警戒航空隊

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
警戒航空隊
Airborne Warning and Control Group
Boeing E-767 (4).jpg
警戒航空隊第602飛行隊のE-767
創設 1986年4月5日
廃止 2020年(令和2年)3月予定 (警戒航空隊)
再編成 2020年(令和2年)3月予定 (警戒航空団)
所属政体 日本の旗 日本
所属組織 Flag of the Japan Air Self-Defense Force.svg 航空自衛隊
所在地 静岡県浜松基地
編成地 青森県三沢基地
通称号/略称 AEWG/警空隊
上級単位 航空総隊
テンプレートを表示

警戒航空隊(けいかいこうくうたい、英称:Airborne Warning and Control Group)は、航空自衛隊航空総隊直轄の部隊。早期警戒機及び早期警戒管制機を運用し、主に航空脅威に対する早期警戒を行う。

概要[編集]

1976年(昭和51年)9月に発生した、ベレンコ中尉亡命事件で航空自衛隊警戒レーダー網では、低空飛行侵入ではレーダー探知できない盲点があることが浮き彫りになった。このため、より一層の防空体制の確立が急務となり、同年10月に閣議決定された防衛大綱(51大綱)で警戒航空部隊の編成が定められた。これを受けて早期警戒機に関する調査を開始し、1977年(昭和52年)5月15日から6月10日にかけてアメリカへ第一次早期警戒機調査団を派遣し、1978年(昭和53年)5月24日から6月14日にかけても第二次早期警戒機調査団をアメリカに派遣して情報収集を行い、同年8月23日E-2Cが導入機種に内定、1979年(昭和54年)1月11日国防会議で導入が正式決定された[1]。まず、4機のE-2Cが導入されることとなり、運用部隊として1982年(昭和57年)12月21日北部航空方面隊司令部直轄で警戒航空準備隊が三沢基地に編成された。1983年(昭和58年)7月15日には4機のE-2Cが三沢基地に揃い、同年11月10日に防衛庁長官から部隊使用承認が付与されたことから、11月15日付けで警戒航空準備隊が臨時警戒航空隊に改編となり、隷下の飛行準備隊も臨時第601飛行隊に改編された。また、臨時警戒航空隊の所属も北部航空方面隊司令部直轄から航空総隊直轄に変更となった[1][2]。E-2Cは1986年(昭和61年)4月5日に8機体制となり、臨時警戒航空隊及び臨時第601飛行隊から臨時の文字が外れて部隊として正式に発足となった。警戒航空隊のE-2Cがその後13機まで増強され、最終号機は1994年(平成6年)4月28日に受領した[3]

E-2C導入後から防衛庁内では、さらに高性能な早期警戒管制機の導入検討が行われ、1992年(平成4年)5月にはアメリカへ早期警戒管制機調査チームが派遣されて情報収集を行い、B767-200ERをベースとしたE-767を導入することとなった。1993年度(平成5年度)予算と1994年度(平成6年度)予算で2機ずつ発注され、初号機と2号機が1998年(平成10年)3月25日に浜松基地へフェリーされ、3号機と4号機は翌1999年(平成11年)2月8日に浜松基地へフェリーされた[4]。同年3月25日に警戒航空隊の組織改編が行われ、司令部を三沢基地から浜松基地に移動し、第601飛行隊を分割してE-2Cを運用する第1飛行班が三沢基地、E-767を運用する第2飛行班が浜松基地に置かれた[5]2005年(平成17年)3月31日に二度目の組織改編が行われ、第601飛行隊第1飛行隊が「飛行警戒監視隊」、第601飛行隊第2飛行隊が「飛行警戒管制隊」に改編された[4]2014年(平成26年)4月20日には、中国人民解放軍南西諸島方面での活動活発化に伴い、警戒航空隊三度目の組織改編が行われた。この改編では、三沢基地の飛行警戒監視隊が廃止されてE-2Cを運用する飛行警戒監視群が新編され、三沢基地に第601飛行隊と那覇基地第603飛行隊が隷下部隊として新編された。また、浜松基地の飛行警戒管制隊が廃止されて第602飛行隊が新編された[6]。2019年度予算案の概要および国会提出法案によれば、同年度末には四度目の改編を実施、警戒航空隊を廃止し「警戒航空団」(仮称)として増強改編を行う予定[7][8]

沿革[編集]

  • 1982年(昭和57年)12月21日 - 三沢基地の北部航空方面隊司令部隷下に警戒航空準備隊新編[1]
  • 1983年(昭和58年)2月8日 - E-2C初号機及び2号機が三沢基地到着[1]
7月15日 - E-2C 3号機及び4号機が三沢基地到着[1]
11月10日 - 防衛庁長官よりE-2C部隊使用承認付与[1]
11月15日 - 4機のE-2Cにより、三沢基地にて航空総隊隷下で臨時警戒航空隊編成[9]、警戒航空準備隊廃止[1]
3月24日 - 防衛庁長官よりE-767部隊使用承認付与[5]
3月25日 - 警戒航空隊の組織改編により警戒航空隊司令部及び第601飛行隊司令部が三沢基地から浜松基地へ移転。第601飛行隊分割改編され、第601飛行隊第1飛行班(使用機:E-2C)と第601飛行隊第2飛行班(使用機:E-767)に改編[5]
  • 2000年(平成12年)4月 - E-767での対領空侵犯措置任務開始[1]
  • 2003年(平成15年)11月8日 - 警戒航空隊創設20周年記念式典を実施[10]
  • 2005年(平成17年)3月31日 - 警戒航空隊の組織改編により、第601飛行隊第1飛行班を飛行警戒監視隊へ、第601飛行隊第2飛行班を飛行警戒管制隊に改編[4]
  • 2013年(平成25年)11月30日 - 警戒航空隊創設30周年記念式典を実施[11]
  • 2014年(平成26年)4月20日 - 警戒航空隊の組織改編により、E-2C運用部隊について、飛行警戒監視隊を廃止し、飛行警戒監視群及び隷下に第601飛行隊を三沢基地、第603飛行隊を那覇基地に新編。併せて、飛行警戒管制隊を第602飛行隊に改編[12]
  • 2019年(平成31年)3月27日 - E-2D初号機が三沢基地到着[13]
  • 2020年(令和02年)3月 - 警戒航空隊を廃止し、警戒航空団(仮称)に増強改編予定[7][8]

組織編成[編集]

  • 警戒航空隊本部(浜松基地)

主要幹部[編集]

官職名 階級 氏名 補職発令日 前職
警戒航空隊司令 1等空佐 大嶋善勝 2019年05月11日 航空幕僚監部運用支援・情報部
運用支援課長
副司令 1等空佐 朝倉勝彦 2018年03月20日 情報本部勤務
飛行警戒監視群司令 1等空佐 有馬元 2018年03月31日 北部航空方面隊司令部防衛部防衛課長
第1整備群司令 2等空佐 湯川秀人 2018年04月01日 航空自衛隊第1術科学校第2教育部長
第2整備群司令 1等空佐 泉山正司 2017年04月01日 統合幕僚監部総務部総務課勤務
歴代の警戒航空隊司令
(1等空佐)
氏名 在職期間 前職 後職
1 野々村郁利 1986年04月05日 - 1986年06月30日 臨時警戒航空隊司令 調達実施本部名古屋支部
岐阜調達管理事務所長
2 山下民夫 1986年07月01日 - 1988年03月15日 第7航空団副司令 調達実施本部東京支部
府中調達管理事務所長
3 増田直之 1988年03月16日 - 1990年07月08日 飛行教導隊司令 航空総隊司令部監察官
4 井上正和 1990年07月09日 - 1992年03月15日 西部航空方面隊司令部防衛部長 航空総隊司令部監察官
5 大西三郎 1992年03月16日 - 1992年12月14日 西部航空方面隊司令部防衛部長 航空総隊司令部勤務
6 橋口健治 1992年12月15日 - 1994年04月01日 北部航空方面隊司令部防衛部長 退職(空将補昇任)
7 瀬戸正胤 1994年04月01日 - 1995年03月22日 航空幕僚監部調査部調査第1課長 北部航空警戒管制団司令
(空将補昇任)
8 木村忠信 1995年03月23日 - 1997年11月30日 統合幕僚会議事務局第5幕僚室
防衛企画調整官
兼 総括班長
防衛研究所第1研究部第4研究室長
9 保木正和 1997年12月01日 - 1999年08月01日 航空支援集団司令部防衛部長 退職(空将補昇任)
10 大久保淳 1999年08月01日 - 2001年03月26日 航空自衛隊幹部学校主任教官 第12飛行教育団司令
防府北基地司令
11 福山建志 2001年03月27日 - 2003年12月19日 航空総隊司令部防衛部運用課長 特別航空輸送隊司令
12 滝脇博之 2003年12月20日 - 2005年01月11日 航空総隊司令部防衛部運用課長 第83航空隊司令
那覇基地司令
(空将補昇任)
13 重久修 2005年01月12日 - 2007年12月02日 航空幕僚監部監察官 第7航空団司令
百里基地司令
(空将補昇任)
14 橋本進 2007年12月03日 - 2008年11月30日 西部航空方面隊司令部防衛部長 第13飛行教育団司令
15 森田公治 2008年12月01日 - 2010年12月14日 第2高射群司令 第1航空団司令
浜松基地司令
(空将補昇任)
16 吉村仁孝 2010年12月15日 - 2013年03月31日 航空幕僚監部運用支援・情報部
情報課長
航空総隊司令部監理監察官
17 津田昌隆 2013年04月01日 - 2015年03月31日 航空幕僚監部監察官 航空支援集団司令部防衛部長
18 加治屋秀昭 2015年04月01日 - 2018年03月26日 航空総隊司令部防衛部防衛課長 航空自衛隊幹部学校副校長
(空将補昇任)
19 芳賀和典 2018年03月27日 - 2019年05月10日 航空自衛隊幹部学校主任教官
兼 航空自衛隊幹部学校
航空総隊司令部監理監察官
20 大嶋善勝 2019年05月11日 - 航空幕僚監部運用支援・情報部
運用支援課長

脚注・出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j イカロス出版 Jwing No.36 2001年8月号 28頁-57頁 「空飛ぶレーダーサイト AWACSとAEW」青木謙知
  2. ^ イカロス出版 自衛隊の名機シリーズ5 T-4/C-1/E-767 102頁 「航空自衛隊機ヒストリー 6.航空自衛隊空中早期警戒機の系譜」松崎豊一
  3. ^ a b 朝雲新聞社 FOR THE BLUE SKY 航空自衛隊の50年 122頁-127頁 「航空自衛隊略年表」
  4. ^ a b c イカロス出版 自衛隊機年鑑1952-2016 40-41頁 「E-767」松崎豊一
  5. ^ a b c d e イカロス出版 Jwing No.71 2004年7月号 4頁-13頁 「航空自衛隊50周年記念徳永克彦空撮シリーズ⑥ E-767AWACS」青木謙知
  6. ^ イカロス出版 Jwing No.191 2014年7月号 6頁-9頁 「那覇でE-2C部隊 第603飛行隊が発足!!」坪田敦史
  7. ^ a b 我が国の防衛と予算ー平成31年度予算の概要ー (PDF)”. 防衛省 (2019年3月27日). 2019年4月5日閲覧。
  8. ^ a b 防衛省設置法等の一部を改正する法律案・理由”. 防衛省 (2019年2月8日). 2019年2月10日閲覧。
  9. ^ 昭和58年 防衛白書
  10. ^ イカロス出版 Jwing No.65 2004年1月号 96頁 「行くぞ!NEWSマン 自衛隊NEWS」
  11. ^ イカロス出版 Jwing No.186 2014年2月号 92頁 「行くぞ!NEWSマン 自衛隊・国内NEWS」
  12. ^ 「警戒航空隊の改編について」防衛省報道発表2014年4月11日
  13. ^ 文林堂 航空ファン No.798 2019年6月号 118頁 「航空最新ニュース 自衛隊 在日米軍」