パラボラアンテナ

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衛星通信用としては最大規模のパラボラアンテナ。(ドイツ
多重無線用のパラボラアンテナ
パラボラアンテナの動作原理

パラボラアンテナ英語: parabolic antenna, parabola antenna)は、放物曲面をした反射器(放物面反射器 parabolic reflector)を持つ凹型アンテナ。形状からディッシュアンテナ(dish:皿)ともいう。「パラボアンテナ」は誤表記

用途[編集]

主に極超短波(UHF)より短い波長の電波(主にセンチメートル波(SHF))で利用され多重無線通信や衛星通信衛星放送、電波天文に用いられる。

衛星放送受信のみを行う家庭用は直径が小さく(2m以下)地球上での多重無線通信等は0.75~数m、通信衛星に直接送受信を行う地球局では数十mのものがある。

特徴[編集]

  • 反射の面積が同じ場合、利得は使用する周波数の2乗に比例する
  • 指向性が鋭く、側面や後方への漏洩も少ない
  • 反射器自体は利得・ビーム幅以外の周波数特性を持たないので、広帯域である

パラボラアンテナの変型[編集]

上から通常タイプ、オフセット(オフアクシス)・タイプ、カセグレン・タイプ、グレゴリアン・タイプ。赤線が反射面、青が支持架、緑が受信機の位置
  • 焦点に一次放射器をおくと、大型のパラボラアンテナではそこまで給電線を設置する必要があり減衰が大きくなる。また一次放射器も要冷却型の検波器などを使用する場合では構造・重量の点でも不利となる。そこで放物面反射器を主反射器(主鏡)とし焦点に一次放射器の替わりに副反射器(副鏡)を置き、多くは主反射器の表面中心付近に一次放射器を置くと先の問題点が緩和される。副反射器として凸面の双曲面反射器を使用するものをカセグレンアンテナ、凹面のものをグレゴリアンアンテナという。波長が短く微弱な電波を扱い大型の主反射器を必要とする衛星通信地上局(基地局)あるいは電波望遠鏡でよく用いられる。
  • 焦点に輻射器の代わりに双曲面反射器(副反射器)を設け、放物面反射器(主反射器)の表面付近に輻射器をおくアンテナがある。
  • 衛星放送用受信アンテナでよくみられる楕円形のものはオフセットパラボラアンテナ(オフアクシスパラボラアンテナ)といい、反射器は放物面の一部を切り出したものである。平行になったビームを1次輻射器およびその支持物が遮らないため小型のアンテナで損失を押さえることができるほか、輻射器を下部に配置すると鏡面が垂直に近づくため着雪を抑えられる。鏡面が垂直に近づく=相対的に水平荷重が軽減される為、反射器受風面積拡大による荷重増を補ってなお、架台(ペデスタル)の占有面積・構造の縮減が期待できる。そのため、SNG中継車でも利用される。
  • 上記に類似したものとしてホーンリフレクタアンテナがある。一次輻射器にホーンアンテナを用いる。
  • 放物線の回転軌跡ではなく、平行移動軌跡で得られる面(電波入射側から見て長方形または正方形のもの)を反射器に用いるものはシリンドリカルアンテナ(cylindrical=円筒(の一部分)状の)と呼ばれる。ダイバーシティを1枚の反射器で構成できる利点がある。かつては、旋回走査するレーダーで主に採用されていた。通常、円(または楕円)型反射器で水平(垂直)偏波を収束する際、上下端の反射電力の差から僅かに位相差が生じるものの静置状態で使用する際はあまり問題とはならない。が、レーダーの場合、その基本原理上、この位相差が無視できない為である。ただ、
    • 使用周波数の上昇により、利得の高さを重視する
    • 補正技術の向上
    • 上記項目の、衛星中継車の場合と同様
の理由から必ずしも採用されるものでもない。むしろ補正技術の向上においては近年、経年劣化の主要因たる機械的駆動装置を排除したフェーズドアレイレーダーに主役の座を譲り渡している。

トピック[編集]

パラボラを応用した機器[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 「アルマーの冒険」第3回、国立天文台、2019年10月8日閲覧。

関連項目[編集]