五百円硬貨

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五百円ニッケル黄銅貨
500JPY.JPG
素材 ニッケル黄銅
品位 72%
亜鉛 20%
ニッケル 8%
量目 7.0g
直径 26.5mm
図柄 (表面)
(裏面)
発行開始 2000年(平成12年)
発行終了 2020年(令和2年)予定
五百円白銅貨
500yen-S57.jpg
素材 白銅
品位 銅 75%
ニッケル 25%
量目 7.2g
直径 26.5mm
図柄 桐(表面)
竹、橘(裏面)
発行開始 1982年(昭和57年)
発行終了 1999年(平成11年)

五百円硬貨(ごひゃくえんこうか)とは、日本国政府発行の貨幣五百円玉(ごひゃくえんだま)とも呼ばれる。額面500硬貨である。

高額面硬貨[編集]

記念硬貨などを除いた一般流通硬貨では、額面である500円は日本の硬貨で最高額であるばかりでなく、世界で有数の高額面硬貨である。登場当時も、スイスの5フランドイツ(旧西ドイツ)の5マルクスペインの500ペセタ硬貨と並び、高額面硬貨として話題になった。このことが韓国の500ウォン硬貨など、低額面の硬貨による大量の通貨変造事件(後述)を招き、2000年平成12年)には改鋳を余儀なくされた。

ドイツやスペインでユーロが導入されて最高額面硬貨は2ユーロとなったため、現在はキューバの5ペソ硬貨(キューバ兌換ペソは1.08米ドルペッグ)、スイスの5フラン硬貨と並んでいる。それぞれの硬貨の額面の価値は各国の為替レートの変動による。 ただし、キューバの5ペソ硬貨は、記念硬貨ではないものの、流通はかなり稀である。

五百円白銅貨(初代)[編集]

1982年昭和57年)に五百円紙幣(岩倉具視の肖像のC五百円券)に代わり登場した[1][2][3]。表面にはが、裏面にはがデザインされており、裏面の「500」の数字の書体はC五百円券に由来する[4]。材質は銅75%、ニッケル25%の白銅製であり、同じ白銅系の五十円硬貨百円硬貨より大きくすることは当然だが、どの程度大きくするかについて、携帯の便、他の貨幣との識別、諸外国の高額貨幣とのバランス、自動販売機等の関係を検討した結果、直径26.5mmという大きさになった。なお厚みは実測で1.85mmとなっている。

縁には偽造防止技術の一つとして「◆ NIPPON ◆ 500 ◆」の文字(レタリング)が繰り返し刻印されており、造幣局創業以来初めて採用された技術であるが、その刻印は、円周の文字の刻印の向きに対して裏表を揃えずに刻印しているため、「◆ NIPPON ◆ 500 ◆」の文字を正しく読めるように置いた時に上面が表になるものと裏になるものとがほぼ半数ずつ存在する。

年銘では昭和62年銘の製造枚数が最も少なく(277万5千枚)、昭和64年銘がそれに次いで少ない(1604万2千枚)。これらの年銘の未使用硬貨は古銭商などで額面を超える価格で取引されている。

後述の通貨変造事件の多発により、2000年に五百円ニッケル黄銅貨に引き継がれる形で発行が停止された。

五百円ニッケル黄銅貨(2代目)[編集]

2000年平成12年)8月に、デザインと材質を変更した2代目が登場した[5][6]。この2代目五百円硬貨(五百円ニッケル黄銅貨)は、記念硬貨を除けば、日本で平成時代に新規の仕様で発行された唯一の通常硬貨である(平成時代には、記念硬貨は多数の種類が製造発行されている)。直径や表面の桐、裏面の竹[7]と橘のデザインなど、大まかな外観に初代硬貨との差はないが、主に偽造防止のため、以下に示すようないくつかの違いがある。

材料[編集]

初代硬貨が白銅製だったのに対し、2代目硬貨では銅72%、亜鉛20%、ニッケル8%のニッケル黄銅製となった。これにより電気伝導率などが変わるため、機械での偽造硬貨の検出が容易になった。またこれに伴い、色がやや金色がかり、量目も0.2g減っている(7.2g→7.0g)。

表裏面・側面の変更点・偽造防止技術[編集]

偽造防止を図るため、表裏のデザインがマイナーチェンジされ、側面の意匠も変更された。

  • 微細線
    • 表面では、「日本国」「五百円」の背景部分が凸になっており、偽造防止としてそこに髪の毛より細い微細線が施されている。
  • 微細点
    • 表面の桐の中央部分に微細点加工が施されている。
    • 微細線・微細点とも、金属の微細加工における最先端技術を使用したものとなっている。
  • 潜像
    • 裏面では、「500」の数字の内側に穴が描かれておらず、「5●●」のようになっている。さらにその「0」の部分には角度によって「500円」の文字や「縦線」が浮かび上がる潜像が施されている。
  • マイクロ文字
    • 造幣局は公表していないが、肉眼では分かりづらいものの、両面それぞれ0.2mmの「NIPPON」というマイクロ文字が刻印されている[8]
  • 斜めギザ
    • 側面では、初代硬貨のレタリングに代えて、2代目硬貨では世界の硬貨でも極めて珍しい斜めのギザギザ(ギザ数は181)が入れられた。このように五百円硬貨は他の額面硬貨と比べ、側面の加工に高度な技術を用いている。

厚み[編集]

初代と2代目の硬貨は設計上は厚みが同一ということになっているが、実際には2代目硬貨の厚みは実測で1.81mmとなっており、初代硬貨の1.85mmと比較して僅かに薄い。この差は、硬貨の縁が平滑面に陰刻からギザに変更されたためである。このため、初代硬貨50枚用のコインホルダーに2代目硬貨が51枚収納できる場合がある。

2021年発行予定の五百円バイカラー・クラッド貨(3代目)[編集]

五百円バイカラー・クラッド貨の表裏面のデザイン
五百円バイカラー・クラッド貨の構造

2021年令和3年)に、デザインと材質を変更した3代目が登場予定である。

  • 素材:ニッケル黄銅、白銅及び銅(バイカラー・クラッド)
  • 品位:全体からの割合として、銅75%、亜鉛12.5%、ニッケル12.5%
  • 量目:7.1g(2代目の7.0gと比較して0.1g重い)
  • 直径:26.5mm(初代・2代目と同じ)

新たな偽造防止技術としては、現段階で公表されているだけで、以下のものが採用される予定である[9]

  • 2色3層構造のバイカラー・クラッド
    • 外周にはニッケル黄銅を採用し、内側は白銅で中心の銅を挟んだものとなる。銅の部分は外から見えないが、機械で扱うときに電気伝導率の変化を利用する際にこの層が有効となる。
  • 縁の異形斜めギザ
    • 斜めギザの一部を他のギザとは異なる形状(目の間隔・勾配など)にしたもの。流通用硬貨への採用は世界初となる。
  • 微細文字
    • 表面の縁の内側に「JAPAN」「500YEN」の微細文字加工が施されている。

2代目硬貨で既に採用されている微細線・微細点・潜像は引き続き採用されるが、このうち潜像は2代目の縦線と「500円」の文字から「500YEN」「JAPAN」の文字に変更となる。なお裏面のデザインについては上下左右の竹と橘のうち下の竹がなくなり、裏面下部の製造年の文字は直列から縁に沿っての円弧状の配置に変更となる。

偽造・変造硬貨[編集]

1982年に五百円硬貨が導入された同年、韓国でも500ウォン硬貨が導入された。当時の為替レートで日本円で約170円の価値であったが、材質も大きさも五百円硬貨と全く同じ、直径26.5mmの白銅製であり、量目のみ7.7gとやや重いだけであったため、表面を僅かに削ったりドリルなどで穴を空けたりすることで質量を減らし、自動販売機で500円硬貨として通用させる例が続出した。

主な手口としては、変造した500ウォン硬貨を投入して「返却レバー」を操作し、自動販売機に蓄えられていた真正の五百円硬貨を取り出すというものである。投入した硬貨とは別の硬貨が返却口に出るという自動販売機の設計上の仕組みを悪用し、500ウォンと500円の為替レートによる差額利益を得る。また、真正な500円玉を盗むほかに、変造した硬貨を500円として通用させて自動販売機から500円相当の商品や切符、あるいは釣銭を盗む手口もある。

この手口に対処するため、投入した硬貨をプールしておいて返却に備えるよう、自動販売機の構造が改められた。

500ウォン硬貨以外にも、件数は少なかったものの、イランの1リヤル硬貨やハンガリーの20フォリント硬貨および50フォリント硬貨、ポルトガルの旧25エスクード硬貨などを変造した硬貨、および偽造硬貨が使用されたことがある。

このように、五百円硬貨を取り巻く状況が非常に悪くなったこともあり、2000年に現在の2代目硬貨に改められた。

2代目硬貨発行後、自動販売機やATMの更新もあって、初代500円硬貨として通用させた変造硬貨は、次第に使用されなくなっていったが、2003年頃から散発的に2代目500円硬貨の偽造が報告されはじめた。

2005年1月末には、東京都および福岡県熊本県郵便局のATMや窓口から、最終的に2万枚近くに上る大量の2代目500円偽造硬貨が発見され、同地域の郵便局ではATMでの硬貨の取り扱いが一時中断された[10]。一部の自動販売機では、使用できる500円硬貨の枚数を1枚に制限している事例もある。

なお2011年の時点では、500円玉には強い需要があり、電子マネーの影響を受けにくいであろうという一部識者からの指摘もあった[11]

脚注[編集]

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  1. ^ 衆議院 第94回国会 大蔵委員会 第23号臨時通貨法に五百円の臨時補助貨幣を追加する件について
  2. ^ 当初は臨時通貨法が有効であったため臨時補助貨幣として発行され、1988年(昭和63年)4月の「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」施行後は1999年(平成11年)まで「貨幣」として引続き発行されていた。
  3. ^ C五百円券は五百円白銅貨の発行後もしばらく製造・発行されていた(C五百円券の製造停止は1985年(昭和60年)、日銀からの支払い停止は1994年(平成6年))。
  4. ^ この表裏は造幣局での便宜的な呼称で、明治時代の硬貨と異なり法律上の表裏の規定はない。
  5. ^ 衆議院 第146回国会 大蔵委員会 第3号五百円硬貨改鋳の件について
  6. ^ 発行開始当初から「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」による「貨幣」として発行されている。
  7. ^ にちぎん☆キッズ/お金博物館
  8. ^ Micro Characters on New 500-Yen Coin Found !!
  9. ^ この技術のうち、2色3層構造のバイカラー・クラッドと縁の異形斜めギザは記念貨幣では2008年に発行された地方自治法施行60周年記念貨幣から既に採用されている。
  10. ^ ATMでの硬貨のお取扱いの停止について 2005年2月3日付 日本郵政公社報道発表資料
  11. ^ 500円玉だけなぜ流通増える? 電子マネーと「使い分け」p.1 - 日本経済新聞 エコノ探偵団、2011/10/31

関連項目[編集]