錆喰いビスコ

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錆喰いビスコ
ジャンル 冒険ポストアポカリプス
小説
著者 瘤久保慎司
イラスト 赤岸K
mocha
出版社 KADOKAWA
レーベル 電撃文庫
刊行期間 2018年3月10日 -
巻数 既刊4巻(2019年7月現在)
漫画
原作・原案など 瘤久保慎司
作画 高橋佑輔
出版社 スクウェア・エニックス
掲載サイト マンガUP!
発表期間 2019年4月10日 -
テンプレート - ノート
プロジェクト ライトノベル漫画
ポータル 文学・漫画

錆喰いビスコ』(さびくいビスコ)は、瘤久保慎司による日本のライトノベル。イラストは赤岸K、世界観イラストとしてmocha。電撃文庫KADOKAWA アスキー・メディアワークス)より2018年3月から刊行されている。第24回(2017年)電撃小説大賞の銀賞受賞作。

2019年版『このライトノベルがすごい!』において総合・新作で1位とこのラノ史上初の快挙を達成[1]。2019年1月30日の時点で、シリーズ累計10万部を突破している[2]マンガUP!にて高橋佑輔によるコミカライズされた[2][3]

概要[編集]

2017年度の第24回電撃小説大賞の銀賞受賞作である[4]。防衛兵器の暴走によって文明が崩壊した未来の日本を舞台に、「錆び風」と呼ばれる現象に悩む人類と、それに対抗する力を持つ「キノコ守り」の青年の活躍を描く[1]。3巻までで第一部完としている[5]

このライトノベルがすごい!」の2019年版では、初登場で総合1位を獲得した[1]。また、主人公の赤星ビスコも男性キャラクター部門で8位となっている。

制作の背景[編集]

元はゲーム会社のプランナーをやっていた瘤久保が体調を崩し、その療養中に書いたのが本作である[6]椎名誠のファンで特に小学生くらいの時に読んだSF小説『アド・バード』に強い影響を受け、以降、漫画でもゲームでもポストアポカリプスものを好むようになったという[6][7]。一般にディストピアを描くと暗い印象になり鬱屈した主人公になりやすいところ、椎名作品では、邪悪に見える生き物も含めて躍動した生命力を感じられ、同様に瘤久保は世紀末で生きるモヒカン野郎たちに生命力を感じると言う[6][8]。『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のウォーボーイズの生き様のように、善悪を抜きにした生命賛歌をポストアポカリプスものでは感じることができ、そうした作品がいつか書ければと憧れていたと瘤久保は述べている[6]。他にも世界観としてはナウシカの漫画版に影響を受けており、特に終盤の、ナウシカが自分たちを肯定するために修羅と化す経緯が好きだと言う[6]

実は第23回電撃小説大賞にも本作の前身となる作品『松茸守りの西垣』を応募しており、主人公・西垣ビスコの武器が弓で、それを使ってキノコ栽培をしていた。その主人公の名前と弓、キノコが本作に受け継がれている。キノコである理由については、善悪のどちらの印象もなく、ただ生きているという純粋な印象を瘤久保は持っており、「中立」かつ「生命力」を感じるキノコが、本作のモチーフにピッタリであったと語っている[6]

あらすじ[編集]

防衛兵器の暴走によって文明が崩壊し荒野や砂漠が広がる未来の日本。すべてを錆びつかせる「錆び風」が猛威を奮っており、人類もその風により段々と錆びついていき、やがて命を落とすサビツキに悩まされていた。「錆び風」の原因は、キノコの胞子とみなされ、キノコの扱いに長けた一族キノコ守りは迫害を受けていた。しかし、実際にはキノコこそが、治らないまでも錆びつきを抑える効果があった。

世間の風評を気にせず、錆対策で各地でキノコを生やすキノコ守りの少年・赤星ビスコは、そのために騒動を起こし、通称「人喰い茸」として懸賞金を掛けられるにまで至ってしまっていた。そんなビスコの目的は、キノコ守りに伝わる、霊薬キノコ「錆喰い」を見つけることであった。

1巻
ビスコは、師匠ジャビのサビツキを治すため、「錆喰い」を求める道中として忌浜県へとやってくる。そこでビスコは、必死にサビツキ対策を行う美少年医師・猫柳ミロと出会う。最初はキノコがサビ対策になると半信半疑であったものの、その効果を目の当たりにしたミロはビスコの話を信じ、「錆喰い」を手に入れるため、共に東北を目指す。
2巻:血迫!超仙カケルシンハ
「錆喰い」を手に入れたものの、自らが錆喰いそのものとなり不死体質となってしまったビスコは、自らを元に戻すため、ミロと旅を続けていた。その手がかりとして、「出雲六塔」を擁する宗教国家・島根に、人を不老不死にしたり、あるいは元に戻すことができるという不死僧正・ケルシンハの話を聞く。そこで島根に向かう2人であったが、道中で出会った謎の瀕死の老人にビスコは胃を抜かれた上に謎の錆を植え付けられてしまう。それによって「錆喰い」の再生力が仇となり、早く胃を取り戻す必要が出たビスコは、老人を追って出雲六塔へと入る。
3巻:都市生命体「東京」
四国のキノコ守りの里で、ミロが正式にキノコ守りになる儀式の中、突如、都市ビルが生えだし、キノコ守り達が殺されていく。襲撃者の正体は、過去からやってきたアポロという男であり、日本が防衛兵器の暴走によって滅ぶ前の2028年に復元するため、未来を滅ぼすという。人類を苦しめる錆の正体も、実はアポロの発明に起因していた。アポロの計画を阻止するため、ビスコとミロ、チロルの3人は、アポロが待ち構える復元の終わった東京へ向かう。

登場人物[編集]

赤星 ビスコ(あかぼし ビスコ)
人喰い茸の異名を持つ最強のキノコ守り。
猫柳 ミロ(ねこやなぎ ミロ)
卓越した医術を持つ美少年医師。
アクタガワ

1巻[編集]

猫柳 パウー(ねこやなぎ パウー)
忌浜自警団長。後に忌浜県知事。ミロの姉。
ジャビ
キノコ守りでビスコの師匠。
黒革(くろかわ)
忌浜県知事。
大茶釜 チロル(おおちゃがま チロル)
謎の美少女。

2巻[編集]

ケルシンハ
摩錆天言宗を率いていたという、通称「不死僧正」。
アムリーニ・アムリィ
出雲六塔に済む義眼の少女。
ジャウ・ラスケニー
かつてケルシンハと戦った僧の一人。アムリィの姉。

3巻[編集]

アポロ
現在の日本を滅ぼし、防衛兵器によって滅ぶ前の2028年の日本に復元しようと過去からやってきた青年。発明家・技術者であり、雰囲気は違うが顔立ちはビスコによく似ている。錆の発明者で、防衛兵器の暴走に間接的に関わる。
赤チロル
アポロの襲撃の際に重傷を負ったチロルの中に入り込んだ別人格。最初はチロルのフリをするが粗雑で、すぐに正体がバレる。チロルの額に赤い紋章が浮かび上がったため、赤チロルと呼ばれる。アポロやアポロの技術をよく知っている。

書誌情報[編集]

  • 瘤久保慎司(原作)・赤岸K(キャラクター原案)・mocha(世界観イラスト)『錆喰いビスコ』KADOKAWA電撃文庫〉、既刊4巻(2019年7月現在)
巻数 タイトル 発売日 ISBN
1 錆喰いビスコ 2018年3月10日[9] ISBN 978-4-04-893616-3
2 錆喰いビスコ2 血迫! 超仙力ケルシンハ 2018年8月10日[10] ISBN 978-4-04-893832-7
3 錆喰いビスコ3 都市生命体「東京」 2019年1月10日[11] ISBN 978-4-04-912162-9
4 錆喰いビスコ4 業花の帝冠、花束の剣 2019年7月10日[12] ISBN 978-4-04-912478-1

出典[編集]

  1. ^ a b c 『このライトノベルがすごい!2019』
  2. ^ a b 『錆喰いビスコ』が早くもシリーズ累計10万部を突破 キノコ守りと少年医師のバディが繰り広げる疾風怒濤の冒険譚”. ラノベニュースオンライン (2019年1月30日). 2019年1月31日閲覧。
  3. ^ bunko_dengekiの2019年4月9日のツイート2019年4月13日閲覧。
  4. ^ 第24回電撃小説大賞 受賞作”. KADOKAWA. 2018年11月30日閲覧。
  5. ^ 3巻あとがき
  6. ^ a b c d e f 『このライトノベルがすごい!2019』瘤久保慎司 インタビュー p.47-55
  7. ^ 錆喰いビスコ 第24回電撃小説大賞受賞作特集サイト
  8. ^ 1巻あとがき
  9. ^ 錆喰いビスコ”. 電撃文庫公式サイト. KADOKAWA. 2018年12月13日閲覧。
  10. ^ 錆喰いビスコ2 血迫!超仙力ケルシンハ”. 電撃文庫公式サイト. KADOKAWA. 2018年12月13日閲覧。
  11. ^ 錆喰いビスコ3 都市生命体「東京」”. 電撃文庫公式サイト. KADOKAWA. 2019年1月10日閲覧。
  12. ^ 錆喰いビスコ4 業花の帝冠、花束の剣”. 電撃文庫公式サイト. KADOKAWA. 2019年7月10日閲覧。