Cloudflare
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市場情報 | NASDAQ: NET |
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設立 | 2009年7月 |
本社 |
![]() カリフォルニア州サンフランシスコ |
創業者 |
マシュー・プリンス リー・ホロウェイ ミチェル・ザトリン |
主要人物 |
マシュー・プリンス (CEO) ミチェル・ザトリン(COO) ジョン・グラハム=カミング(CTO) |
業種 | インターネット |
サービス |
ウェブサイトパフォーマンス セキュリティサービス |
従業員数 | 1,200人 |
ウェブサイト |
www |
アレクサ ランキング |
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Cloudflare, Inc.(クラウドフレア)は、コンテンツデリバリーネットワーク(CDN)やインターネットセキュリティサービス、DDoS防御、分散型ドメイン名サーバシステムを提供するアメリカ合衆国の企業で、同社が提供するCDNは閲覧者とホスティングプロバイダー間でリバースプロキシとして動作する。DNSの変更でウェブサイトやモバイルアプリケーションに対応するネットワークの保護、速度向上や改善を実現している。本社はアメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコにあり、リスボン、ロンドン、シンガポール、東京、北京、シドニー、シャンペーン、オースティン、NYにもオフィスを構えている[1]。[2]
歴史[編集]
Cloudflareは、プロジェクト・ハニーポットでともに活動していたマシュー・プリンス、リー・ホロウェイ、ミチェル・ザトリンにより2009年に設立された。2010年9月に開催されたTechCrunch DisruptカンファレンスでサービスとしてのCloudflareがスタートし、2011年6月にLulzSecのWebサイトにセキュリティソリューションを提供したことによりメディアの注目を集めた。2012年6月には、HostPapaをはじめとする複数のWebホスティングプロバイダーとパートナー契約を結び、Railgunテクノロジーが実装された。2014年2月、当時としては史上最大のDDoS攻撃を軽減することに成功した。攻撃対象となった顧客名は明かされていないが、規模は最大で毎秒400ギガビットにのぼった。2014年11月には別の大規模DDoS攻撃を報告。攻撃対象は独立系メディアサイトで、攻撃の規模は毎秒500ギガビットにのぼった。[3]
資金調達[編集]
2009年11月、CloudflareはシリーズAラウンドで、Pelion Venture PartnersとVenrockから210万ドルを調達した。2011年7月のシリーズBラウンドでは、New Enterprise Associates、Pelion Venture Partners、Venrockから2,000万ドルを調達。2012年12月のシリーズCラウンドでは、New Enterprise Associates、Pelion Venture Partners、Venrock、Union Square Ventures、Greenspring Associatesから5,000万ドルを調達した。2014年12月、Fidelity Investmentsが主導し、Google Capital、Microsoft、Qualcomm、Baiduが参加したシリーズDラウンドでは、1億1,000万ドルの調達に成功した。[4]
M&A[編集]
2014年6月、Webユーザー向けセキュリティサービスの拡張のため、ライアン・ラッキーが設立したCryptoSealを買収した。2014年2月、マルウェア検出、自動マルウェア削除、会社の評判やブラックリストのモニタリングといったサービスを提供するStopTheHackerを買収。2016年12月、Cloudflareのアプリプラットフォームをアップグレードし、Cloudflareを実装しているサイトでサードパーティアプリをドラッグアンドドロップによりインストールできるようにするため、Eagerを買収した。[5] 2020年1月、元Microsoft(マイクロソフト)の役員たちが作ったブラウザー隔離サービスのS2 Systemsを買収したことを発表した。
サービス[編集]
DDoS攻撃対策[編集]
Cloudflareは、すべての顧客を対象に「アンダーアタックモード」の設定を提供する。同社によると、この設定ではJavaScript計算課題を提示し、課題が解けたらWebサイトにアクセスできるようにすることで、レイヤー7に対する高度な攻撃を軽減できる。Cloudflareは毎秒300ギガビットを超えるDDoS攻撃からSpamhausを防御。Akamaiのチーフアーキテクトによれば、これは「公表されているDDoS攻撃のうち、インターネット史上最大の攻撃」であったという。また、NTPリフレクション攻撃による、ピーク時で毎秒400ギガビットを超える攻撃も、何度となく緩和している。[6] Webアプリケーションファイアウォール有料プランを利用する顧客は全員、Webアプリケーションファイアウォールサービスを利用できる。このファイアウォールでは、OWASP ModSecurity Core Rule SetとCloudflare独自のルールセット、人気Webアプリケーションのルールセットが併用されている。[7]
DNS[編集]
"Cloudflareは、エニーキャストネットワークを備えるすべてのクライアントに、ドメインネームサーバー(DNS)を無料で提供する。W3cookによれば、CloudflareのDNSサービスは現在、マネージドDNSドメインの35%以上を占める。SolveDNSによれば、CloudflareのDNS検索速度は常に世界最高クラスであり、2016年4月には8.66ミリ秒を記録している。[8]"
1.1.1.1[編集]
2018年4月1日、1.1.1.1(1.0.0.1)のサービスを開始した。これは無料のDNSサービスである。アクセスログを保管せず(ノーログポリシー)、DNS over HTTPSやDNS over TLSなどに対応することでセキュリティやプライバシーを高めたサービスとして登場。2020年4月1日、一般向けに「1.1.1.1 for Families」をリリースした。「1.1.1.1 for Families」はDNSのレベルでアダルトコンテンツやマルウェアをブロックすることで、安全にインターネットを使えるようにすることが目的。
リバースプロキシ[編集]
"Cloudflareの主な機能は、Webトラフィックのリバースプロキシとしての機能である。SPDYやHTTP/2やHTTP/3やQUICといった新しいWebプロトコルに対応し、さらにHTTP/2サーバープッシュへのサポートも提供する。また、CloudflareはWebSocketプロキシにも対応している。[9]"
コンテンツ配信ネットワーク[編集]
Cloudflareのネットワークは、世界中のあらゆるネットワークのインターネットエクスチェンジポイントに対し、接続の数が最も多い。Cloudflareはエッジロケーションにコンテンツをキャッシュしてコンテンツ配信ネットワーク(CDN)として機能させる。Cloudflareから直接配信されキャッシュに保存されコンテンツを使い、すべての要求に対してCloudflareによるリバースプロキシを実行する。[10]
価値観[編集]
Cloudflareはかねてから言論の自由に対する支持を表明している。CEOのマシュー・プリンスは次のように述べている。「米国の長所の1つは、言論の自由、特に政治的発言の自由が広く認められている点にある。Webサイトは言論の場だ。Webサイトは言論そのものだ。爆弾のように、差し迫った危険を作り出すものではない。そのためプロバイダーは、サイトに含まれる可能性がある言論の理論上の危険性について、これを監視し判断を下す責任を負わない」 Cloudflareは半年ごとに透明性レポートを発行し、法執行機関が同社のクライアントに関するデータの開示を求める頻度を明らかにしている。[11]
顧客[編集]
Uber、OkCupid、IBM, Hubspot, Fitbitといった人気サイトをはじめとする2,700万のWebサイトにDNS, CDN, DDoS, WAF, Bot managementサービスを提供している。[12]
日本法人[編集]
2020年7月に日本法人のクラウドフレアジャパン株式会社を開設、オフィスは東京都港区に所在する[13]。
賞、評価など[編集]
2015年2月、TechCrunchが開催する第8回Crunchies賞で「Best Enterprise Startup」(最優秀スタートアップ賞)を受賞。 2年間ウォール・ストリート・ジャーナル紙の「Most Innovative Network & Internet Technology Company」(最も革新的なネットワーク企業・IT企業)に選ばれた。 2012年、世界経済フォーラムの「テクノロジー・パイオニア」の1社に選出。 Fast Companyが選ぶ世界の最も革新的な企業10社にランクイン。 2016年、フォーブス誌の「Cloud 100」(クラウド上のビッグデータを活用する企業世界ベスト100)で11位にランクイン。[14]
脚注[編集]
- ^ “CloudFlare Reveals $50 Million "Secret" Funding -- From One Year Ago - Kara Swisher - Security - AllThingsD”, AllThingsD
- ^ "Cloudflare beefs up app platform plans with startup acquisition". Bizjournals.com. Retrieved 2017-02-28.
- ^ The Largest Cyber Attack In History Has Been Hitting Hong Kong Sites. Forbes.
- ^ CloudFlare Hints IPO Could Be Coming, But Not This Year. www.techcrunch.com.
- ^ Cloudflare acquires app platform Eager, will sunset service in Q1 2017. VentureBeat.
- ^ Biggest DDoS ever aimed at Cloudflare’s content delivery network. Ars Technica.
- ^ "Cloudflare Web Application Firewall Review". "Fanatic Entrepreneur."
- ^ ""April 2016 DNS Speed Comparison Report "". ""www.solvedns.com.""
- ^ ""CloudFlare figured out how to make the Web one second faster "". ""ZDNet.""
- ^ "Internet Exchange Report". Hurricane Electric.
- ^ "CloudFlare Releases Transparency Report for First Half of 2015". "Wired Business Media."
- ^ "Cloudbleed: Big web brands leaked crypto keys, personal secrets thanks to Cloudflare bug". "The Register."
- ^ “Cloudflare 日本法人を開設”. クラウドフレアジャパン. 2020年8月10日閲覧。
- ^ "Forbes Cloud 100". "Forbes."
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- 公式ウェブサイト(日本語)
- 公式ブログ
- Cloudflare (@Cloudflare) - Twitter
- Cloudflare - LinkedIn
- Cloudflare - YouTubeチャンネル
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