JR東日本255系電車

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JR東日本255系電車
JR East 255 Series No.02 Shin-Urayasu Sta.jpg
255系「わかしお」
2019年8月1日 新浦安駅
基本情報
運用者 東日本旅客鉄道
製造所 東急車輛製造近畿車輛
製造年 1993年 - 1994年
製造数 5編成45両
運用開始 1993年7月2日
主要諸元
編成 9両編成 (4M5T)
軌間 1,067 mm
電気方式 直流1,500V
架空電車線方式
最高運転速度 130 km/h
設計最高速度 130 km/h
起動加速度 1.8 [1]km/h/s
減速度(常用) 5.0 [1]km/h/s
編成定員 522人(普通車)+42人(グリーン車)=564人
編成重量 278.6 t
全長 20,500 mm (21,000 mm)
全幅 2,950 mm
全高 3,790 mm
車体 普通鋼
編成出力 95 kW×16 = 1,520 kW
制御方式 VVVFインバータ制御IGBT素子
制御装置 日立製作所製SC111形
制動装置 回生ブレーキ
電気指令式ブレーキ
抑速ブレーキ
全電気ブレーキ
保安装置 ATS-SNATS-P
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255系電車(255けいでんしゃ)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)の直流特急形車両。「Boso View Express」の愛称がある。1993年平成5年)7月2日に営業運転を開始した。

概要[編集]

千葉県房総半島を走行することから「房総特急」と総称される内房線外房線特急列車さざなみ」・「わかしお」には、日本国有鉄道時代に製造された183系が使用されていたが、老朽化が進んでいたことからその置き換えを目的に東急車輛製造近畿車輛で製造された。

都市間輸送と観光客輸送の両面に対応した車両であり、JR東日本が従来設計・製造した特急形車両である651系251系253系の要素を融合した構造となった。

1993年度には通商産業省(現:経済産業省)のグッドデザイン商品(現:財団法人日本産業デザイン振興会主催グッドデザイン賞)に選定された。車両のデザイン開発は榮久庵憲司が設立した「GKインダストリアルデザイン」が担当している。

車体[編集]

253系と同一の車体断面を有しているが、先頭形状は非貫通となっており、大型の一枚窓が配置され、ワイパーカバー下に前照灯と尾灯が一列に配置されている。乗降扉の数は安房鴨川銚子方先頭車のクハ255形を除いて各車両1か所とし、側面の窓は僅かながら上下に広げられた。

塗装はホワイト□(ビーチ)をベースに、下半分をブルー(深みのある太平洋)、乗降口部分にイエロー(明るい陽光と房総に咲く菜の花)を配した。この色は後継車種のE257系500番台や、千葉地区の普通列車用車両(211系209系)の車体帯にも採用されている。

JR東日本の特急形電車としては初のVVVFインバータ制御車である。走行システムについては通勤形電車209系910番台(旧901系試作車B編成)の設計を改良して採用している[1]東芝製・GTOサイリスタ素子による個別制御方式)。具体的には定速制御(60km/h以上)・抑速制御(40km/h以上)機能を追加したものとなっている[1]。補助電源装置は東洋電機製造製のGTOサイリスタを使用した昇降圧チョッパ式静止形インバータ(SIV・定格出力190kVA)を採用した[2]

導入当初の運用線区が京葉線・内房線・外房線に限定されることから、当初はATCを搭載せず、将来総武本線系統の列車への運用を考慮し設置スペースを確保した準備工事にとどまった。当初は横須賀線総武快速線品川駅 - 錦糸町駅間を走れなかったが、同区間は2004年(平成16年)2月29日よりATS-P形に切り替わったため、結果としてATCを搭載せずに255系も入線できるようになった。

側面の行先表示器は登場当時は字幕式だったが、2005年(平成17年)12月10日ダイヤ改正を前にLED式に取り替えられた。

接客設備[編集]

普通車座席のシートピッチは970mmで、グリーン車座席のシートピッチは1,160mmである。普通席には向い合わせのときも使用可能なインアームテーブルが肘掛に収納されており、グリーン席も同様の構造である。また、座席配置はグリーン席も普通席も同じ横方向4列配置である。本形式以降、JR東日本の在来線特急車両のグリーン車は座席定員確保の観点から一部を除いて4列配置が基本となっている。

機器更新[編集]

初期車の製造から20年以上が経過して主要機器の経年劣化が目立ってきたため、2014年度から大宮総合車両センターにおいて機器更新を開始した[3]。2016年度をもって全編成の更新を完了した。

  • VVVFインバータ装置をGTOサイリスタ素子からIGBT素子を使用したSC111形(1C4M2群制御)に更新[3]
  • 補助電源装置(SIV)をIGBT素子を使用した待機2重系のSC92A形に更新[3]
  • 保安装置はATS-P形、ATS-SN形別々の搭載から、統合型ATS-P形装置に更新[3]
  • 車内は使用停止だった清涼飲料水自動販売機換気扇の撤去などが行われた程度である。

形式・編成表[編集]

形式[編集]

モハ255形
3号車・8号車に連結される中間電動車。2号車、7号車とユニットを組む。PS26A形パンタグラフを搭載、取付け部を低屋根構造とすることで折りたたみ高さを3,980mmに抑え中央本線の狭小建築限界トンネルの通過が可能で、実際にこちらを走行したことがある。主制御器であるVVVFインバータ装置、空気圧縮機 (CP) を搭載。自動販売機を設置していたが後に営業中止と撤去がされた。
モハ254形
2号車・7号車に連結される中間電動車。3号車、8号車とユニットを組む。VVVFインバータ装置と冷房装置などのサービス機器に電力を供給する補助電源装置の静止形インバータ (SIV) を搭載。トイレ洗面所を設置する。
クハ255形
銚子・安房鴨川・館山方の制御付随車(9号車)。トイレ・洗面所を設置し、当系列では唯一の2デッキ構造である。
クハ254形
東京方の制御付随車(1号車)。デッキ付近に大形荷物置場を設置。車両の東京方にデッキがある。
サロ255形
4号車に連結される付随車でグリーン車。座席配列は車椅子対応座席を除いて普通車と同様2+2であり、客室の中間をパーティションで区分されているのは、かつて半室で喫煙席・禁煙席を区別していた名残りである。車掌室、トイレ・洗面所、カード式公衆電話を設置する。
サハ255形
6号車に連結される付随車。車内販売準備室を設置する。
サハ254形
5号車に連結される付随車。車椅子対応の座席、トイレ・洗面所、多目的室を設置する。
モハ255-2
モハ255-2。パンタグラフの周囲だけ屋根が低くなっている
モハ254-1のクーラーユニット
モハ254-1のクーラーユニット


編成表[編集]

2015年10月現在でBe-01~05の9両編成5本、計45両が幕張車両センターに在籍する。

形式
← 銚子・安房鴨川
東京・新宿 →
備考
クハ
255
モハ
255
モハ
254
サハ
255
サハ
254
サロ
255
モハ
255
モハ
254
クハ
254
編成番号 Be-01 1 1 1 1 1 1 2 2 1 1993年製
1次車
Be-02 2 3 3 2 2 2 4 4 2
Be-03 3 5 5 3 3 3 6 6 3 1994年製
2次車
Be-04 4 7 7 4 4 4 8 8 4
Be-05 5 9 9 5 5 5 10 10 5

1994年製の2次車では、1次車の使用状況から仕様が一部変更された[4]

  • 側窓の上下寸法を60㎜拡大
  • 車外のガラス固定方法を押さえ金具方式をやめ、ガラスと構体間にシール材を充填する方式に変更
  • 各座席ごとに読書灯を設置、グリーン車の荷棚柱の灯具を廃止
  • 普通車の床敷物をフラットな形状に変更、グリーン車は通路のみから、全面じゅうたん敷に変更
  • 喫煙車のデッキに灰皿を設置
  • 運転士の視界を考慮して、運転席機器配置を一部変更
  • 各車両間に転落防止幌を取り付け

運用[編集]

定期列車では主に総武本線の「しおさい」に使用されている。外房線の「わかしお」にも使用されているが、主に土休日運行の「新宿わかしお」で使用されている。使用列車はグリーン車の有無(当系列にはグリーン車あり)と、編成両数(同一路線を走行するE257系500番台は5両または10両編成であるのに対し、255系は常に9両編成で運転される)で区別できる。臨時列車で中央本線直通の特急「ビューかいじ」でも使用されていた。

この他、通常E257系で運行される成田線鹿島線の「あやめ」にも週末を中心に使用されることがあった。2015年3月13日をもって「さざなみ」の定期運用から退いたが、2017年3月のダイヤ改正から君津始発の「さざなみ」4号(土休日運休)として再び「さざなみ」(土日の新宿⇔館山間で運行される「新宿さざなみ」含む)の運用に入る他、日中時間帯の一部の「わかしお」の運用にも入る。

登場時から2005年12月10日のダイヤ改正までは255系での運行列車は「ビューさざなみ」「ビューわかしお」の列車愛称であった。

営業運転開始前に団体列車として使用されたことが一度あり、その際にはジェフユナイテッド市原のステッカーが前面掲出されていた。

2019年度末時点で2023年までは運用する計画とされている[5]。なお、房総特急の車両取替計画について公式発表はない。

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c d サイバネティクス協議会「鉄道サイバネ・シンポジウム論文集」第30回(1993年)論文番号403「房総特急255系電車主回路システム」305-309P記事。
  2. ^ 東洋電機製造「東洋電機技報」1994年7月号(第89号)8P。
  3. ^ a b c d 鉄道図書刊行会「鉄道ピクトリアル」2015年10月臨時増刊号鉄道車両年鑑2015年版「JR東日本255系機器更新工事」89-90P記事。
  4. ^ 日本鉄道車両機械技術協会「ROLLINGSTOCK&MACHINERY」1995年2月号研究と開発「JR東日本255系特急電車2次車の概要」10-11P記事。
  5. ^ JR東労組千葉地本 申9号「2020年3月ダイヤ改正」に関する団体交渉を行う!その② 2020年3月11日 No.93

参考文献[編集]

  • 野元浩・五十嵐猛雄・菅康孝・牧野奈緒「BOSO VIEW EXPRESS その計画から誕生まで」『鉄道ファン 1993年7月号』第387巻、交友社、1993年7月、 9 - 42頁。
  • 鉄道図書刊行会「鉄道ピクトリアル」2015年10月臨時増刊号鉄道車両年鑑2015年版「JR東日本255系機器更新工事」
  • 日本鉄道車両機械技術協会「ROLLINGSTOCK&MACHINERY」1995年2月号研究と開発「JR東日本255系特急電車2次車の概要」(JR東日本運輸車両部車両課 堀岡健司)
  • サイバネティクス協議会「鉄道サイバネ・シンポジウム論文集」第30回(1993年)論文番号403「房総特急255系電車主回路システム」305-309P
  • 東洋電機製造「東洋電機技報」1994年7月号(第89号)8P

関連項目[編集]

  • Bve trainsim - 愛称である房総ビューエクスプレスが名称の由来である。