1956年イタリアグランプリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
イタリア 1956年イタリアグランプリ
レース詳細
1956年F1世界選手権全8戦の第8戦
モンツァ・サーキット(バンク併用、1955–1961)
モンツァ・サーキット(バンク併用、1955–1961)
日程 1956年9月2日
正式名称 XXVII Gran Premio d'Italia
開催地 モンツァ・サーキット
イタリアの旗 イタリア モンツァ
コース 恒久的レース施設
コース長 10.000 km (6.214 mi)
レース距離 50周 500.023 km (310.700 mi)
決勝日天候 雨(ウエット)
ポールポジション
ドライバー フェラーリ
タイム 2:42:6
ファステストラップ
ドライバー イギリス スターリング・モス マセラティ
タイム 2:45.5
決勝順位
優勝 マセラティ
2位 フェラーリ
3位
  • イギリス ロン・フロックハート
コンノート-アルタ

1956年イタリアグランプリ (1956 Italian Grand Prix) は、1956年のF1世界選手権第8戦(最終戦)として、1956年9月2日モンツァ・サーキットで開催された。

当レースには「ヨーロッパグランプリ」の冠がかけられた[1]

レース概要[編集]

最終戦の当レースを迎えた時点で、チャンピオン争いはフェラーリファン・マヌエル・ファンジオ(30点)とピーター・コリンズ(22点)の2人に絞られた。コリンズがチャンピオンになるには優勝してかつファンジオが無得点の場合のみで、ファンジオが圧倒的に有利であった。なお、コリンズと同じ22点のジャン・ベーラマセラティ)は有効ポイント制(1956年はベスト5戦)によりチャンピオンの可能性はない[2]

前年に引き続きロードコースとオーバルコースの複合コースで行われ、荒れた路面がシャシーやタイヤに大きな負担をかけることになった[3]

予選はファンジオ、エウジェニオ・カステロッティ、ルイジ・ムッソのフェラーリ3台がフロントローを独占した[4]

決勝はカステロッティとムッソが好スタートを切ったが、10周もしないうちにムッソはタイヤがボロボロになってしまいピットインを強いられ後退、カステロッティはタイヤがバーストしてしまい、オーバルの出口で派手なスピンを喫してリタイアとなった。その後はスターリング・モス、ファンジオ、ハリー・シェル、コリンズが順位を入れ替えながらトップ争いを繰り広げるが、ファンジオがステアリングの故障でピットインを強いられ脱落し、シェルもマシントラブルでリタイアとなった。モスはコリンズを引き離して独走態勢となる。ムッソがタイヤ交換と給油のため2度目のピットインを行う際にチームはファンジオとの交代を促すが、ムッソはこれを拒否してコースへ復帰した。その後コリンズもピットインするが、ピット内でうなだれているファンジオの姿を発見するとマシンを降りてファンジオに交代を申し出た。コリンズは逆転でチャンピオンを獲得するチャンスを捨ててエースを立てた。ファンジオは笑顔に戻り3位でコースへ復帰した。

トップを独走していたモスは45周目にガス欠に陥りスローダウンしてしまうが、後方から同じマセラティに乗るルイジ・ピオッティ(プライベート参戦)の機転によりマシンを押してもらい、ピットまで戻ることができた。モスの給油が終わるとムッソが首位に躍り出るが、残り3周でステアリングが壊れてコントロールを失い、スピンオフを喫してリタイアしてしまい、母国レースでの優勝の夢は潰えた。これでモスが再び首位に浮上してそのままチェッカーフラッグを受けた。コリンズからマシンを譲られたファンジオが5.7秒差の2位でフィニッシュし、3年連続4回目のチャンピオンが決定した。コリンズはなぜ自らチャンピオン獲得の可能性を捨てたのかと問われると、「僕はまだ(24歳と)若いし、これからもまだまだチャンスがある。ファンジオこそが今年の王者を奪うにふさわしい」と素直にファンジオのチャンピオン獲得を讃えた[5]コンノートのロン・フロックハートが3位に入賞し、ドライバー及びチームにとって初の表彰台を獲得した。

ゴルディーニはF1初年度の1950年以来F1に参戦し続けていたが、資金難により本年をもってF1から撤退した[6]

エントリーリスト[編集]

No. ドライバー エントラント コンストラクター シャシー エンジン タイヤ
2 イギリスの旗 レス・レストン イギリスの旗 コンノート・エンジニアリング コンノート B アルタ GP 2.5L L4 A
4 イギリスの旗 ロン・フロックハート
イギリスの旗 アーチー・スコット=ブラウン 1
P
6 イギリスの旗 ジャック・フェアーマン
8 ブラジルの旗 ヘルナンド・ダ・シルバ・ラモス フランスの旗 エキップ・ゴルディーニ ゴルディーニ T32 ゴルディーニ 25 2.5L L8 E
10 フランスの旗 ロベール・マンヅォン
12 フランスの旗 アンドレ・シモン T16 ゴルディーニ 23 2.5L L6
14 スイスの旗 エマヌエル・ド・グラッフェンリード イタリアの旗 スクーデリア・セントロ・スッド マセラティ 250F マセラティ 250F1 2.5L L6 P
16 イタリアの旗 ピエロ・タルッフィ イギリスの旗 ヴァンダーヴェル・プロダクツ・リミテッド ヴァンウォール VW2 ヴァンウォール 254 2.5L L4 P
18 アメリカ合衆国の旗 ハリー・シェル
20 フランスの旗 モーリス・トランティニアン
22 アルゼンチンの旗 ファン・マヌエル・ファンジオ イタリアの旗 スクーデリア・フェラーリ フェラーリ D50 フェラーリ DS50 2.5L V8 E
24 イタリアの旗 エウジェニオ・カステロッティ
26 イギリスの旗 ピーター・コリンズ
28 イタリアの旗 ルイジ・ムッソ
30 スペインの旗 アルフォンソ・デ・ポルターゴ
32 フランスの旗 ジャン・ベーラ イタリアの旗 オフィシーネ・アルフィエリ・マセラティ マセラティ 250F マセラティ 250F1 2.5L L6 P
34 イタリアの旗 ルイジ・ヴィッロレージ
スウェーデンの旗 ヨアキム・ボニエ 2
36 イギリスの旗 スターリング・モス
38 スペインの旗 パコ・ゴディア
40 イタリアの旗 ルイジ・ピオッティ イタリアの旗 ルイジ・ピオッティ マセラティ 250F マセラティ 250F1 2.5L L6 P
42 イタリアの旗 ジェリーノ・ジェリーニ イタリアの旗 スクーデリア・ガステラ マセラティ 250F マセラティ 250F1 2.5L L6 P
44 イギリスの旗 ロイ・サルヴァドーリ イギリスの旗 ギルビー・エンジニアリング マセラティ 250F マセラティ 250F1 2.5L L6 D
46 イタリアの旗 ウンベルト・マグリオーリ イタリアの旗 オフィシーネ・アルフィエリ・マセラティ マセラティ 250F マセラティ 250F1 2.5L L6 P
48 イギリスの旗 ブルース・ハルフォード イギリスの旗 ブルース・ハルフォード マセラティ 250F マセラティ 250F1 2.5L L6 D
50 西ドイツの旗 ヴォルフガング・フォン・トリップス イタリアの旗 スクーデリア・フェラーリ フェラーリ D50 フェラーリ DS50 2.5L V8 E
52 フランスの旗 ルイ・ロジェ 3 フランスの旗 エキュリー・ロジェ マセラティ 250F マセラティ 250F1 2.5L L6 P
54 イギリスの旗 ホレース・グールド 3 イギリスの旗 グールズ・ガレージ マセラティ 250F マセラティ 250F1 2.5L L6 P
ソース:[7]
追記
  • ^1 - スコット=ブラウンは国際ライセンスが得られず除外された
  • ^2 - 交代要員としてエントリー
  • ^3 - エントリーしたが出場せず[8]

結果[編集]

予選[編集]

順位 No. ドライバー コンストラクター タイム
1 22 アルゼンチンの旗 ファン・マヌエル・ファンジオ フェラーリ 2:42.6
2 24 イタリアの旗 エウジェニオ・カステロッティ フェラーリ 2:43.4 + 0.8
3 28 イタリアの旗 ルイジ・ムッソ フェラーリ 2:43.7 + 1.1
4 16 イタリアの旗 ピエロ・タルッフィ ヴァンウォール 2:45.4 + 2.8
5 32 フランスの旗 ジャン・ベーラ マセラティ 2:45.6 + 3.0
6 36 イギリスの旗 スターリング・モス マセラティ 2:45.9 + 3.3
7 26 イギリスの旗 ピーター・コリンズ フェラーリ 2:46.0 + 3.4
8 34 イタリアの旗 ルイジ・ヴィッロレージ マセラティ 2:47.7 + 5.1
9 30 スペインの旗 アルフォンソ・デ・ポルターゴ フェラーリ 2:47.8 + 5.2
10 18 アメリカ合衆国の旗 ハリー・シェル ヴァンウォール 2:50.1 + 7.5
11 20 フランスの旗 モーリス・トランティニアン ヴァンウォール 2:51.6 + 9.0
12 46 イタリアの旗 ウンベルト・マグリオーリ マセラティ 2:52.7 + 10.1
13 44 イギリスの旗 ロイ・サルヴァドーリ マセラティ 2:54.6 + 12.0
14 40 イタリアの旗 ルイジ・ピオッティ マセラティ 2:58.4 + 15.8
15 6 イギリスの旗 ジャック・フェアーマン コンノート-アルタ 2:59.2 + 16.6
16 42 イタリアの旗 ジェリーノ・ジェリーニ マセラティ 3:02.6 + 20.0
17 38 スペインの旗 パコ・ゴディア マセラティ 3:02.9 + 20.3
18 14 スイスの旗 エマヌエル・ド・グラッフェンリード マセラティ 3:03.3 + 20.7
19 2 イギリスの旗 レス・レストン コンノート-アルタ 3:04.3 + 21.7
20 8 ブラジルの旗 ヘルナンド・ダ・シルバ・ラモス ゴルディーニ 3:04.8 + 22.2
21 48 イギリスの旗 ブルース・ハルフォード マセラティ 3:05.0 + 22.4
22 10 フランスの旗 ロベール・マンヅォン ゴルディーニ 3:06.6 + 24.0
23 4 イギリスの旗 ロン・フロックハート コンノート-アルタ 3:08.1 + 25.5
24 12 フランスの旗 アンドレ・シモン ゴルディーニ 3:13.3 + 30.7
25 50 西ドイツの旗 ヴォルフガング・フォン・トリップス フェラーリ No Time
ソース:[9]

決勝[編集]

順位 No. ドライバー コンストラクター 周回数 タイム/リタイア原因 グリッド ポイント
1 36 イギリスの旗 スターリング・モス マセラティ 50 2:23:41.3 6 9 1
2 26 イギリスの旗 ピーター・コリンズ
アルゼンチンの旗 ファン・マヌエル・ファンジオ
フェラーリ 50 +5.7 7 3
3
3 4 イギリスの旗 ロン・フロックハート コンノート-アルタ 49 +1 Lap 23 4
4 38 スペインの旗 パコ・ゴディア マセラティ 49 +1 Lap 17 3
5 6 イギリスの旗 ジャック・フェアーマン コンノート-アルタ 47 +3 Laps 15 2
6 40 イタリアの旗 ルイジ・ピオッティ マセラティ 47 +3 Laps 14
7 14 スイスの旗 エマヌエル・ド・グラッフェンリード マセラティ 46 +4 Laps 18
8 22 アルゼンチンの旗 ファン・マヌエル・ファンジオ
イタリアの旗 エウジェニオ・カステロッティ
フェラーリ 46 +4 Laps 1
9 12 フランスの旗 アンドレ・シモン ゴルディーニ 45 +5 Laps 24
10 42 イタリアの旗 ジェリーノ・ジェリーニ マセラティ 42 +8 Laps 16
11 44 イギリスの旗 ロイ・サルヴァドーリ マセラティ 41 +9 Laps 13
Ret 28 イタリアの旗 ルイジ・ムッソ フェラーリ 47 ステアリング 3
Ret 46 イタリアの旗 ウンベルト・マグリオーリ
フランスの旗 ジャン・ベーラ
マセラティ 42 ステアリング 12
Ret 18 アメリカ合衆国の旗 ハリー・シェル ヴァンウォール 32 トランスミッション 10
Ret 32 フランスの旗 ジャン・ベーラ マセラティ 23 マグネット 5
Ret 48 イギリスの旗 ブルース・ハルフォード マセラティ 16 エンジン 21
Ret 20 フランスの旗 モーリス・トランティニアン ヴァンウォール 13 トランスミッション 11
Ret 16 イタリアの旗 ピエロ・タルッフィ ヴァンウォール 12 オイル漏れ 4
Ret 24 イタリアの旗 エウジェニオ・カステロッティ フェラーリ 9 タイヤ 2
Ret 34 イタリアの旗 ルイジ・ヴィッロレージ
スウェーデンの旗 ヨアキム・ボニエ
マセラティ 7 エンジン 8
Ret 10 フランスの旗 ロベール・マンヅォン ゴルディーニ 7 シャシー 22
Ret 30 スペインの旗 アルフォンソ・デ・ポルターゴ フェラーリ 6 タイヤ 9
Ret 2 イギリスの旗 レス・レストン コンノート-アルタ 6 サスペンション 19
Ret 8 ブラジルの旗 ヘルナンド・ダ・シルバ・ラモス ゴルディーニ 3 エンジン 20
DNS 50 西ドイツの旗 ヴォルフガング・フォン・トリップス フェラーリ 予選でアクシデント
ソース:[10]
追記

注記[編集]

ランキング[編集]

ドライバーズ・チャンピオンシップ
順位 ドライバー ポイント
1rightarrow blue.svg 1 アルゼンチンの旗 ファン・マヌエル・ファンジオ 30 (33)
1uparrow green.svg 2 2 イギリスの旗 スターリング・モス 27 (28)
1downarrow red.svg 1 3 イギリスの旗 ピーター・コリンズ 25
1downarrow red.svg 1 4 フランスの旗 ジャン・ベーラ 22
1rightarrow blue.svg 5 アメリカ合衆国の旗 パット・フラハーティ 8
  • : トップ5のみ表示。ベスト5戦のみがカウントされる。ポイントは有効ポイント、括弧内は総獲得ポイント。

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ 当時は毎年各国の持ち回りにより、その年の最も権威のあるレースに対して「ヨーロッパGP」の冠がかけられていた。
  2. ^ 当レースを迎えた時点で2位1回、3位4回であり、優勝しても3位の1回分(4点)が切り捨てられるため
  3. ^ (林信次 1999, p. 15)
  4. ^ 当レースは1列3台ずつのグリッド
  5. ^ (林信次 1999, p. 15-16,18,20-21)
  6. ^ (林信次 1999, p. 23)
  7. ^ Italy 1956 - Race entrants”. statsf1.com. 2018年1月14日閲覧。
  8. ^ Italy 1956 - Result”. statsf1.com. 2018年1月14日閲覧。
  9. ^ Italy 1956 - Qualifications”. statsf1.com. 2018年1月14日閲覧。
  10. ^ 1956 Italian Grand Prix”. formula1.com. 2015年1月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年8月9日閲覧。

参照文献[編集]

前戦
1956年ドイツグランプリ
FIA F1世界選手権
1956年シーズン
前回開催
1955年イタリアグランプリ
イタリアの旗 イタリアグランプリ次回開催
1957年イタリアグランプリ