調停

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調停室(神戸地裁柏原支部)

調停(ちょうてい)は、紛争当事者双方の間に第三者が介入して紛争の解決を図ること。主に法令によって制度化されているものを指す。

民事法[編集]

一部の規定では、調停を経た後でなければ訴訟をすることができない旨(調停前置主義)を定める。

近年は、米国などにおいて自主交渉援助型調停(日本ではミディエーションと呼ばれる)という新たな調停の流れが出てきている。伝統的な調停が、調停委員などの調停者が当事者双方の言い分を聞きつつ法的基準に基づいて解決合意の成立を目指すのに対し、ミディエーションは、第三者(ミディエーター)が当事者間の自主的な話し合いを援助し、対話を促進することにより、解決に向けた合意の成立を目指す。紛争の実情に法規範を当てはめた場合の結果と異なる合意が成立することもあり得るが、私的自治の原則が妥当する範囲内で有効性が認められると解される。

労働法[編集]

集団的労働紛争については労働関係調整法に一般的規定がある。同法に定める三つある労働争議調整手段(あっせん、調停、仲裁)の一つである。

労働委員会は、次の各号のいずれかに該当する場合に、調停を行う(労働関係調整法第18条)。労働委員会は、関係当事者の一方から、2.~5.によって調停の申請・決議・請求がなされたときは関係当事者の双方に、遅滞なくその旨を通知しなければならない(労働関係調整法施行令第7条1項)。この場合において、事件が公益事業に関するものであるときは、労働委員会は、併せて、その旨を公表[1]しなければならない(労働関係調整法施行令第7条2項)。

  1. 関係当事者の双方から、労働委員会に対して、調停の申請がなされたとき。
  2. 関係当事者の双方又は一方から、労働協約の定めに基づいて、労働委員会に対して調停の申請がなされたとき。
  3. 公益事業に関する事件につき、関係当事者の一方から、労働委員会に対して、調停の申請がなされたとき。
  4. 公益事業に関する事件につき、労働委員会が職権に基づいて、調停を行う必要があると決議したとき。
  5. 公益事業に関する事件又はその事件が規模が大きいため若しくは特別の性質の事業に関するものであるために公益に著しい障害を及ぼす事件につき、厚生労働大臣又は都道府県知事から、労働委員会に対して、調停の請求がなされたとき。
    5.の調停の請求は、その事件が一の都道府県の区域内のみにかかるものであるときは当該都道府県知事がなし、その事件が二以上の都道府県にわたるものであるとき、又は中央労働委員会が全国的に重要な問題にかかると認めたものであるときは厚生労働大臣がなす。厚生労働大臣が必要と認めるときは、この規定による都道府県知事又は厚生労働大臣の職権は、この規定にかかわらず、厚生労働大臣又は厚生労働大臣の指定する都道府県知事が、これを行うものとすることができる(労働関係調整法施行令第8条)。なお、5.の事務について、船員に関しては国土交通大臣地方運輸局長)が行うこととされていたが、平成20年の改正法施行により船員労働委員会が廃止されたことに伴い、厚生労働大臣又は都道府県知事が行うこととなった(平成20年9月12日政発第0912001号)。

労働委員会による労働争議の調停は、使用者を代表する調停委員、労働者を代表する調停委員及び公益を代表する調停委員から成る調停委員会を設け、これによって行う(三者構成の原則、労働関係調整法第19条)[2]。調停委員会の、使用者を代表する調停委員と労働者を代表する調停委員とは、同数でなければならない(労働関係調整法第20条)。調停委員会の委員長は、調停委員会で、公益を代表する調停委員の中から、これを選挙する(労働関係調整法第20条)。調停委員会は、使用者を代表する調停委員及び労働者を代表する調停委員が出席しなければ、会議を開くことはできない(労働関係調整法第23条2項)。

調停委員会は、期日を定めて、関係当事者の出頭を求め、その意見を徴さなければならない(労働関係調整法第24条)。調停をなす場合には、調停委員会は、関係当事者及び参考人以外の者の出席を禁止することができる(労働関係調整法第25条)。

調停委員会は、申請・決議・請求の日から15日以内に調停案を作成し、10日以内の期限を附して、これを関係当事者に示し、その受諾を勧告するとともに、その調停案は理由を附してこれを公表することができる。調停案が関係当事者の双方により受諾された後、その調停案の解釈又は履行について意見の不一致が生じたときは、関係当事者は、その調停案を提示した調停委員会にその解釈又は履行に関する見解を明らかにすることを申請しなければならない。調停委員会は、この申請のあった日から15日以内に、関係当事者に対して、申請のあった事項について解釈又は履行に関する見解を示さなければならない。この解釈又は履行に関する見解が示されるまでは、関係当事者は、当該調停案の解釈又は履行に関して争議行為をなすことができない(労働関係調整法第26条、施行令第10条)。

公益事業に関する事件の調停については、特に迅速に処理するために、必要な優先的取扱がなされなければならない(労働関係調整法第27条)。

労働関係調整法第3章(調停)の規定は、労働争議の当事者が、双方の合意又は労働協約の定により、別の調停方法によつて事件の解決を図ることを妨げるものではない(労働関係調整法第28条)。

個別労働紛争については、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(男女雇用機会均等法)、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム労働法)、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児介護休業法)等の法令に、都道府県労働局長が当該紛争の当事者の双方または一方から調停の申請があった場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、紛争調停委員会に調停を行わせるものとすること、事業主は調停を申請したことを理由として、当該労働者に対して解雇その他の不利益な取扱いをしてはならない、とする旨の規定がある。

国際法[編集]

国際紛争の平和的処理手続の一つ。

知的財産法[編集]

日本知的財産仲裁センターは知的財産を巡る紛争について調停する機関である。

脚注[編集]

  1. ^ この公表は、府県公報に公示すると共に、新聞、ラジオ等に発表してこれを行うこと。この公表には、調整の申請若しくは請求の受理又は決議の年月日及び労働関係調整法第37条の期間の満了により争議行為の発生することあるべき日を明示すると共に、当該事件の要点、特に双方の主張の要点を公正に発表し以て輿論の喚起に資するよう配慮すること(昭和21年10月14日厚生省発労44号)。
  2. ^ 調停委員会は、実情に応じその機能を十分に発揮するため、これを予め数班常設し置くことも考慮すべきこと(昭和21年10月14日厚生省発労44号)。

関連項目[編集]