鉄道企業体カーゴ・スロバキア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
鉄道企業体カーゴ・スロバキア株式会社
Železničná spoločnosť Cargo Slovakia, a.s.
131 068-9, Польша, Малопольское воеводство, перегон Буковно - Олькуш (Trainpix 213854).jpg
ZSSK Cargo 131形直流電気機関車
PKPポーランド鉄道路線網ブコヴノ-オルクシュ間)
種類 株式会社
略称 ZSSK Cargo / ZSCS / ZSSKC
本社所在地 スロバキアの旗 スロバキア
ブラチスラヴァ市ドリエニョヴァー通り24番地
設立 2005年1月1日
業種 陸運業
事業内容 スロバキア国鉄線における貨物鉄道事業
代表者 マテイ・アウグスティーン(取締役社長)
(Matej Augustín)
資本金 121億スロバキアコルナ
(2008年12月期)
売上高 138億8,700万スロバキアコルナ
(2008年12月期)
総資産 237億1,200万スロバキアコルナ
(2008年12月期)
従業員数 10,448人
(2008年12月期)
主要株主 スロバキア共和国政府(100%)
(運輸建設地域開発省所管)
外部リンク http://www.zscargo.sk/
テンプレートを表示

鉄道企業体カーゴ・スロバキア株式会社(スロバキア語:ZSSK Cargo / ZSCS / ZSSKC, Železničná spoločnosť Cargo Slovakia, a.s.)は、スロバキアの国有企業。2002年スロバキア国鉄(ŽSR)の列車運行事業を継承した鉄道企業体株式会社(スロバキア語:ZSSK, Železničná spoločnosť, a.s.)の再分社化(2005年1月1日)にともない、同社の貨物列車運行事業を継承している。

概要[編集]

鉄道企業体カーゴ・スロバキア本社
東部スロバキアとチェコ・オストラヴァ間の重貨物列車用として1980年から投入された131形直流電気機関車は全50両(ユニット)が鉄道企業体カーゴ・スロバキアに承継され、スピシュスカー・ノヴァー・ヴェス機関区(コシツェ県)に集中配置されている
広軌用の125.8形電気機関車が重連で牽引するウクライナ・ウジホロド-USスチールコシツェ間広軌線直通鉄鉱石列車(2015年

鉄道企業体株式会社(旧ZSSK)の貨物部門売却に備えて2005年1月1日に行われた再分社化に伴い、同社の貨物鉄道事業を継承し民間に売却することを目的に発足した国有の株式会社である。2005年12月現在の職員数は1万1856人。列車運行事業を行う鉄道事業体としては国内最大の企業である。

国内の貨物列車運行事業のほか、貨物自動車輸送、貨車のレンタル、車両保守事業などを行い、鉄道企業体スロバキア所属の車両検修も受託している。またウクライナとの国境駅チエル・ナッ・チソウ駅およびマチョウツェ駅の2か所にある「東部スロバキア積替ヤード」(VSP :Východoslovenské prekladiská)で、ウクライナなど旧ソ連方面の広軌線列車と欧州の標準軌線列車との間の貨物積み替え業務を行っている。

2008年の貨物輸送実績は4452万5000トンで、世界金融危機にともなう景気減速の影響を受け当初の計画を7.5%下回った。輸入貨物は1679万トン(当初計画比89.2%)、通過貨物1199万6000トン(同100.1%)、輸出貨物1028万トン(同89.7%)、国内貨物545万9000トン(同93.2%)であった[1]

取り扱い貨物はウクライナ産を中心とした鉄鉱石が1238万トンともっとも多く、次いでその他金属類(740万7000トン)、石炭(737万2000トン)である。2009年8月には、ウクライナマフィアによるタバコ密輸阻止のため、スロバキア税関が行っているウクライナ鉄道(ウクライナ国鉄)の貨物列車に対するX線照射検査が、機関車乗務員への深刻な健康問題を引き起こす可能性があるとして、ウクライナ側がZSSKCargoなどとの国際貨物列車運行を一時的に停止する問題が発生した。

また世界金融危機による影響緩和のため、2009年に1億6600万ユーロの政府融資を受けたが、貨物需要の落ち込みが続き返済困難な状況に陥り、2011年に政府に対し返済繰り延べを要請した。また2012年1月までに全職員の2割にあたる1800人を段階的に解雇する大規模合理化策を決めるとともに、2011年5月から6月にかけ、貨物取り扱いを廃止する国鉄駅計91駅のリストを発表した。

スロバキア国内ではほかに、ブラチスラヴァ地域鉄道線企業体(BRKS、2011年倒産)、USスチールコシツェ(旧・東スロバキア製鉄所)、LTEスロバキア(オーストリア企業)などの民間企業が貨物列車運行事業に進出している。

民間売却方針の凍結と再開[編集]

ズリンダ政権は2005年8月にZSSK Cargo売却の第一次入札を実施した。2006年2月に行った最終入札には米国系Cargo Central Europa、ハンガリー国鉄(MÁV)系Carpathian Cargo、オーストリア国鉄(ÖBB)系Rail Cargo Austriaの3コンソーシアムが参加し、Rail Cargo Austriaが事実上落札した。政府は売却益を150億~200億スロバキアコルナと見込んでいたが、同年6月の総選挙でズリンダ政権が退陣したことを受け、売却は凍結された。

その後2007年10月に新たにチェコ鉄道の貨物子会社ČDカーゴ(ČD Cargo)が入札に参入。歴史的経緯から他の事業体と比較して鉄道企業体カーゴ・スロバキアとの共通性が極めて高いため、両国の貨物鉄道事業の国際競争力を維持できる選択肢として、運輸郵政通信省はČD Cargoへの売却に前向きの姿勢を示したが、スメルと連立政権を組んでいる旧政権党の人民党・民主スロバキア運動(ĽS-HZDS)が反対し実現しなかった。その後政府は、2012年末をめどに国有持株会社を新設し、スロバキア国鉄と鉄道企業体カーゴ・スロバキア、鉄道企業体スロバキアの3事業体を再統合する方針を示していた。

しかし2010年の政権交代後、政府はZSSK Cargoの経営改善には不可避だとして、再び民間売却を実施する方針を決めた。

保有車両[編集]

すべてスロバキア国鉄から継承したチェコスロバキア国鉄時代の車両およびその更新車である。2007年現在の標準軌用機関車は、電気機関車238両(直流機134両、交流機81両、交直流機23両)、ディーゼル機関車439両(電気式416両、液体式23両)。広軌用機関車は、電気機関車21両(すべて重連形)、ディーゼル機関車23両(すべて電気式)である。

列車種別[編集]

ZSSK Cargoが運行する貨物列車の列車種別は次の通り。

  • Expresný nákladný vlakNex, 急行貨物列車)
    列車重量の大きい拠点間大量輸送の速達貨物列車。
  • Priebežný nákladný vlakPn, 直行貨物列車)
    着発駅間を直行する貨物列車。
  • Manipulačný vlakMn, 荷役列車)
    着発駅間の中間駅に停車して荷役を行う貨物列車。ŽSR時代はこのほか、貨車の解結を伴うPrestavovací vlak(PV, 入換列車)の種別も存在したが、2001年に車扱列車に統合され種別消滅。
  • Vlečkový vlakVleč, 分岐列車)
    貨物列車から分解された貨車を貨物専用線引き込み線などに移動する列車。
  • Rušňový vlakRv, 機関車列車)
    機関車のみを単機または重連で回送する列車。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ "VÝROČNÁ SPRÁVA 2008 Železničná spoločnosť Cargo Slovakia, a.s." 鉄道企業体カーゴ・スロバキア株式会社、2009年。