1969年イギリスグランプリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
イギリス 1969年イギリスグランプリ
レース詳細
1969年F1世界選手権全11戦の第6戦
シルバーストン・サーキット (1952-1974)
シルバーストン・サーキット (1952-1974)
日程 1969年7月19日
正式名称 XXII RAC British Grand Prix
開催地 シルバーストン・サーキット
イギリスの旗 イギリスイングランドの旗 イングランドノーサンプトンシャー州 シルバーストン
コース 恒久的レース施設
コース長 4.711 km (2.927 mi)
レース距離 84周 395.724 km (245.891 mi)
決勝日天候 曇(ドライ)
ポールポジション
ドライバー ロータス-フォード
タイム 1:20.8
ファステストラップ
ドライバー イギリス ジャッキー・スチュワート マトラ-フォード
タイム 1:21.3 (57周目)
決勝順位
優勝 マトラ-フォード
2位 ブラバム-フォード
3位 マクラーレン-フォード

1969年イギリスグランプリ (1969 British Grand Prix) は、1969年のF1世界選手権第6戦として、1969年7月19日シルバーストン・サーキットで開催された。

エントリー[編集]

四輪駆動F1マシンが一挙に4台登場した。ロータスは2台の63グラハム・ヒルジョン・マイルス英語版が、マトラMS84ジャン=ピエール・ベルトワーズが、マクラーレンM9Aデレック・ベルがそれぞれドライブする[1]。これとは別に、フォード・コスワース・DFVエンジンを製造するエンジンビルダーのコスワースが四輪駆動車を制作した。エンジンは当然DFVだが、軽量マグネシウムブロックの特別仕様となっていた[2]。当初はテストを担当していたブライアン・レッドマン[2]を走らせる予定であったが、ポルシェとの契約により参加できなくなったため、トレバー・テイラー英語版をエントリーしたものの、結局参加を見合わせた[3]

上層部の社内抗争により前戦フランスGPを欠場したBRMは、レグ・パーネル・レーシング英語版ティム・パーネル英語版が同チームを解散してチームマネージャーに就任し、活動を再開した。レグ・パーネルの解散に伴ってフリーとなったペドロ・ロドリゲスフェラーリに移籍した。オランダGPで初登場したP139は改良され、ジョン・サーティースがドライブする。ブラバムは、オーナーのジャック・ブラバムが足首の骨折からの回復途上だったため、ダン・ガーニーを代走に起用する考えであったが、ガーニーがアメリカのレースを優先したため、本レースもジャッキー・イクス1台のみの参加となった。ヨアキム・ボニエは自身のチームからロータス・49Bで活動を再開した[1]

エントリーリスト[編集]

チーム No. ドライバー コンストラクター シャシー エンジン タイヤ
イギリスの旗 ゴールドリーフ・チーム・ロータス 1 イギリスの旗 グラハム・ヒル ロータス 63
49B 1
フォードコスワース DFV 3.0L V8 F
2 オーストリアの旗 ヨッヘン・リント 49B
9 イギリスの旗 ジョン・マイルス 63
イギリスの旗 マトラ・インターナショナル 3 イギリスの旗 ジャッキー・スチュワート マトラ MS80 フォードコスワース DFV 3.0L V8 D
4 フランスの旗 ジャン=ピエール・ベルトワーズ MS80
MS84 2
イギリスの旗 ブルース・マクラーレン・モーターレーシング 5 ニュージーランドの旗 デニス・ハルム マクラーレン M7A フォードコスワース DFV 3.0L V8 G
6 ニュージーランドの旗 ブルース・マクラーレン M7C
20 イギリスの旗 デレック・ベル M9A
イギリスの旗 モーターレーシング・ディベロップメンツ・リミテッド 7 ベルギーの旗 ジャッキー・イクス ブラバム BT26A フォードコスワース DFV 3.0L V8 G
8 アメリカ合衆国の旗 ダン・ガーニー 3 BT26
イギリスの旗 ロブ・ウォーカー/ジャック・ダーラッシャー・レーシングチーム 10 スイスの旗 ジョー・シフェール ロータス 49B フォードコスワース DFV 3.0L V8 F
イタリアの旗 スクーデリア・フェラーリ SpA SEFAC 11 ニュージーランドの旗 クリス・エイモン フェラーリ 312/69 フェラーリ 255C 3.0L V12 F
12 メキシコの旗 ペドロ・ロドリゲス 312/68
イギリスの旗 オーウェン・レーシング・オーガニゼーション 14 イギリスの旗 ジョン・サーティース BRM P139 BRM P142 3.0L V12 D
15 イギリスの旗 ジャッキー・オリバー P133
イギリスの旗 フランク・ウィリアムズ・レーシングカーズ 16 イギリスの旗 ピアス・カレッジ ブラバム BT26A フォードコスワース DFV 3.0L V8 D
イギリスの旗 マイク・コスティン 17 イギリスの旗 トレバー・テイラー 4 コスワース 1 フォードコスワース DFV 3.0L V8 D
スイスの旗 エキュリー・ボニエ 18 スウェーデンの旗 ヨアキム・ボニエ ロータス 49B
63 1
フォードコスワース DFV 3.0L V8 F
イギリスの旗 アンティーク・オートモビルズ 19 イギリスの旗 ビック・エルフォード マクラーレン M7B[4] フォードコスワース DFV 3.0L V8 G
ソース:[5]
追記
  • ^1 - ヒルはロータス・63、ボニエはロータス・49Bでエントリーしたが、予選以降マシンを交換した[1]
  • ^2 - ベルトワーズはマトラ・MS80でエントリーしたが、スチュワートが予選でのクラッシュでMS80を大破させたため、ベルトワーズのMS80をスチュワートに差し出し、ベルトワーズはマトラ・MS84を使用した[1]
  • ^3 - ガーニーは他のレースに出場したため欠場[6]
  • ^4 - テイラーはエントリーのみ[6][3]

予選[編集]

ジャッキー・スチュワートは前戦フランスGPまでの5戦のうち4勝を挙げており、本レースも優勝の本命と見られたが、土曜日にウッドコートコーナーでクラッシュし、彼のマトラ・MS80が大破した。このため、スチュワートはチームメイトのジャン=ピエール・ベルトワーズが使用していたMS80に乗り換え、ベルトワーズは四輪駆動車マトラ・MS84を使用することになった。その結果、ヨッヘン・リントポールポジションを獲得し、2番手のスチュワート、3番手のデニス・ハルムとともにフロントローを形成した[注 1]。2列目はジャッキー・イクスクリス・エイモン、3列目はジョン・サーティースブルース・マクラーレンペドロ・ロドリゲスが占めた。前年度王者のグラハム・ヒルはマシントラブルが相次いで12番手に終わり、ロータスは彼のために使用できる49Bがなくなってしまった。結局、ヒルは四輪駆動車の63ではなく、プライベーターのヨアキム・ボニエが使用していた49Bに乗り換え、ボニエが63をドライブすることになった[1]

予選結果[編集]

順位 No. ドライバー コンストラクター タイム グリッド
1 2 オーストリアの旗 ヨッヘン・リント ロータス-フォード 1:20.8 - 1
2 3 イギリスの旗 ジャッキー・スチュワート マトラ-フォード 1:21.2 1 +0.4 2
3 5 ニュージーランドの旗 デニス・ハルム マクラーレン-フォード 1:21.5 +0.7 3
4 7 ベルギーの旗 ジャッキー・イクス ブラバム-フォード 1:21.6 +0.8 4
5 11 ニュージーランドの旗 クリス・エイモン フェラーリ 1:21.9 +1.1 5
6 14 イギリスの旗 ジョン・サーティース BRM 1:22.2 +1.4 6
7 6 ニュージーランドの旗 ブルース・マクラーレン マクラーレン-フォード 1:22.6 +1.8 7
8 12 メキシコの旗 ペドロ・ロドリゲス フェラーリ 1:22.6 +1.8 8
9 10 スイスの旗 ジョー・シフェール ロータス-フォード 1:22.7 +1.9 9
10 16 イギリスの旗 ピアス・カレッジ ブラバム-フォード 1:22.9 +2.1 10
11 19 イギリスの旗 ビック・エルフォード マクラーレン-フォード 1:23.3 +2.5 11
12 1 イギリスの旗 グラハム・ヒル ロータス-フォード 1:23.6 +2.8 12
13 15 イギリスの旗 ジャッキー・オリバー BRM 1:23.7 +2.9 13
14 9 イギリスの旗 ジョン・マイルス ロータス-フォード 1:25.1 +4.3 14
15 20 イギリスの旗 デレック・ベル マクラーレン-フォード 1:26.1 +5.3 15
16 18 スウェーデンの旗 ヨアキム・ボニエ ロータス-フォード 1:28.2 +7.4 16
17 4 フランスの旗 ジャン=ピエール・ベルトワーズ マトラ-フォード 1:31.2 2 +10.4 17
ソース:[7][8]
追記
  • ^1 - スチュワートは1:20.6を記録したが、別のマトラ・MS80に交換したためタイムが無効となった[9]
  • ^2 - ベルトワーズはマトラ・MS80で1:22.1を記録したが、マトラ・MS84に交換したためタイムが無効となった[9]

決勝[編集]

ウィリアムズからブラバム・BT26Aを走らせたピアス・カレッジは5位に入賞した。

ジャッキー・スチュワートヨッヘン・リントの一騎打ちのバトルが、シルバーストンの観客を熱狂させた。84周で行われたレースの62周目まで両者のスリップストリームの攻防が続いたが、リントのリアウィングのエンドプレートが緩んでピットインを余儀なくされて30秒を失い、さらにレース終盤にはガス欠に見舞われて再びピットインしなければならず、4位まで後退した。結局、スチュワートが5勝目を挙げ[1][10][11]ジャッキー・イクスが2位、ブルース・マクラーレンが3位となった[1]フェラーリに加わったペドロ・ロドリゲスはエンジントラブルでリタイアし[12]、同じくリタイアに終わったチームメイトのクリス・エイモンは、ホームグランプリのイタリアGPから投入する予定であった水平対向12気筒エンジン搭載の新車312Bのテスト走行にいそしんだ。エンジンパワーは従来のV12を上回るとされていたが、立て続けにマシントラブルを起こしたことに嫌気が差したエイモンはついにチームを離脱することになった。フェラーリは次戦ドイツGPを欠場して312Bのテストを行ったことから、エイモンにとって本レースがフェラーリで走った最後のレースとなった[13][14][注 2]

レース結果[編集]

順位 No. ドライバー コンストラクター 周回数 タイム/リタイア原因 グリッド ポイント
1 3 イギリスの旗 ジャッキー・スチュワート マトラ-フォード 84 1:55:55.6 2 9
2 7 ベルギーの旗 ジャッキー・イクス ブラバム-フォード 83 +1 Lap 4 6
3 6 ニュージーランドの旗 ブルース・マクラーレン マクラーレン-フォード 83 +1 Lap 7 4
4 2 オーストリアの旗 ヨッヘン・リント ロータス-フォード 83 +1 Lap 1 3
5 16 イギリスの旗 ピアス・カレッジ ブラバム-フォード 83 +1 Lap 10 2
6 19 イギリスの旗 ビック・エルフォード マクラーレン-フォード 82 +2 Laps 11 1
7 1 イギリスの旗 グラハム・ヒル ロータス-フォード 82 +2 Laps 12
8 10 スイスの旗 ジョー・シフェール ロータス-フォード 81 +3 Laps 9
9 4 フランスの旗 ジャン=ピエール・ベルトワーズ マトラ-フォード 78 +6 Laps 17
10 9 イギリスの旗 ジョン・マイルス ロータス-フォード 75 +9 Laps 14
Ret 12 メキシコの旗 ペドロ・ロドリゲス フェラーリ 61 エンジン 8
Ret 11 ニュージーランドの旗 クリス・エイモン フェラーリ 45 ギアボックス 5
Ret 5 ニュージーランドの旗 デニス・ハルム マクラーレン-フォード 27 イグニッション 3
Ret 15 イギリスの旗 ジャッキー・オリバー BRM 19 トランスミッション 13
Ret 18 スウェーデンの旗 ヨアキム・ボニエ ロータス-フォード 6 エンジン 16
Ret 20 イギリスの旗 デレック・ベル マクラーレン-フォード 5 サスペンション 15
Ret 14 イギリスの旗 ジョン・サーティース BRM 1 サスペンション 6
ソース:[15]
ファステストラップ[16]
ラップリーダー[17]
太字は最多ラップリーダー

第6戦終了時点のランキング[編集]

  • : トップ5のみ表示。前半6戦のうちベスト5戦及び後半5戦のうちベスト4戦がカウントされる。ポイントは有効ポイント、括弧内は総獲得ポイント。

脚注[編集]

[ヘルプ]

注釈[編集]

  1. ^ 本レースのスターティンググリッドは3-2-3。
  2. ^ 312Bはマシントラブルの頻発によりイタリアGPからの投入を諦め、デビューは翌1970年に持ち越された。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g British GP, 1969”. grandprix.com. 2019年11月20日閲覧。
  2. ^ a b (林信次 1995, p. 93)
  3. ^ a b 1969 British Grand Prix”. Motor Sport Magazine. 2019年11月20日閲覧。
  4. ^ (林信次 1995, p. 90)
  5. ^ Britain 1969 - Race entrants”. STATS F1. 2019年11月19日閲覧。
  6. ^ a b Britain 1969 - Result”. STATS F1. 2019年11月15日閲覧。
  7. ^ Britain 1969 - Qualifications”. STATS F1. 2019年11月19日閲覧。
  8. ^ Britain 1969 - Starting grid”. STATS F1. 2019年11月19日閲覧。
  9. ^ a b (林信次 1995, p. 128)
  10. ^ (林信次 1995, p. 83)
  11. ^ Hamilton, Maurice (2014年7月2日). “1969: The greatest British Grand Prix?”. ESPN. 2015年7月5日閲覧。
  12. ^ (アラン・ヘンリー 1989, p. 247)
  13. ^ (アラン・ヘンリー 1989, p. 247-249)
  14. ^ (林信次 1995, p. 84)
  15. ^ 1969 British Grand Prix”. formula1.com. 2015年1月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年12月22日閲覧。
  16. ^ Britain 1969 - Best laps”. STATS F1. 2019年11月19日閲覧。
  17. ^ Britain 1969 - Laps led”. STATS F1. 2019年11月19日閲覧。
  18. ^ a b Britain 1969 - Championship”. STATS F1. 2019年3月13日閲覧。

参照文献[編集]

  • Wikipedia英語版 - en:1969 British Grand Prix(2019年3月13日 22:44:02(UTC))
  • Lang, Mike (1982). Grand Prix! Vol 2. Haynes Publishing Group. pp. 98–99. ISBN 0-85429-321-3. 
  • 林信次『F1全史 1966-1970 [3リッターF1の開幕/ホンダ挑戦期の終わり]』ニューズ出版、1995年。ISBN 4-938495-06-6。
  • アラン・ヘンリー『チーム・フェラーリの全て』早川麻百合+島江政弘(訳)、CBS・ソニー出版、1989年12月。ISBN 4-7897-0491-2。
前戦
1969年フランスグランプリ
FIA F1世界選手権
1969年シーズン
次戦
1969年ドイツグランプリ
前回開催
1968年イギリスグランプリ
イギリスの旗 イギリスグランプリ次回開催
1970年イギリスグランプリ