鶴舞公園
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鶴舞公園 Tsuruma Park[WEB 1] | |
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鶴舞公園花まつり(2015年3月) | |
分類 | 総合公園(都市公園)[WEB 2] |
所在地 |
愛知県名古屋市昭和区鶴舞一丁目[WEB 2] |
座標 | 北緯35度09分20.40秒 東経136度55分06.50秒 / 北緯35.1556667度 東経136.9184722度座標: 北緯35度09分20.40秒 東経136度55分06.50秒 / 北緯35.1556667度 東経136.9184722度 |
面積 | 24.07ha[WEB 2] |
開園 | 1909年(明治42年)[WEB 2] |
運営者 | 公益財団法人名古屋市みどりの協会(指定管理者)[WEB 3] |
駐車場 | 247台(2ヶ所・普通車) |
告示 | 登録記念物 |
公式サイト | 公式ウェブサイト |
鶴舞公園(つるまこうえん)は、愛知県名古屋市昭和区鶴舞(つるまい)一丁目にある、名古屋市が管理する都市公園。名古屋で最初に整備された公園である。国の登録記念物(名勝地関係)に登録されている。春は桜の名所として知られ、日本さくら名所100選にも選定されている。
概要[編集]
1909年(明治42年)に、名古屋最初の公園として開設。翌年に開催を予定していた第10回関西府県連合共進会の会場とすることを主目的として、また当時の名古屋に存在しなかった大公園を開設することも含めて整備した。なお、当地に立地した理由は、予定していた新堀川整備に伴う大量の土砂の処理のために、当時沼地であった当地を埋め立てて整備するのが効率的と考えたからである。
共進会の終了した後も公園整備を進め、動物園の開園(後に東山に移転)、図書館建設、普選記念壇(普通選挙制度の成立を記念)を名古屋新聞社(現・中日新聞社)より寄贈、名古屋市公会堂の建設(昭和天皇の成婚記念)と整備した。
戦後の一時期は進駐軍が使用し、市民の利用を制限した。現在では八幡山古墳を除く全域を市民に開放している。春から夏にかけては、桜、チューリップ、バラ、菖蒲、紫陽花と多くの花を見ることができ、4月から6月にかけては花まつりを開催する。特に桜については、さくら100選に選ばれるほどである。
2009年(平成21年)頃から、公園内がコスプレを行うコスプレイヤーのメッカとなっている。屋内でも屋外でも撮れる撮影環境、名古屋市公会堂や噴水塔をはじめとする洋風の建物および茶室である鶴々(かくかく)亭をはじめとする和風の建物や日本庭園といった作品イメージに合う場所である点がコスプレイヤーの間で話題となり、ツイッター上で存在を広めた。東京や大阪からの遠征組による大規模な撮影会を行うこともある。週末には予約が集中し、抽選になることもあるという。2011年度のコスプレ撮影会は46日行われており、2010年度から比べて7割増となっている[新聞 1]。
2016年(平成28年)7月22日から配信された『Pokémon GO』で、園内に「ポケストップ」などが多く点在していることや噴水塔周辺がポケモンを捕まえるための「モンスターボール」の形に似ていたこともあり、Twitterを通じて「聖地」として取り扱われたことから大勢の人が訪れる事態になっている。しかし、歩きスマホなどの問題も発生していたことや配信直後の週末には納涼まつりが行われていたことから混乱が起こることを懸念して、管理事務局はスピーカーや立て看板などで注意を促している[新聞 2]。
名称について[編集]
鶴舞公園の呼称は1909年(明治42年)の名古屋市の告示で「つるまこうえん」と定められた[新聞 3]。鶴舞の地名の語源は諸説あって明らかでないが、呼称が確認できる最も古い資料である『愛知県郡町村字名調』(1882年)には「東鶴舞(ヒガシツルマイ)」という記載がある[新聞 3]。小学校(名古屋市立鶴舞小学校)の名称は鶴舞公園と同じく「つるま」となっているが、住居表示や駅名(鶴舞駅)では「つるまい」となっていて呼称が混在している[新聞 3]。そのため「つるまいこうえん」と呼ぶ者も多い。一部の携帯電話などでは「つるまいこうえん」と入力しないと正しく変換しないことがある。
例えば愛知県出身の山本正之が作詞作曲した「名古屋はええよ!やっとかめ」でも「つるまい公園に集まってよ」と歌っている。 地元でもあまり気にされることはなく、「つるまい公園はどこですか?」と観光客が質問しても、言い直さずに答えていることがある。
公園の名称は、名古屋市参事会において検討された際には「貴一公園」「東部公園」「名古屋公園」「砦山公園」「鶴舞公園」といった案が出された中から検討されたものであるという[1]。
構造[編集]
公園の西側は起伏の少ない地形を活かした西洋風の回遊式庭園だが、公園の東側はもともとの緩やかな丘陵の地形を活かした日本風の土と水と緑が多様な表情をみせる自然の庭園になっている。公園の西中央付近にある鶴舞駅(JR鶴舞駅南口)から公園に入ると、正面に噴水塔が位置している。すぐ南に普選記念壇があり、公園のほぼ中央にあたる。その東に奏楽堂が位置し、東北に北花壇、南東に南花壇が広がる。その先は、竜ヶ池や胡蝶ヶ池などの池が点在する。北西の端にはテニスコートがあり、名古屋市公会堂が北端に位置する。入口の南にはグリーンプラザ、その南に中央図書館があり、陸上競技場は勤労会館に面する南西の角、その東側には児童遊園を挟んで野球場があり、鶴舞(つるま)小学校と接する。
歴史[編集]
- 1909年(明治42年) - 開設。
- 1910年(明治43年) - 第10回関西府県連合共進会(博覧会)が開催。名古屋開府300年記念の噴水塔を建設の他、金閣寺を模した聞天閣とキリンビールのビヤホールの2つの建物を始め奏楽堂、鈴菜橋など博覧会の為に複数の建物を建設。
- 1914年(大正3年) - 電車焼き討ち事件(名古屋電気鉄道市内線の運賃値下げ問題に端を発する)
- 1918年(大正7年) - 動物園開園(1937年に東山に移転)。8月、米騒動発生。
- 1923年(大正12年) - 図書館開館(後に戦災で焼失)。
- 1928年(昭和3年) - 普通選挙法施行を記念して普選記念壇(普選壇)が名古屋新聞社(現:中日新聞社)から寄贈される。同年、9月15日から11月30日の77日間、御大典奉祝名古屋博覧会が開催される[WEB 4]。
- 1930年(昭和5年) - 公会堂建設。
- 1934年(昭和9年) - 室戸台風により奏楽堂が倒壊。
- 1937年(昭和12年) - 国鉄中央本線鶴舞駅開業(中央本線の本区間の開業は1900年)。奏楽堂が再建。
- 1945年(昭和20年) - 名古屋大空襲により国宝猿楽茶屋他、博覧会の時の解体保管中の聞天閣など複数の建造物を焼失。
- 戦後、進駐軍が利用。
- 1952年(昭和27年) - 市立図書館が再建。
- 1977年(昭和52年) - 地下鉄鶴舞線開通。
- 1997年(平成9年) - 奏楽堂が開園当時の様式で再建。
- 2018年(平成30年) - クラブハウス付多目的グラウンド施設テラスポ鶴舞オープン。
施設等[編集]
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略地図 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 15 16 |
- 名古屋市公会堂
- 名古屋市鶴舞中央図書館
- 鶴舞グリーンプラザ
- 鶴舞公園噴水塔 - 1986年に名古屋市指定文化財[WEB 5]、1989年に名古屋市都市景観重要建築物等に指定[WEB 6]
- 普選記念壇 - 1986年に名古屋市指定文化財[WEB 5]、1989年に名古屋市都市景観重要建築物等に指定[WEB 6]
- 奏楽堂
- 竜ヶ池
- 鶴々亭 - 昭和初期の茶室。2014年12月25日、認定地域建造物資産として登録[WEB 7]
- 百華庵 - 大正末期の茶室。2014年12月25日、認定地域建造物資産として登録[WEB 7]
- 野球場
- テラスポ鶴舞(クラブハウス付多目的グラウンド施設)
- かつては土のグラウンドの陸上競技場だった(2017年まで)。
- 第二次世界大戦後、公園を接収したGHQにより、胡蝶ヶ池の北半分を埋め立てて造成されたベビーゴルフ場に起源を持つ[新聞 4]。1952年(昭和27年)の市への返還後、胡蝶ヶ池復元により一旦消滅したものの、1962年(昭和37年)に位置を変えて再開した[新聞 4]。1ホールが10メートルから20メートルで、全9ホールからなる[新聞 4]。
- バラ園
- バラ園内に設置されているブロンズ製の「ベアトリーチェ」像はイタリアの作家フランチェスコ・メッシーナによるもので、1958年の夏にカラーラの海岸で作家が出会った9歳の少女をモデルにしたものであるという[新聞 5]。像自体は145センチメートルだが、台座が60センチメートルある[新聞 5]。評価額は1800万円で、1986年(昭和61年)4月9日から公開されている[新聞 5]。
ギャラリー[編集]
祭り[編集]
- 花まつり - 4〜6月
- 納涼まつり - 7月下旬
- ムーンライトステージ - 10月
アクセス[編集]
鉄道[編集]
バス[編集]
- 名古屋市営バス - 鶴舞公園バス停
道路[編集]
周辺の施設[編集]
脚注[編集]
WEB[編集]
- ^ “なごやマイタウン2016 (PDF)”. 名古屋市. 2016年10月19日閲覧。
- ^ a b c d “鶴舞公園管理運営方針 (PDF)”. 名古屋市. 2017年3月6日閲覧。
- ^ “名古屋市緑化センター・鶴舞公園指定管理者の候補者選定結果について”. 名古屋市. 2017年3月6日閲覧。
- ^ “御大典奉祝名古屋博覧会 - 名古屋商工会議所のあゆみ”. 名古屋商工会議所. 2017年6月11日閲覧。
- ^ a b “市指定文化財”. 名古屋市 (2012年10月19日). 2013年5月25日閲覧。
- ^ a b “名古屋市:都市景観重要建築物等指定物件”. 住宅都市局都市計画部都市景観室 (名古屋市). (2012年9月25日) 2012年11月25日閲覧。
- ^ a b “認定地域建造物資産について”. 名古屋市. 2017年6月3日閲覧。
新聞[編集]
- ^ 2012年8月28日付中日新聞夕刊11面(社会欄)「鶴舞公園 コスプレ新聖地」より。2013年度のコスプレ撮影会は、2012年度の回数をはるかに超え、ほぼ毎週末、コスプレイヤー達が集まる一大名所となっている。
- ^ 上から見るとモンスターボール? 名古屋の公園が聖地に - 2016年7月24日付朝日新聞デジタル
- ^ a b c “「鶴舞」つるま?つるまい? 呼称の由来探るシンポ検討”. 中日新聞. (2017年3月16日) 2017年3月17日閲覧。
- ^ a b c “鶴舞公園100年スケッチ 16 ベビーゴルフ場” (日本語). 中日新聞. (2009年10月7日)
- ^ a b c “3000万円の投資 9日公開 潤いの街へ ブロンズ像” (日本語). 中部読売新聞. (1986年4月2日)
書籍[編集]
- ^ 名古屋の公園100年のあゆみ編集委員会 2010, p. 168.
参考文献[編集]
- 『名古屋の公園 100年のあゆみ』名古屋の公園100年のあゆみ編集委員会、2010年(日本語)。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
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