雲龍庵

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雲龍庵(うんりゅうあん、英語:Unryuan)は石川県輪島市にある、北村辰夫(きたむら たつお、1952年 - )が創設した漆工工房・漆工ブランド。1つの作品に5人から10人の職人が関わり、長い物では5年の制作期間を要するというその作品の美しさ・精緻さや、現代ではロストテクノロジーとなっていた江戸時代から明治時代にかけての漆工作品の再現性の高さから、工房の作品は「超絶技巧」と評されることが多い。日本国内外の富裕層を顧客として抱えるほか、博物館美術館で展覧会が開催されたり美術誌や美術番組でも紹介されている。

略歴[編集]

漁師の息子であった北村は1973年に輪島塗の世界に入り、1981年から古典技法の研究を開始し、1985年に北村工房を設立、1986年から印籠制作を始める。初の海外旅行で訪問したロンドンでのオークションで江戸時代の印籠と出会いその美しさと精緻さに衝撃を受け、職人と共にロストテクノロジーとなっていた作品の再現を試み3年の制作期間の後に完成させる。この印籠をヴィクトリア&アルバート博物館キュレーターに見せたところ驚愕され、これを機に日本国外の美術館のキュレーターや富裕層の工房見学が相次ぐようになり、世界各地で展覧会が開催されるようになるなど名声を高めた。代表例としては、1992年にヴィクトリア&アルバート博物館に作品が買い上げられたほか、1993年から1995年にかけてロンドン、パリシカゴウィーンで個展「UNRYUAN・THE NEW GENERATION」が開催された他、1996年に京都野村美術館で「伝統の中からの創造 雲龍庵作品展」が、2002年にヴィクトリア&アルバート博物館で「UNRYUAN・MASTER OF TRADITIONAL JAPANESE LACQUER」が開催されるなど、多くの美術展で作品が披露された。顧客は主に口コミで作品の評判を知った日本国内外の富裕層であり、プライベートジェット機で来日して1対1で商談して発注していく外国人もいるという[1][2][3]

北村は2006年にNPO「漆工研究会(SKK)」を設立し代表理事に就任し、2014から2015年にかけて毛利家ゆかりの「菊蒔絵貝桶一式」復元制作事業の統括責任者(棟梁)として約50人の職人の指揮を務めた。この貝桶復元制作事業はオーストラリアのスポンサーの支援で行われたものであり、完成作は同国の美術館に寄贈された。この時の制作の様子はNHK教育テレビジョン日曜美術館ETV特集で放送された[4][5][1]

また2015年からは北村が認定した品質の個人の職人の工芸作品を「希龍舎」というブランド名で売り出している。希龍舎の名は明治初期の美術工芸品輸出会社「起立工商会社」に由来する[6]

作品は金沢21世紀美術館にも収蔵されている[7]ほか、2011年にはウォルサム懐中時計「水面(MINAMO)」「日月(Night and Day)」を、2014年には独立時計師のカリ・ヴティライネンと腕時計「Hisui」を共作した[8]

出演[編集]

関連項目[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b 超絶の伝統工芸技術の復元から 世界ブランド構築へのマーケティングヒストリー ウェブ電通報 2016年9月5日
  2. ^ 雲龍庵とは何者ぞ!細部に宿る漆工の美 超絶技巧の全貌 雲龍庵と希龍舎 PR TIMES 株式会社大丸松坂屋百貨店 2017年9月21日
  3. ^ 作家 北村辰夫 略歴 t.gallery
  4. ^ 日曜美術館 漆芸の極みをもとめて~輪島塗超絶技巧への旅~ NHK ONLINE
  5. ^ ETV特集 よみがえる超絶技巧輪島塗・貝桶プロジェクトの2年 NHK ONLINE
  6. ^ 雲龍庵 / 希龍舎プロフィール / Unryuan / Kiryusha Profile 一穂堂
  7. ^ COLLECTIONコレクション「雲龍庵」北村辰夫 金沢21世紀美術館
  8. ^ Watch Person Interview vol.51 復活と再生をイメージした 美術工芸的タイムピース『Hisui』 Gressive

参考文献[編集]

  • 美術手帖 2012年 10月号 超絶技巧!!』 美術出版社
  • 『超絶技巧 美術館』 美術出版社(美術手帖 2012年10月号を再編集して単行本化) ISBN 978-4568430820