Jリーグ育成マッチデー
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Jリーグ育成マッチデー(ジェイリーグ いくせいマッチデー)は、2018年から開催される、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)の控えメンバーによる変則リーグ戦。公式戦出場の少ない、将来有望な若手選手の強化・育成に寄与することを目的に実施される[1]。本項目では2021年度から開始される予定の「Jエリートリーグ」についても説明する。
概要[編集]
Jリーグの控えメンバーによるリーグ戦としては、1993年から2009年、並びに2016年・2017年に開催されたJサテライトリーグがあるが、このレギュレーション(特に2017年シーズンのもの)を見直した上で、Jサテライトリーグとは別の大会として開催される[1]。
順位付けを行わなかったJサテライトリーグと異なり、試合数や23歳以下の出場時間などに応じて数値化した合計ポイントで順位を決め、順位に応じてJリーグから「育成奨励金」が支払われる点が大きな相違点となっている[2]。Jリーグ副理事長の原博実は「今までとは違う発想(の育成大会)」と述べている[3]。
レギュレーション[編集]
J1・J2・J3に所属するクラブのうち、希望するクラブが参加する。
- 2018年は北海道コンサドーレ札幌・横浜FC・ガイナーレ鳥取・ファジアーノ岡山・サンフレッチェ広島・レノファ山口FCの6チームが参加[1]。
- 2019年はガイナーレ鳥取・ファジアーノ岡山・サンフレッチェ広島・レノファ山口FC・徳島ヴォルティス・愛媛FCの6チームが参加[4]。
通常のリーグ戦と異なる、以下のような変則的なレギュレーションが採用される[1]。
- トップチーム登録選手(2種登録選手・特別指定選手含む)、二種チームに所属しトップチームに2種登録されておらず、事前にJリーグが承認した選手、JFA登録完了済の練習生(最大6名)が参加する。各試合ごとのエントリーは18名以内。
- ホーム・アンド・アウェーを原則とせず、アウェイのみの参加も認める(従って、各チームの試合数が異なることも考えられる)。
- 各試合はトップチームのアンダーカードとして開催することを推奨し、前後半45分ずつの90分で行われ、同点の場合は引き分けとする。
- 交代枠は7名まで。
- 累積警告による出場停止は適用しない。
- 試合結果に基づき、以下のポイントを付与し、合計ポイントの多い順に順位を決定する。試合数に差が生じることを考慮し、試合の勝敗以外の要素のウエイトが高くなっている。
- 1試合参加するごとに1ポイント、試合勝利によりさらに1ポイント(引き分け・敗戦は試合参加ポイントのみ)
- 公式戦に近い環境での試合(公式戦開催スタジアム等での開催)として開催した場合、ホームクラブに3ポイント
- 遠距離(原則片道300km以上)の遠征をしたビジタークラブに1ポイント
- 23歳以下選手の年間出場時間を合計し、出場時間の多い上位5クラブに5ポイントから1ポイントを順に付与
- ポイントが同数だった場合、「23歳以下選手の出場時間」が多いクラブを上位とする(2019年から[4])
育成奨励金[編集]
3試合以上実施したチームに対し、順位により、以下の「育成奨励金」をJリーグより支払う[1]。
- 1位 - 4,000,000円
- 2位 - 3,000,000円
- 3位 - 2,000,000円
- 4位 - 1,000,000円
- 5位 - 500,000円
- 6位 - 300,000円
結果[編集]
順 | チーム | 試 | 勝 | 分 | 敗 | 23 | 環 | 遠 | 計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ガイナーレ鳥取 | 5 | 0 | 1 | 4 | 5 | 6 | 0 | 16 |
2 | ファジアーノ岡山 | 5 | 2 | 1 | 2 | 4 | 0 | 0 | 11 |
3 | レノファ山口FC | 3 | 2 | 0 | 1 | 2 | 3 | 0 | 10 |
4 | サンフレッチェ広島 | 3 | 3 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 9 |
- | 北海道コンサドーレ札幌 | 0 | - | - | - | - | - | - | 0 |
- | 横浜FC | 0 | - | - | - | - | - | - | 0 |
- 札幌と横浜FCは試合を行っていないため、順位はつけられていない(育成奨励金の対象外)。
Jエリートリーグ[編集]
2019年9月4日付のスポーツニッポン新聞によると[5]、将来の「JリーグU-21(仮称)」設立を前提とした準備段階として、2020年をめどに現在の育成マッチデーをリニューアルした「Jリーグ育成リーグ(仮称)」を創設(実質的にサテライトリーグ復活)させる方向で準備していることがわかった。
それによると、現在J3リーグに参加しているクラブを除いた、J1・J2のチームの中から希望するチームを募り、20チーム程度の参加を考えており、移動負担などを考慮したうえで地域別の5地区程度に分けてリーグ戦を行い、全体の優勝チームを決めるためのプレーオフも行う考えであるとしている。当初案としては21歳以下の選手による「JリーグU-21」の設立を検討することが話し合われたが、一部のクラブから時期尚早との声があり、当面21歳以下の条件を外したうえで育成リーグを展開するとしている。
その後、2020年2月7日のJリーグの発表で、「Jエリートリーグ」の創設を正式に発表し、東日本から4クラブ、関西、中四国、九州(沖縄含む)で各6クラブの22クラブが参加して開催し、3月から地域別にホーム・アンド・アウェー方式のリーグ戦を開催。各々につき21歳以下の選手を3人以上登録することを義務付ける。またJリーグから承諾を得た練習生・アカデミー(ユースなど)の選手もエントリーできるようにしている[6][7]。
しかし、全国的な新型コロナウィルスの大流行が起きたことによる財務上の影響の問題、またトップチームが出場する公式戦(J1・J2・J3・ルヴァンカップ)の開催中断により、エリートリーグの日程調整や、それに出場するチーム編成が困難になったため、2020年度の開催は取りやめられることが決まった。今後も選手の育英・強化の主眼で、重要な役割を持つものと考えており、2021年度の開催については改めて審議し、決定次第アナウンスするとしている[7]。
その後、2021年度から開始となる予定で、既に10~12クラブが参戦を予定している[8]。
脚注[編集]
注記[編集]
出典[編集]
- ^ a b c d e “2018Jリーグ育成マッチデー開催について” (プレスリリース), 日本プロサッカーリーグ, (2018年2月28日) 2018年3月1日閲覧。
- ^ “6チームで「育成マッチデー」=Jリーグ”. 時事通信. (2018年2月28日) 2018年3月1日閲覧。
- ^ “Jが育成マッチデー開催、若手伸ばす試み 奨励金も”. 日刊スポーツ. (2018年2月28日) 2018年3月1日閲覧。
- ^ a b “2019 Jリーグ育成マッチデー開催について” (プレスリリース), 日本プロサッカーリーグ, (2019年3月5日) 2018年3月6日閲覧。
- ^ “来季J育成リーグ創設 若手の試合環境整備へ地域5ブロック20クラブ予定”. スポーツニッポン. (2019年9月4日) 2019年9月26日閲覧。
- ^ Jリーグ「エリートリーグ」詳細発表、地域別対戦に(日刊スポーツ)
- ^ a b 2020シーズンの「Jエリートリーグ」中止について(Jリーグ公式リリース)
- ^ “浦和 今季から新設「エリートリーグ」参戦を正式表明、若手も積極強化”. スポーツニッポン (2021年1月24日). 2021年1月18日閲覧。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
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