3000トン型潜水艦

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3000トン型潜水艦
基本情報
種別 潜水艦
運用者  海上自衛隊
建造期間 2017年 -
就役期間 2022年 -
前級 そうりゅう型
要目
基準排水量 3,000トン
機関方式 ディーゼル・エレクトリック方式
推進器 スクリュープロペラ×1軸
速力 約20ノット
C4ISTAR ・電波探知装置NZLR-2
・非貫通式潜望鏡1型改1
・情報処理サブシステムOYX-1
・潜水艦戦術状況表示装置ZQX-12
・潜水艦情報管理システム
・基幹ネットワークシステム
レーダー ZPS-6H
ソナー ZQQ-8
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3000トン型潜水艦は、海上自衛隊が計画中の通常動力型潜水艦の艦級。そうりゅう型の後継艦となる予定。

概要[編集]

予算の概要では探知能力等の向上が謳われる一方[1]、イメージ図ではそうりゅう型と比較して外形はほぼ変わらず、基準排水量も100トンの増加の3,000トンで収まっている。しかし実際には後述のように2020年代就役潜水艦用の技術開発が多く行われており、内部は大幅に刷新される。

本来は2016年(平成28年)に要求される予定だったが[2]、一年間ずれ込み、平成28年度艦はそうりゅう型12番艦(リチウムイオン蓄電池型)が要求された[3]

船体[編集]

船体には静粛性の極めて高い推進器、音波吸収材や反射材の最適装備法等、振動・衝撃を緩和可能な浮き床構造により、低雑音化・耐衝撃特性向上を図る「被探知防止・耐衝撃潜水艦構造の研究」(2007年(平成19年)から2011年(平成23年)度に試作、2010年(平成22年)度から2014年(平成26年)度に試験)[4][5]の成果が反映される。

なお外観に大きな変化がなく、また排水量も100トン増加で済んだのは、潜水艦初期設計等のコンピュータシミュレーション化による最適化を行う「次世代潜水艦システムの研究」(2005年(平成17年)度から2008年(平成20年)年度まで研究試作、2007年度から2009年(平成21年)度まで所内試験)[6]や、潜水艦耐圧殻の構造様式の最適化を図る「潜水艦用構造様式の研究」(2013年(平成25年)度から2015年(平成27年)度まで研究試作、2014年(平成26年)度から2015年度まで所内試験)[7][8]による研究開発の成果である。

建造開始後も本型に関する研究開発は行われており、各種駆動装置から発生する雑音を低減する新型の駆動装置を開発する「潜水艦用静粛型駆動システムの研究」」(2018年(平成30年)度から2021年(令和3年)度まで研究試作、2021年度から2022年(令和4年)度まで試験)が行われている[9][10]

各型の比較
3,000トン型(29SS) そうりゅう型(16〜28SS) おやしお型(05〜15SS)
排水量 基準 3,000トン 2,900トン(5番艦以降50トン増) 2,750トン
水中 n/a 4,200トン 3,500トン
船体規模 全長 84 m 82 m
全幅 9.1 m 8.9 m
吃水 8.5 m 7.4 m
主機 方式 ディーゼル・エレクトリック ディーゼル・スターリング・エレクトリック(10番艦まで)
ディーゼル・エレクトリック(11,12番艦)
ディーゼル・エレクトリック
出力 n/a 水上3,900 ps / 水中8,000 ps 水上3,400 ps / 水中7,700 ps
速力 水上13ノット / 水中20ノット 水上12ノット / 水中20ノット
兵装 水雷 533mm魚雷発射管×6門(18式魚雷89式魚雷ハープーンUSM
その他 n/a 潜水艦魚雷防御システム(8番艦以降)
同型艦数 1隻建造中 12隻 11隻

機関[編集]

機関はそうりゅう型最終型と同様に、リチウムイオン蓄電池とディーゼル・エレクトリック方式の組み合わせが採用される[11]。当初は、「次世代潜水艦AIPシステムの研究」(2006年(平成18年度)から2008年度に研究試作、2008年度から2009年度に試験)で燃料電池システムを研究したが、予測より水素吸蔵合金の技術的進展が遅滞し調達コストが高価になる見込みとなったため、事後の政策評価において「開発移行については技術進展を踏まえつつ十分な検討が必要である」と結論付けられた[12]

またリチウムイオン蓄電池の大容量充電量に対応し、隠密性を高めるため小型・高出力化及び静粛化を図った新型シュノーケル発電システムを開発する「スノーケル発電システム」(2010年度から2014年度に試作、2014年度から2015年度に試験)[13]の成果が反映される。この研究はシュノーケルだけでなくディーゼルエンジン発電機にも及ぶ広範なシステムの開発である。

装備[編集]

ソナーとそれに付随する戦闘指揮システムとして、艦首型アレイのコンフォーマル化と吸音材一体面受波器、それによる開口拡大による能力向上、光ファイバー受波アレイ技術による曳航型アレイの指向性補償処理による探知能力の向上、信号処理部による探知情報の自動統合アルゴリズムの構築等により異種ソナー間の探知情報自動統合化を図る「次世代潜水艦用ソーナーの研究」(2006年度から2009年度まで研究試作、2008年度から2009年度まで所内試験)[14]と、ソナー信号処理、目標運動解析や戦闘指揮のリコメンド(推奨情報提供)を行う戦闘指揮システムの開発を図る「次世代潜水艦用ソーナーシステム」(2010年度から2015年度に試作、2013年度から2014年度にかけて試験)[15][16]の成果が反映される。

魚雷18式魚雷が装備される。

同型艦[編集]

ネームシップ2017年(平成29年)度計画での建造が、728億円で要求されている[1]

なお一番艦は「平成31年度以降に係る防衛計画の大綱について」に、建造中であるにもかかわらず試験潜水艦への種別変更が記載された[17]。これにより今まで通常の潜水艦が持ち回りで行った試験を専任の試験潜水艦が担当することで、他の潜水艦の稼働日数を増やすと共に試験完了の加速を目指す。

同型艦一覧
艦番号 艦名 建造 起工 進水 竣工
SS-513 平成29年度計画
8128号艦
(29SS)
三菱重工業
神戸造船所
2017年
(平成29年)
12月30日
2020年
(令和2年)
予定
2022年
(令和4年)
3月予定
SS-514 平成30年度計画
8129号艦
(30SS)
川崎重工業
神戸工場
2018年度
(平成30年)
予定
2021年
(令和3年)
予定
2023年
(令和5年)
3月予定
SS-515 平成31年度計画
8130号艦
(31SS)
三菱重工業
神戸造船所
2019年度
(平成31年)
予定
2022年
(令和4年)
予定
2024年
(令和6年)
3月予定

参考資料[編集]

  1. ^ a b 我が国の防衛と予算-平成29年度予算の概要-
  2. ^ 平成27年行政事業レビュー 潜水艦耐圧殻構成要素の研究試作
  3. ^ 我が国の防衛と予算-平成28年度予算の概要-
  4. ^ 平成24年度 事前の事業評価 評価書一覧 被探知防止・耐衝撃潜水艦構造の研究
  5. ^ 平成24年行政事業レビューシート 被探知防止・耐衝撃潜水艦構造の研究試作
  6. ^ 平成22年度 事後の事業評価 評価書一覧 次世代潜水艦システムの研究
  7. ^ 平成24年度 事前の事業評価 評価書一覧 潜水艦用構造様式の研究
  8. ^ 平成28年行政事業レビュー 潜水艦耐圧殻構成要素の研究試作
  9. ^ 我が国の防衛と予算-平成30年度予算の概要-
  10. ^ 平成29年度 事前の事業評価 評価書一覧 潜水艦用静粛型駆動システムの研究試作
  11. ^ 編集部「海上自衛隊平成29年度業務計画案の概要」『世界の艦船』2017年1月号、通算851号
  12. ^ 平成23年度 事後の事業評価 評価書一覧 次世代潜水艦用AIPシステムの研究
  13. ^ 平成21年度 事前の事業評価 評価書一覧 スノーケル発電システム
  14. ^ 平成22年度 事後の事業評価 評価書一覧 次世代潜水艦用ソーナーの研究
  15. ^ 平成21年度 事前の事業評価 評価書一覧 次世代潜水艦用ソーナーシステム
  16. ^ 防衛装備庁 艦艇装備
  17. ^ 防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画について(パンフレット)