鹿児島高齢夫婦殺害事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
鹿児島高齢夫婦殺害事件
場所 日本の旗 鹿児島県鹿児島市
日付 2009年6月19日
攻撃手段 撲殺
武器 スコップ
死亡者 2名
テンプレートを表示

鹿児島高齢夫婦殺害事件(かごしま こうれいふうふさつがいじけん)は、2009年鹿児島県鹿児島市で発生した殺人事件である。

概要[編集]

2009年6月19日夜、鹿児島市下福元町の民家において老夫婦がスコップで滅多打ちにされ殺害された。ガラスが割られていたことから、鹿児島南警察署は何者かが外部から侵入したとみて殺人事件と断定。司法解剖を行った結果、死因はともに頭や顔を強打されたことによる脳障害と判明した。傷跡から凶器はスコップと断定してスコップの遺留指紋から警察被疑者として6月29日に元大工を逮捕した。7月20日に鹿児島地検は元大工を強盗殺人住居侵入罪起訴。元大工は犯行を一貫して否認し、弁護側は指紋採取時の写真が無いなどのことから指紋は転写が可能だとして元大工は事件現場に立ち入っていないと主張。別の不審者の目撃情報があり室内にあった現金が手付かずであったことや被害者への攻撃が執拗であることから強盗目的では無く怨恨が動機であり元大工と被害者は接点が無いので犯人ではないと主張した。検察側は残留指紋のほか元大工が金銭面で生活に困っていたことを動機の1つに挙げた。本件は裁判員裁判にかけられ審理は40日に及んだ。

2010年12月10日、鹿児島地裁(平島正道裁判長)は判決で現場から発見された指紋やDNAの採取時の写真が一切なく、検察側の立証の甘さを指摘。元大工が被害者宅に行ったことがあるのは事実だが犯人が指紋により現場に立ち入ったことは推測できるものの殺害にかかわったとは断定できないこと、凶器とみられるスコップには指紋が検出されなかったこと、貴重品は盗まれておらずスコップで何十回と殴られていることから強盗目的ではなく怨恨が疑われ、強盗殺人とするには疑いが残ること、スコップには何回も殴った後が見られるが当時約70歳の元大工が何十回も振り下ろせるのかという疑問などから死刑求刑に対し元大工に無罪判決を言い渡した。

2011年12月22日、検察側が控訴し、福岡高裁宮崎支部で審理が行われ判断が待たれていた。ところが2012年3月10日、元大工が自宅の布団の中で心肺停止状態で発見され、その後死亡が確認された[1]。これにより3月27日刑事訴訟法[2]に基づき公訴棄却され[3]、事件は実質未解決事件となった。

補足[編集]

  • 本事件は裁判員裁判としては初の死刑求刑事件の無罪判決だが、最高裁に記録の残る1958年以降、死刑求刑された事件での一審での無罪判決は本件を加えても過去に9件のみしかない(再審を除く)。またこの事件の判決の後、平野母子殺害事件で10件目の無罪判決が出た。詳細は死刑求刑に対する一審無罪判決の一覧を参照。
  • 本事件の一審で費やされた審理日数39日は裁判員裁判においては当時最長であった(その後首都圏連続不審死事件の95日が最長となる)。

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ “死刑求刑、無罪の男性死亡 ○○被告、鹿児島”. 共同通信. (2012年3月10日). http://www.47news.jp/CN/201203/CN2012031001001834.html 2012年3月28日閲覧。 [リンク切れ]記事名に実名が使われているため、その部分を伏字とした。
  2. ^ 刑事訴訟法第三百三十九条「左の場合には、決定で公訴を棄却しなければならない。<中略>四 被告人が死亡し、又は被告人たる法人が存続しなくなつたとき。」
  3. ^ “無罪被告、死亡で公訴棄却の決定 上級審の判断なく事件終結”. 共同通信. (2012年3月28日). http://www.47news.jp/CN/201203/CN2012032801001561.html 2012年3月28日閲覧。 [リンク切れ]