視聴[注 5]を可能とすること)を対象とする。ただし今回の法改正では刑事罰対象外である。なお、コピー・プロテクション迂回装置(「技術的制限手段」迂回装置)の提供等は、平成23年(2011年)度改正の不正競争防止法により既に刑事罰の対象となっている。

コピーガード(技術的保護手段)と、アクセスコントロール(技術的利用制限手段)とは、本法規定上も別のものであり、前者は著作権等の侵害行為の防止を主眼とするが、後者はそのような限定がない(「コピーガード」や「リッピング」の項目ほかを参照のこと)。

技術的利用制限手段
電磁的方法[注 6]により、著作物等[注 4]視聴[注 5]を制限する手段(著作権者等[注 7]のの意思に基づくことなく用いられているものを除く。)であつて、著作物等[注 4]視聴に際し、これに用いられる機器が特定の反応をす実演る信号を著作物等[注 4]に係る若しくは影像とともに記録媒体に記録し、若しくは送信する方式又は当該機器が特定の変換を必要とするよう著作物等[注 4]に係る音若しくは影像を変換して記録媒体に記実演録し、若しくは送信する方式によるものをいう(主旨、1条1項21号)

著作権等侵害等罪の非親告罪化[編集]

有償著作物等の著作権等侵害等罪の非親告罪化とは、次の目的をもって、次の行為を被害者等による告訴が不要な非親告罪とするものである。

  • 行為の対価として財産上の利益を受ける目的、または(有償著作物等の提供若しくは提示により)著作権者等の得ることが見込まれる利益を害する目的
  • 正当な権利者が有償で公衆に提供し、又は提示している[注 8]著作物等[注 4](有償著作物等)につき、原作のまま複製された複製物を公衆に譲渡し、又は原作のまま公衆送信[注 9]を行うこと、またはそのための複製を行うこと。

ただし次の状況要件が規定されており、この状況要件を満たさない場合には非親告罪とはならない。

  • 当該有償著作物等の種類及び用途、当該譲渡の部数、当該譲渡又は公衆送信の態様その他の事情に照らして、当該有償著作物等の提供又は提示により著作権者等[注 7]の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合に限る。

施行期日[編集]

このTPP整備法による改正はいずれも、TPP11協定発効日である2018年(平成30年)12月30日から施行される事が決定した。

経緯としては、米国抜きでTPPを発効(TPP11)させるために「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP) 」が合意されたことに伴い、CPTPP発効時にこの改正を施行するための、TPP整備法改正法案が、2018年3月27日に閣議決定[23]され、同日衆議院へ提出された[24]。TPP整備法改正法案については、2018年5月24日に衆議院で自由民主党、公明党、日本維新の会及び希望の党の賛成で可決され[24]、同年6月29日に参議院で、自由民主党・こころ、公明党、日本維新の会、希望の党、無所属クラブ、国民の声及び無所属の一部(山口和之、渡辺喜美)の賛成多数で可決、成立した[25]。TPP整備法改正法は、2018年7月6日づけの官報(号外第147号)で平成30年法律第70号として公布された。改正後の正式題名は「環太平洋パートナーシップ協定の締結及び環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律」(略称:CPTPP及びTPP整備法)となり、CPTPPの発効する2018年12月30日[26]に施行される。

リーチサイト規制[編集]

2016年4月7日違法動画へ誘導する目的の違法動画紹介サイトを摘発する事が可能となるよう法改正を政府が検討[27]

リーチサイトによる被害は深刻で著作権侵害の対応を行う権利者にとって対応は大きな負担となっている[28][29]

著作権侵害行為の件数急増情勢からリーチサイトを摘発対象化・海外リーチサイトのブロッキング導入を検討[30]。リーチサイト規制以外にもプロバイダ責任法を改正しプロバイダ情報開示条件の緩和や不正アップロードを行った者が不当な利益を得られなくする為に米国と同等の削除に要する期間の短縮(5日程度から即時削除)等も検討されている。

2016年4月の第8回検討員会の報告案ではサーバーが海外でも日本向けにサービスを提供している事が明らか(例:FC2Googleの各種サービス等)な場合は日本法が適用される事を明確化及びオンライン広告が犯罪者・犯罪組織への資金提供に繋がっている為、優先的な対応(著作権侵害コンテンツアップロード者への広告報酬の支払い規制)が必要との結論に達した[31]

※リーチサイト規制は内閣府の知的財産戦略の施策である為、TPP関連の著作権法改正(非申告罪化・保護期間延長)と関連性は無い。

2016年5月9日知的財産推進計画2016に取りまとめを踏まえ、必要な取組を実施する対象として記載[32]

今後具体的なリーチサイト違法化や違法サイトへの広告提供禁止へ向けた法改正が文化庁及び経済産業省によって推進される見込み。

注釈[編集]

  1. ^ 著作物、実演、レコード、放送又は有線放送。以下同じ
  2. ^ 著作者人格権若しくは著作権、出版権又は実演家人格権若しくは著作隣接権
  3. ^ 技術的利用制限手段に係る研究又は技術の開発の目的上正当な範囲内で行われる場合その他著作権者等の利益を不当に害しない場合を除く
  4. ^ a b c d e f 著作物、実演、レコード又は放送もしくは有線放送
  5. ^ a b (プログラムの著作物にあつては、当該著作物を電子計算機において利用する行為を含む
  6. ^ 電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法
  7. ^ a b 著作権者、出版権者又は著作隣接権者
  8. ^ 日本国外で行われた提供又は提示については、日本国内で行われたものとみなす。
  9. ^ 公衆送信には、放送、有線放送、送信可能化が含まれる

出典[編集]

  1. ^ 著作権法2条1項2号
  2. ^ 著作権法15条1項
  3. ^ b:著作権法第16条
  4. ^ b:著作権法第14条
  5. ^ 著作権法63条1項
  6. ^ 北川善太郎京都大学法学部教授『ソフトウェアの使用と契約-開封契約批判』NBL435号11~12頁
  7. ^ b:著作権法第21条
  8. ^ b:著作権法第2条1項15号
  9. ^ 著作権法2条1項15号イ
  10. ^ 著作権法2条1項15号ロ
  11. ^ b:著作権法第49条
  12. ^ b:著作権法第79条
  13. ^ 岡田有花 (2017年10月10日). “「日本は機械学習パラダイス」 その理由は著作権法にあり”. ITmedia. http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1710/10/news040.html 2017年10月16日閲覧。 
  14. ^ 著作権法2条5項
  15. ^ 著作権法38条1項
  16. ^ 高林龍 『標準 著作権法』(有斐閣、2010年)230頁
  17. ^ 高林龍 『標準 著作権法』(有斐閣、2010年)230頁
  18. ^ 平成30年12月30日施行 環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(TPP11協定)の発効に伴う著作権法改正の施行について | 文化庁” (日本語). www.bunka.go.jp. 2018年11月8日閲覧。
  19. ^ “音楽など著作権保護70年に 文化審議会改正案、TPPに対応”. 産経新聞. (2016年2月29日). http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/160229/cpd1602290500002-n1.htm 
  20. ^ >平成28年3月8日(火)定例閣議案件
  21. ^ >閣法 第190回国会 47 環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案
  22. ^ “環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う 関係法律の整備に関する法律案の概要”. 内閣官房. (2016年3月). http://www.cas.go.jp/jp/houan/160308/siryou1.pdf 
  23. ^ >平成30年3月27日(火)定例閣議案件
  24. ^ a b 閣法 第196回国会 62 環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案” (日本語). www.shugiin.go.jp. 2018年11月9日閲覧。
  25. ^ 環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付):本会議投票結果:参議院” (日本語). www.sangiin.go.jp. 2018年11月9日閲覧。
  26. ^ “CPTPP underway – tariff cuts for our exporters on December 30” (英語). The Beehive. https://www.beehive.govt.nz/release/cptpp-underway-%E2%80%93-tariff-cuts-our-exporters-december-30 2018年11月9日閲覧。 
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  28. ^ “平成 23 年度 知的財産権侵害対策ワーキング・グループ等 侵害対策強化事業 (リーチサイト及びストレージサイトにおける 知的財産権侵害実態調査) 報告書”. 国立大学法人 電気通信大学. (2012年3月). http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2012fy/E002243.pdf 
  29. ^ “国境を容易に越える侵害 マンガ海賊版の最新状況とその対策”. 集英社 知的財産課. (2015年11月15日). http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/kokusai/h27_02/pdf/shiryo2.pdf 
  30. ^ “国境を越えるインターネット上の知財侵害への 対応について (討議用)”. 内閣官房 知的財産戦略推進事務局. (2016年2月). https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kensho_hyoka_kikaku/2016/jisedai_tizai/dai5/siryou2.pdf 
  31. ^ “国境を越えるインターネット上の知財侵害への 対応について (討議用)”. 内閣官房 知的財産戦略推進事務局. (2016年4月). https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kensho_hyoka_kikaku/2016/jisedai_tizai/dai8/siryou1.pdf 
  32. ^ “知的財産推進計画2016”. 内閣官房 知的財産戦略推進事務局. (2016年5月9日). http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kettei/chizaikeikaku20160509.pdf 

関連項目[編集]