藤井浩人

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藤井 浩人
ふじい ひろと
生年月日 (1984-07-25) 1984年7月25日(35歳)
出生地 岐阜県美濃加茂市
出身校 名古屋工業大学工学部
システムマネジメント工学科卒業
名古屋工業大学大学院
工学研究科産業戦略工学専攻中退
前職 美濃加茂市長
所属政党無所属→)
自由民主党→)
無所属
称号 学士(工学)(名古屋工業大学・2007年
公式サイト 藤井浩人 OfficialSite

当選回数 3回(市長としては2期)
在任期間 2013年6月2日 - 2016年12月19日
2017年1月29日 - 2017年12月14日

美濃加茂市の旗 美濃加茂市議会議員
当選回数 1回
在任期間 2010年10月13日 - 2013年5月
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藤井 浩人(ふじい ひろと、1984年7月25日 - )は、日本政治家岐阜県美濃加茂市前市長。

来歴[編集]

岐阜県美濃加茂市蜂屋町出身。父親は警察官であった[1]大垣市立東小学校美濃加茂市立西中学校岐阜県立加茂高等学校卒業。2007年名古屋工業大学工学部システムマネジメント工学科を卒業後、同大学大学院工学研究科産業戦略工学専攻に進む[2]

2009年、大学院を中退し、学習塾の塾長になる[3]

2010年10月3日の美濃加茂市議会議員選挙に立候補し、1,602票を獲得してトップ当選する[4]10月13日、同市議に就任[5]。市議会では一人会派「真摯」に所属した[6]

2013年4月19日、美濃加茂市の渡辺直由市長が病気療養専念のため辞意を表明した。同年5月9日、渡辺市長は辞職、それに伴って6月2日に行われた同市長選挙に無所属で立候補、市議会最大会派が擁立し自民党が推薦した元市副議長の森弓子[7]を破り当選した(藤井:11,394票、森:9,138票)。2010年代に入り全国的に青年市長が誕生させる動きがあり、保守の地盤が厚い岐阜県内においても尾関健治関市・2011年9月市長就任)や浅野健司各務原市・2013年4月市長就任)らが現職を破り青年市長の仲間入りをする流れはあったが、藤井は尾関・浅野よりさらに若い当時28歳で全国最年少で市長に就任した[8][9][10]

投票日翌日の6月3日、「自民の強い土地柄。より多くの人の協力を得たい」として自由民主党に入党した[7]

2014年6月24日事前収賄などの疑いで逮捕。本件に関しては最高裁判所まで争った(後述)[11]

2016年12月19日、出直し選挙のため美濃加茂市長を辞職[12]2017年1月29日に行われた出直し市長選で再選[13]。任期満了に伴う市長選挙が5月14日に告示され、無投票で再選(2期目)[14]

2017年12月14日、美濃加茂市議会議長に対して同日付での退職願を提出し、同日の市議会本会議にて「市長の退職の期日に関する同意案」が可決されたため、市長を辞職した[15]

2018年4月、自由民主党の金子俊平衆議院議員東京事務所で、同年6月より私設秘書として活動することが明らかになる[16]。また慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究所(中村伊知哉研究室)の研究員にも就任[17]。6月2日に交際中であった女性と入籍。12月に男児が誕生した。

政策・主張[編集]

  • 大学院生時代、東南アジアを周遊し、現地の人の国や自分の将来を熱く語る姿、そして、日本の評価の高さやパスポートの価値を知って、自分にはなにができるのかと考えたのが政治家を志すきっかけになったと述べている[18]
  • 未就学児を含めた教育の充実や、国際交流などを通じたコミュニケーション能力の向上を主張している[19]

収賄[編集]

2014年6月24日、藤井が市議時代に自身の出身中学校への雨水濾過機設置に便宜を図った見返りに、名古屋市北区の浄水設備業者社長から、現金30万円を2回に分けて受け取った疑いがあるとして、愛知県警岐阜県警による合同捜査本部は事前収賄容疑などにより藤井を逮捕した[20][21][注 1]。逮捕当日、自民党岐阜県連から除名処分を受けた[24]。同年7月15日名古屋地検は藤井を事前収賄などの罪で起訴[25]

同年8月19日、美濃加茂市議会は9月定例会において、藤井に対する問責決議案を賛成多数で可決した。「市政の停滞と混乱を来し、対外的な信頼を損なう事態を招いたことに深く反省を求める」とする決議内容であった [注 2]

同年8月25日名古屋拘置所から保釈された。裁判の弁護人郷原信郎が担当している[27]9月17日、初公判。9月25日、愛知県警などから参考人として十数回の事情聴取を受けていた美濃加茂市の税務課長(2014年3月まで同市教育委員会教育総務課長)が自殺[28]。なお、藤井は江川紹子の取材に対し、警察の取り調べを受けた際に「早く自白しないと、美濃加茂市を焼け野原にする」と言われたと述べている[注 3]

2015年1月16日、本件の贈賄罪および別件の詐欺罪に問われた会社社長に対して名古屋地裁懲役4年の実刑判決を言い渡した[30]。なお、この判決と藤井の件は別の裁判官、証拠で審理しているので、藤井の裁判には影響はない[31]

2015年3月5日、裁判の最大の争点の一つは、贈賄側である会社社長の供述の信用性とされるが、一審の名古屋地裁は、会社社長の供述は変遷しており、信用性に疑問が残るとして、藤井に対し無罪を言い渡した[32][33][34]。これに対し、3月18日、名古屋地検は名古屋高裁控訴した[35]

2016年11月28日、名古屋高裁で行われた控訴審(村山浩昭裁判長)では、会社社長の供述の変遷は、通常の記憶の減退の範囲内とするなど、供述には相当の信用性があるとして、一審判決を破棄。懲役1年6月、執行猶予3年、追徴金30万円の有罪判決が言い渡された[36][34]。藤井は即日上告[12]

2017年12月13日、最高裁第三小法廷は、藤井の上告棄却する決定を行ったことが明らかとなった。このため、藤井の有罪が確定することとなり、公職選挙法第99条の規定により公職(市長職)の当選効力を失うこととなった[11]。これを受けて藤井は同日、「市政に混乱を来さないため」として辞職を表明した[37][38]12月26日付で最高裁第3小法廷は上告棄却に対する藤井の異議申し立てを退ける決定をし、名古屋高裁判決が確定した[39]

関連項目[編集]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 裁判における検察側の主張は次のとおり。1回目の現金の授受は2013年4月2日。場所は美濃加茂市内のファミリーレストラン。同席者は中村孝道名古屋市議の秘書。会社社長は会食前に金融機関ATMから15万円を引き出し、そのうちの10万円をクリアファイルに入れて市議秘書が席を外したときに藤井に手渡したとする。2回目の現金の授受は2013年4月25日。場所は名古屋市内の居酒屋。このときも同じ市議秘書が同席し、同秘書が席を外したときに封筒に入った20万円を藤井に手渡したとする[22]。 2013年4月中旬に担当課長にメールで浄化設備の導入を強く促していたことや、その旨を会社社長にメールで伝えていたことなどが判明している[23]
  2. ^ 現職市議17人(欠員1)が下した採決の内訳は以下のとおり。保守系最大会派の「新生会」(7人)と「日本共産党市議団」(2人)が賛成し、賛成9。「ミノカモ未来」(2人)と「立志会」(2人)と「新流」(1人)が反対し、反対5。これにより問責決議案は可決した。「市議会公明党」(2人)は退席、新生会所属の議長は採決には加わらなかった[26]
  3. ^ 初公判(2014年9月17日)の直前に江川紹子が行ったインタビューより[29]

出典[編集]

  1. ^ “市民の期待集める 美濃加茂市長の藤井容疑者”. 産経ニュース. (2014年6月24日). http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140624/crm14062417580019-n1.htm 2014年6月25日閲覧。 
  2. ^ 名古屋工業大学 卒業生連携室 活躍する卒業生(2)
  3. ^ 前美濃加茂市議会議員 藤井浩人 公式サイト :: プロフィール
  4. ^ 美濃加茂市議会議員選挙|ザ・選挙
  5. ^ 平成22年 市町村選挙の執行結果等について
  6. ^ 美濃加茂市議会議員名簿 任期:平成22年10月13日~平成26年10月12日
  7. ^ a b “私はこれで自民系に勝ちました”. 中日新聞. (2013年6月21日). http://www.chunichi.co.jp/article/senkyo/sanin2013/chubu/CK2013062102000229.html 2014年6月25日閲覧。 
  8. ^ 美濃加茂市長選挙|ザ・選挙
  9. ^ 選挙:美濃加茂市長に28歳藤井浩人氏 全国最年少(毎日新聞 2013年6月3日閲覧)
  10. ^ 岐阜県選挙管理委員会 市町村長名簿、市町村長・議員任期一覧
  11. ^ a b “藤井美濃加茂市長 有罪確定へ 失職、最高裁が上告棄却”. 岐阜新聞電子版. 岐阜新聞社. (2017年12月13日). http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20171213/201712131403_31126.shtml 2017年12月14日閲覧。 
  12. ^ a b “藤井市長、辞意表明 出直し選出馬 美濃加茂市汚職”. 岐阜新聞 (岐阜新聞社). (2016年12月7日). オリジナルの2016年12月13日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20161213231230/http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20161207/201612070846_28580.shtml 2016年12月14日閲覧。 
  13. ^ “美濃加茂市長選 出直しの藤井前市長が再選 新人降す”. 毎日新聞 (毎日新聞社). (2017年1月27日). http://mainichi.jp/senkyo/articles/20170130/k00/00m/010/087000c 2017年1月29日閲覧。 
  14. ^ “美濃加茂市長に藤井氏が3選 在任中に有罪確定なら失職”. 朝日新聞 (朝日新聞社). (2017年5月14日). http://www.asahi.com/sp/articles/ASK5B6D2HK5BOHGB00Q.html 2017年5月21日閲覧。 
  15. ^ “藤井市長の辞職同意案可決 美濃加茂市議会”. 岐阜新聞電子版. 岐阜新聞社. (2017年12月14日). http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20171214/201712141007_31135.shtml 2017年12月14日閲覧。 
  16. ^ 前美濃加茂市長議員秘書に 自民、衆院岐阜4区日本経済新聞 電子版2018/4/27
  17. ^ 藤井浩人さんのツイート(2018年3月15日)
  18. ^ 信念『藤井浩人公式ページ』2017年1月9日閲覧
  19. ^ 政策『藤井浩人公式ページ』2017年1月9日閲覧
  20. ^ “29歳最年少市長を逮捕 収賄容疑、岐阜・美濃加茂市”. 産経新聞. (2014年6月24日). オリジナルの2014年10月1日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20141001073044/http://www.sankei.com/affairs/news/140624/afr1406240010-n1.html 2015年3月5日閲覧。 
  21. ^ “29歳最年少の美濃加茂市長逮捕 浄水設備導入で収賄容疑”. 中日新聞. (2014年6月24日). オリジナルの2014年7月14日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140714164620/http://www.chunichi.co.jp/s/article/2014062490215914.html 2015年3月5日閲覧。 
  22. ^ “美濃加茂市長、公判の証言台に 現金授受あったのか”. 朝日新聞. (2014年10月23日). オリジナルの2014年10月23日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20141023214325/http://www.asahi.com/articles/ASGBR4FZJGBROHGB00G.html 2015年3月5日閲覧。 
  23. ^ “メールで設備導入促す 美濃加茂市長が市議時”. 中日新聞. (2014年6月25日). オリジナルの2014年7月14日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140714193705/http://www.chunichi.co.jp/s/article/2014062590160549.html 2015年3月5日閲覧。 
  24. ^ “「前代未聞」の検察の判断を待つ藤井美濃加茂市長事件”. ハフィントンポスト. (2014年7月14日). オリジナルの2014年7月15日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20140715045449/http://www.huffingtonpost.jp/nobuo-gohara/hiroto-fujii_b_5586338.html 2015年3月20日閲覧。 
  25. ^ “美濃加茂市長、収賄罪などで起訴 浄水設備導入めぐり”. 朝日新聞. (2014年7月15日). オリジナルの2014年7月15日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140715190422/http://www.asahi.com/articles/ASG7H4VTCG7HOIPE01K.html 2015年3月5日閲覧。 
  26. ^ “美濃加茂市長の問責決議 議会、辞職求めず”. 中日新聞. (2014年8月19日). オリジナルの2014年8月21日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140821181912/http://www.chunichi.co.jp/s/article/2014081990114627.html 2015年3月5日閲覧。 
  27. ^ “全国最年少市長の「潔白を晴らす」”. 郷原信郎が斬る. https://nobuogohara.wordpress.com/2014/06/27/%E5%85%A8%E5%9B%BD%E6%9C%80%E5%B9%B4%E5%B0%91%E5%B8%82%E9%95%B7%E3%81%AE%E3%80%8C%E6%BD%94%E7%99%BD%E3%82%92%E6%99%B4%E3%82%89%E3%81%99%E3%80%8D/ 2015年3月6日閲覧。 
  28. ^ “美濃加茂市の課長自殺…市長藤井浩人被告の収賄事件で聴取”. 読売新聞. (2014年9月27日). http://www.yomiuri.co.jp/national/20140927-OYT1T50077.html 2014年11月5日閲覧。 [リンク切れ]
  29. ^ “本日初公判、全国最年少市長・藤井浩人が激白!「『自白しないと美濃加茂市を焼け野原にする』と言われました」”. 週刊プレイボーイ. (2014年9月17日). http://wpb.shueisha.co.jp/2014/09/17/35807/ 2014年11月5日閲覧。 
  30. ^ “岐阜の贈賄側社長に懲役4年 美濃加茂市の汚職事件”. 共同通信. http://www.47news.jp/CN/201501/CN2015011601001170.html 2015年1月16日閲覧。 
  31. ^ 贈賄側に懲役4年判決 美濃加茂市贈収賄事件で名地裁判決『岐阜新聞 Web』2015年1月17日
  32. ^ 岐阜・美濃加茂市長に無罪判決 設備導入、収賄認めず”. 共同通信 (2015年3月5日). 2015年3月5日閲覧。
  33. ^ “美濃加茂市長に無罪判決”. 中日新聞. オリジナルの2015年3月5日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20150305102951/http://www.chunichi.co.jp/s/article/2015030590144744.html 2015年3月5日閲覧。 
  34. ^ a b 【青年市長の汚職裁判】藤井浩人被告の判決要旨「業者の証言は具体的かつ詳細」 名古屋高裁(1/2ページ)『産経WEST』2016年11月28日
  35. ^ “美濃加茂市長「仕事に影響、悔しい」 地検の控訴受け”. 日本経済新聞. (2015年3月19日). オリジナルの2015年3月20日時点によるアーカイブ。. http://archive.is/pNTs0 2015年3月20日閲覧。 
  36. ^ “美濃加茂市長に逆転有罪 収賄事件で名古屋高裁判決”. 日本経済新聞. (2016年11月28日). https://r.nikkei.com/article/DGXLASFD26H08_Y6A121C1000000/ 2016年11月28日閲覧。 
  37. ^ “藤井美濃加茂市長「悔しい」憤り 混乱避け辞職決断”. 岐阜新聞電子版. 岐阜新聞社. (2017年12月14日). http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20171214/201712140843_31133.shtml 2017年12月14日閲覧。 
  38. ^ 「冤罪がまかり通る世の中を身をもって知った」 美濃加茂市長の有罪判決が確定へ”. 弁護士ドットcom (2017年12月13日). 2017年12月14日閲覧。
  39. ^ “前美濃加茂市長の有罪確定 汚職事件”. 日本経済新聞. (2017年12月27日). https://r.nikkei.com/article/DGXMZO2515399027122017CC1000 2017年12月27日閲覧。 
  40. ^ TVアニメ「のうりん」、2014年1月スタート! 岐阜県美濃加茂市が全面協力、原作者と市長は以前からの知人”. アキバ総研. カカクコム. 2014年1月30日閲覧。