JR九州YC1系気動車

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JR九州YC1系気動車
JR Kyusyu YC1.jpg
JR九州YC1系気動車
(長崎駅 2020年1月)
基本情報
運用者 九州旅客鉄道
製造所 川崎重工業
製造年 2018年 -
製造数 1編成2両(0番台)
1編成2両(100番台)
+増結用4両(1100番台)
15編成30両(200番台)
運用開始 2020年3月14日[1][2]
投入先 佐世保線佐世保早岐
大村線早岐諫早
長崎本線諫早長崎
※旧線(長与経由)を含む
主要諸元
編成 2両編成
軌間 1,067 mm狭軌
最高運転速度 110 km/h
設計最高速度 110 km/h [3]
起動加速度 2.3 [4] km/h/s
減速度(常用) 4.2 [4] km/h/s
減速度(非常) 4.2 [4] km/h/s
編成定員 232人(0番台/うち座席定員76人)[3]
235人(100,200番台/うち座席定員72人)
車両定員 110人(M’c/0番台)
122人(Mc/1000番台)
112人(M’c/100,200番台)
123人(Mc/1100,1200番台)
自重 39.7t(M'c)
39.4t(Mc)
編成重量 79.1 t
全長 20,000 mm
車体長 19,500 mm
全幅 2,800 mm
全高 4,046 mm
床面高さ 1,140 mm
車体 軽量ステンレスefACE
台車 タンデム式台車
DT411K(M)・TR411K(T)
車輪径 810 mm
固定軸距 2,100 mm
動力伝達方式 WN駆動方式
機関 SA6D140HE-3直噴式直列6気筒ディーゼルエンジン
機関出力 450PS
発電機 DM601K形 開放型強制通風方式かご形誘導発電機
主電動機 かご形三相誘導電動機 DM601K形+全閉自冷式誘導電動機 MT407K
主電動機出力 331kw+95kw
歯車比 6.5
制御方式 PWMコンバータ+PWMインバータ制御
制動装置 回生発電併用電気指令式空気ブレーキ
直通予備ブレーキ
応荷重・排気(抑速)付き
保安装置 ATS-SK形
ATS-DK形
EB装置
列車防護無線装置
備考 出典:交友社『鉄道ファン 2019年3月号』
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YC1系気動車(YC1けいきどうしゃ)は、2018年(平成30年)に登場した九州旅客鉄道(JR九州)の一般形気動車[注 1]ディーゼル・エレクトリック車両ハイブリッド車両[1]

概要[編集]

JR九州が821系電車と共に「やさしくて力持ちの鉄道車両」と銘打って導入する、同社初のハイブリッド車両[3]である。従来の形式称号とは全く異なる「YC1系」という新たな系列名が付与されたが、この「YC」という形式名は開発コンセプトである「やさしくて力持ち(Yasashikute Chikaramochi)」の頭文字をとったものである[3]

ディーゼル・エレクトリック方式の採用と蓄電池の併用により省エネと効率化の両立を目指した車両で、国鉄時代に製造されたキハ66・67系キハ40・47・140・147系に比べて燃料消費量を約2割削減し、さらに液体変速機や推進軸といった液体式気動車特有の回転部品のメンテナンスに要するコストの削減も念頭に置いた[8]。JR九州鉄道事業本部副本部長の福永嘉之も将来的には液体式気動車をディーゼル・エレクトリック方式に置き換えて標準化を進める意向であると述べている[8]

2020年令和2年)3月14日ダイヤ改正より、佐世保線佐世保 - 早岐)、大村線長崎本線諫早 - 長崎:旧線含む)で営業運転を開始した[1][2]

2021年の3月にはキハ200系を、6月にはキハ66系を完全に置き換えており、これ以降、長崎地区のJR非電化区間における定期列車は基本的に本形式で運用されている。

構造[編集]

量産先行車が0番台+1000番台、量産車が100番台+1100番台および200番台+1200番台の、いずれも片運転台の2両一組で編成を組む。

同時期に並行して開発・投入された821系電車と様々な部分で共通化が図られており、前部標識後部標識行先表示器・空調設備は821系と共通のものが搭載されている[3]。正面は821系電車同様、車体断面の縁取り部分にLEDライトが埋め込まれ、前部標識・後部標識の補助的な役割を果たす。連結器にも821系同様、電気連結器が4つついている。なお、車体断面は821系電車のワイドボディに対してストレートとなっている。

また、0番台と1000番台、100番台と1100番台は後位側の連結器にも電気連結器が付いており、2両の車両を分割した後、他の2両編成のYC1系と連結して、2+1両の3両編成での運行も可能となっている。200番台,1200番台は後位側の連結器が半固定連結器となっているため、分割しての運転はできなくなっている。

2両を分割して1両増結用で使用する場合、1000番台、1100番台側が使われる。

ただし、2021年6月現在時点で、2両1ユニットとして構成されている0番台や100番台は1番+1001番,101番+1101番の各1ユニットずつのみしかないため、1番ユニット(1001番)は試運転時以外で、101番ユニット(1101番)は一度も、分割されての編成組成をされたことはなく、営業運転列車で3両編成を組成する場合は増結用1100番台の1102〜1105番が使われている。(一部編成組成に使われていない車両は1両のみの状態で車両センター内に留置されている。)

動力関係[編集]

主回路の大まかなシステム構成図

ディーゼルエンジン発電機を駆動させて三相交流電力を発生させ、モーターを回転させて走行するディーゼル・エレクトリック方式の車両であるが、YC1系の特徴として、「蓄電池搭載型ディーゼルエレクトリック」と呼ばれるシステムを採用したいわゆる「ハイブリッド車両」(シリーズ式ハイブリッド)となっている。

これは屋上に蓄電池を搭載し、発電機で得た電力の一部や回生ブレーキで発生した電力を蓄えて活用することで効率的な走行を実現するシステムで、これによりキハ66・67系と比較して燃料消費量をおよそ20%減らしている[3]。駅発車時は蓄電池からの給電で加速し、速度がおよそ30〜40km/h付近を超えるとディーゼルエンジンが起動する。また走行の際、惰行運転中はエンジン出力が落ちた状態となるが、再加速させる(アクセルノッチを入れる)と出力が再び上がる。駅停車中はアイドリングストップ状態となり、駅停車中に蓄電量が下がると自動でエンジンが起動し充電し始め、一定量蓄電されるとエンジンが停止して再びアイドリングストップ状態となる。

車内設備[編集]

乗降口は両開き扉が1両あたり片側3か所に設けられ、1両あたり片側2か所であったキハ66・67系よりも数が増やされている。乗降扉は押しボタン式開閉ドア(スマートドア)とされ[注 2]、車体外側の扉両脇下部にはホーム足元を照らすライトが設置されている。また、乗降口の段差が解消され、バリアフリー化が図られている。量産先行車には821系と同じくドア上に「マルチサポートビジョン(MSV)」が設置されていたが、取り外された。

座席は、0/1000番台は車体の一方に大型テーブルを備えた固定式クロスシート、反対側に扉横部のみヘッドレストを備え付けたロングシートを組み合わせたセミクロスシートとなっているが、100/200/1100/1200番台は車端部の1区画のみクロスシートである以外は全てロングシートで、クロスシート部分の大型テーブルの設置も省略されている。またロングシートもハイバックシートに変更されている。トイレ横の区画に関しても当初テーブル付き1人掛けのボックスシートが2区画設置されていたが、100/200番台ではトイレの向かい側に座席が設置されず、扉間の空間が全て通路と立席に変更された。クロスシートはロングシート4席分の幅に合わせて寸法が取られているため、1,840 mmの広々としたシートピッチで設計されているが、通路側の肘掛けが省略されている。

トイレ車椅子での利用に対応した大型のもので、長崎方の0/100/200番台車両に設けられている。設置場所は車端部ではなく扉間に設けられ、この扉間には窓が設けられない。

前述の100/200番台のトイレ横の立席部分は車椅子用スペースとしても使われており、窓下壁面には介助者用の小さい折りたたみ腰掛けが1つ格納されている。

車内の乗務員室(運転席)付近右上に液晶ディスプレイ式の車内案内表示装置が、車外にはフルカラーLED式の行先案内表示器が設置されており、これらの表示装置は日本語英語中国語韓国語の4か国語に対応する。

沿革[編集]

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

  1. ^ 車内設備や性能面など、基本設計に着目すれば近郊形とされるが[5]、近郊形は国鉄・JRの新性能電車独自の概念であり、気動車については厳密な意味で近郊形に分類される車両ではないことと(近郊形車両#気動車を参照)、通勤形や近郊形として製作された車両であっても電車とは異なり、運用上の区別が明確でなく、慣例的に一般形のカテゴリに括られ[6][7]通勤形と近郊形も広義では一般形の一種であるため(一般形車両 (鉄道)も参照)、本項では一般形とする。
  2. ^ 新型コロナウイルス感染拡大防止対策として、運行開始から当面の間は使用せず、乗務員によるドアの開閉としている[9]

出典[編集]

  1. ^ a b c d “新型車両を投入し、通勤・通学をより快適にします ダイヤをよりわかりやすく利用しやすくします” (PDF) (プレスリリース), 九州旅客鉄道, (2019年12月13日), p. 3, オリジナルの2019年12月24日時点におけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20191224235633/http://www.jrkyushu.co.jp/common/inc/news/newtopics/__icsFiles/afieldfile/2019/12/13/201912132020harusingatasyaryoudounyuusimasu.pdf 2020年3月29日閲覧。 
  2. ^ a b c “省エネ新型車両YC1系 長崎-佐世保で営業運転開始”. 長崎新聞 (長崎新聞社). (2020年3月16日). オリジナルの2020年4月8日時点におけるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20200408133429/https://this.kiji.is/612088503782851681 2020年4月8日閲覧。 
  3. ^ a b c d e f g “九州を明るく照らす次世代の車両が誕生します!!” (日本語) (PDF) (プレスリリース), 九州旅客鉄道, (2018年1月26日), オリジナルの2020年3月19日時点におけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20200319053530/https://www.jrkyushu.co.jp/news/__icsFiles/afieldfile/2018/01/26/180126_001821_1.pdf 2020年3月29日閲覧。 
  4. ^ a b c 日本鉄道車輌工業会「鉄道車両工業」258号(2019年9月)「JR九州 YC1系蓄電池搭載型ディーゼルエレクトリック車両」8-9P記事。
  5. ^ 『JR全車両ハンドブック2009』ネコ・パブリッシング、2009年、489頁。ISBN 978-4777008360。
  6. ^ 『平成型車両 厳選140形式』講談社、2011年、114頁。ISBN 978-4062171816。
  7. ^ 石井幸孝『キハ47物語』JTBパブリッシングJTBキャンブックス〉、2009年、36-37頁。ISBN 978-4533074271。
  8. ^ a b 従来型ディーゼル車に引導、JR九州の新車両 電池搭載ハイブリッド車がローカル線の顔に”. 東洋経済オンライン. 東洋経済新報社 (2018年10月23日). 2020年4月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年8月30日閲覧。
  9. ^ “新ドアボタン当面“封印” 感染対策、乗員が開閉 長崎県内運行JR車両”. 長崎新聞 (長崎新聞社). (2020年3月10日). オリジナルの2020年3月29日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20200329025041/https://this.kiji.is/609765918861608033?c=174761113988793844 2020年3月29日閲覧。 
  10. ^ “JR九州YC1系が甲種輸送される”. 鉄道ファンrailf.jp鉄道ニュース (交友社). (2018年6月3日). https://railf.jp/news/2018/06/03/195500.html 
  11. ^ “JR九州821系・YC1系「やさしくて力持ち」新型車両を公開! 写真149枚”. マイナビニュース. (2018年10月5日). https://news.mynavi.jp/article/20181005-jrkyushu821yc1/ 
  12. ^ “YC1系が佐世保線・長崎本線で試運転”. 鉄道ファンrailf.jp鉄道ニュース (交友社). (2019年3月5日). https://railf.jp/news/2019/03/05/170000.html 
  13. ^ “YC1系6両が甲種輸送される”. 鉄道ファンrailf.jp鉄道ニュース (交友社). (2020年2月22日). https://railf.jp/news/2020/02/22/202000.html 
  14. ^ “YC1系6両が甲種輸送される”. 鉄道ファンrailf.jp鉄道ニュース (交友社). (2020年5月23日). https://railf.jp/news/2020/05/23/203000.html 
  15. ^ “YC1系6両が甲種輸送される”. 鉄道ファンrailf.jp鉄道ニュース (交友社). (2020年6月5日). https://railf.jp/news/2020/06/05/133000.html 
  16. ^ “JR九州YC1系甲種輸送される”. 鉄道投稿情報局 (鉄道ホビダス). (2020年11月17日). https://rail.hobidas.com/rmnews/307131/ 

関連項目[編集]