JALカーゴ
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![]() 「JAL CARGO」と書かれた航空コンテナ | |
種類 | 貨物運送 |
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略称 | JALカーゴ(JAL CARGO) |
本社所在地 |
![]() 〒282-0021 千葉県成田市成田国際空港内 日航貨物ビル |
設立 | 1982年10月14日 |
業種 | 貨物 |
法人番号 | 8040001043152 |
事業内容 | 航空貨物など |
代表者 | 森本義規(代表取締役社長) |
資本金 | 5,000万円 |
売上高 | 138億円 |
主要株主 | 日本航空株式会社 |
外部リンク | http://www.jalcargoservice.com |
JALカーゴ(JAL CARGO・JAL Cargo)は、日本航空グループにおいて、貨物を運送するサービスのブランド名であり、会社名は「株式会社 JALカーゴサービス」[1]である。単に「JALカーゴ」と言った場合には、2010年まで運航されていた、日本航空の貨物便専用機材を意味することもあるが、現在でも、日本航空で旅客便に搭載されて運送される貨物のことを「JALカーゴ」という[2]。
歴史・概要[編集]
JALカーゴが会社として設立されたのは1982年10月であり[1]、JA8123 (ボーイング747-200F) を初号機として、貨物型専用機の運航をスタートした。同型機の他には、ダグラスDC-8やボーイング747-400、ボーイング767などの貨物型に関しても導入実績を持つ。
1990年代には「JAL SUPER LOGISTICS(物流)」というブランド名を使用していたこともあるが[3][4]、すぐにこのキャンペーンは取り止めとなり、「JALカーゴ」に戻された。2002年、JALカーゴは、貨物便を主な対象とするWOWのメンバーに参加し、さらに貨物輸送に力を注ぐようになった[5]。
なお、同社の貨物専用機の主な拠点空港は成田国際空港であったが、一部の機体は関西国際空港からの貨物便も運航したほか、わずかな期間ではあるが東京国際空港の貨物ターミナルも利用したことがある[6]。
長年に渡って貨物専用機の保有を継続していたJALカーゴだが、2007年からの世界同時不況を発端とする経営破綻(持株会社の廃止)などが引き金となって、2009年には日本貨物航空との統合を試みたものの成功せず[7]、翌年(2010年)3月25日には、貨物専用機による貨物便の運航は終了することを発表[7]。同年11月1日のフライトを最期に、貨物専用機による運航に終止符が打たれた[4]。
なお、日本航空は日本で初めて、貨物専用機の運航を行なった航空会社であったため、2010年をもってその長い運航の歴史に幕が閉じられることとなった[7]。
なお、この時点をもってJALカーゴは完全に消滅した訳ではなく、現在でも日本航空はカリッタ航空などの他社貨物航空会社との共同運航(コードシェア)や旅客便に貨物を搭載し、貨物の運送自体は継続しているため、それにおいてはJALカーゴの名称が引き続き使用されている[2][8]。あくまでも、貨物専用機としてのJALカーゴが姿を消しただけなのである。
実績[編集]
国内線(2005年時点)[編集]
- 貨物338,443有償トンキロ
- 郵便85,519有償トンキロ
国際線(2005年時点)[編集]
- 貨物4,541,293有償トンキロ
- 郵便161,690トンキロ
2009年3月からは、日本貨物航空と太平洋路線においてコードシェアを行った。また、関西国際空港において、日本貨物航空の貨物積み下ろし作業の委託も行なっている。
2019年8月からは、カリッタ航空とのコードシェアにて、東京/成田-シカゴ間を週3往復運航している(機材はカリッタ航空)[9]。
運航機材(貨物専用)[編集]
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貨物専用機材の運航も行なっていた時の機材は以下の通り。
機種名 | 概要 | 画像 |
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ボーイング747-400F | 銀色が輝く機体だが、それはアルミニウム合金で機体が構成されているためであり(ポリッシュドスキン[7])、銀色の塗装が実施されている訳ではない。ポリッシュドスキンにより塗装を省くことで、機体の軽量化を図っている[10]。また、旅客型を含め日本航空が所有する747としては唯一、鶴丸塗装がどの機体にも実施されていない。運航機数は2機で、導入からわずか6年で売却となった。 | ![]() |
ボーイング747-400BCF | 通常の-400F(上記)とは異なり、元は旅客型の-400だった機体を貨物型へと改修したものである。その名残として、-400Fのアッパーデッキ(2階席)が短いのに対し、-400BCFは旅客型と同じようにストレッチドアッパーデッキ(SUD)となっているほか、-400BCFはポリッシュドスキンではなく、旅客型と同じように白い機体になっている[7]。また、-400Fには装備されている、ノーズカーゴドア[注釈 1]がない。積載量に関しては、その構造や航続距離などの面から、-400Fよりも若干劣っている。運航機数は5機。 | ![]() |
ボーイング747-200F | ポリッシュドスキンの機体とそうでない機体に分かれていた。 また、機体後部に「SUPER LOGISTICS」と書かれていた機体も少なくなかった。なお、日本アジア航空との共通事業機は、胴体の社名が「JALCARGO」の「L」がない「JA CARGO」になっており、また尾翼に鶴丸などではなくレジナンバーが表記されていた[11][12]。サイドカーゴドアがない機体が1機(JA8132)あった。-200Fには自社の旅客型を改造した機体はないが、JA8193号機は1991年にシンガポール航空から購入した旅客型(旧機体記号9V-SQO、1980年製造)を受領直後に改造したもので、客室窓がわずかながら残っていたことで容易に識別できた。また、自社導入機の他にも、1982年にパンアメリカン航空から2機購入している。 | ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
ボーイング747-100F | 1977年に旅客型1機(JA8107)を改造したもので、客室窓がそのまま残されていた。 | ![]() |
ボーイング767-300ERF | 747-400Fと同様にポリッシュドスキン仕様となっている。2007年から運航を開始したが[7]、わずか3年ほどで全機が退役。アジア路線などの近距離貨物便を中心に運航していた(後述)。日本航空所有の767としては唯一、どの機体にも鶴丸塗装が未使用である。運航機数は3機。 | ![]() |
ダグラスDC-8-62AF | 初代鶴丸塗装を使用していた頃に活躍し、747Fと共に長距離貨物便の運航を担っていた。 | ![]() |
ダグラスDC-8F-55 | DC-8-62AFとともに活躍していた。 | ![]() |
就航都市[編集]
JALカーゴの国際線が、2008年夏時点で貨物専用機により就航していた地点は以下の通り (空港名省略)[6]。
欧米路線など長距離貨物便は、主に747F (1980年代はDC-8Fも運航) が担っていたが、アジア路線などの短距離貨物便は大半が767Fによる運航であった[6]。その理由は、747Fで短距離貨物便を運航する場合、採算が合わないためである。
また、コードシェア便なども含めると、JALカーゴ以外の航空会社が運航する貨物機材も使用された。
- アンカレッジ
- シカゴ
- ニューヨーク
- アムステルダム
- ロンドン
- フランクフルト
- パリ[注釈 2]
- アマルティ[注釈 3]
- ヨーテボリ[注釈 3]
- ヌルスルタン[注釈 3]
- 上海
- 広州
- 青島
- 大連
- 天津
- 香港
- ソウル
- 台北
- クアラルンプール
- ジャカルタ
- マニラ
- シンガポール
- バンコク
- ホーチミン
その他[編集]
- 退役した747-400BCFの1機、JA8086は、機体を売却したエバーグリーン航空の貨物型として一時活躍したが、その後は空中消火機のグローバル・スーパータンカーに改造されている。
事件・事故[編集]
脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ 機首部分にある巨大なドアのこと。これを利用して貨物を積み降ろすため、747Fの多くはこのドアを装備している。
- ^ エールフランス・カーゴの機材が運航
- ^ a b c ルフトハンザ・カーゴの機材が運航
出典[編集]
- ^ a b “会社概要 株式会社JALカーゴサービス”. www.jalcargoservice.com. 2019年9月22日閲覧。
- ^ a b “JALCARGO” (日本語). JALCARGO -日本航空貨物事業部門のサイト. 2019年9月22日閲覧。
- ^ https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA58807286/(日本航空広報部・JALグループ50年の航跡)
- ^ a b 秋本俊二 (2011年7月25日). チャーリー古庄(画像提供). ed. JAL旅客機まるごと大百科. ソフトバンク・クリエイティブ株式会社. p. 101
- ^ “JALCARGO、グローバル提携“WOW”に加盟!”. 日本航空 (2002年7月5日). 2019年9月24日閲覧。
- ^ a b c “復活期すJALカーゴ” (日本語). http://www.daily-cargo.com. p. 11. 2019年9月23日閲覧。
- ^ a b c d e f 旅客機アルバム(2010-2011). イカロス出版. p. 233
- ^ “JAL、9年ぶり定期貨物便再開 米航空貨物と共同運航”. 日本経済新聞 (2019年8月1日). 2020年11月5日閲覧。
- ^ “JAL、カリッタ航空と貨物コードシェア開始 成田に初便、747に鶴丸ロゴも”. Aviation Wire. Aviation Wire (2019年8月3日). 2019年10月8日閲覧。
- ^ “航空機体をペイント塗装するのにもちゃんと理由があった!”. air-line.info. 2019年9月22日閲覧。
- ^ Japan, contri from Yonezawa-Shi, Yamagata (2011-10-02), Historic Photo 2019年9月22日閲覧。
- ^ Japan, contri from Yonezawa-Shi, Yamagata (2011-05-21), Early '90s... 2019年9月22日閲覧。
外部リンク[編集]
- 会社概要 株式会社JALカーゴサービス(会社基礎情報)