Metal (API)

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Metal(メタル)はアップルオペレーティングシステム上でサポートされる、オーバーヘッドの小さいローレベル(low level)なコンピュータグラフィックスAPIである。Metalでは、OpenGLOpenCLに似た機能を一つのAPIに統合している。Metalはクロノス・グループによるVulkanや、マイクロソフトによるWindows向けのDirect3D 12といった、他のプラットフォームにおける類似のAPIによるパフォーマンス上の利点をmacOSiOSにもたらしている。

MetalはC++11をベースとした新しいシェーディング言語Metal Shading Language(MSL)を利用する。これはClangLLVMによって実装されている[1]。Metalはコンピュートシェーダーを導入することでGPGPUプログラミングのしやすさも向上している[注 1]

対応環境[編集]

MetalはApple A7以降を搭載したiOS機器、およびOS X El Capitan以降が動作する一部のMacコンピュータで利用可能である。OS X El Capitanに対応しているMacであっても、Metalに対応しているとは限らない。

2017年10月時点でのMetal及びMetal2対応Macコンピュータは以下の通り[2]

  • iMac(Late 2012 以降)
  • MacBook(Early 2015 以降)
  • MacBook Pro(Mid 2012 以降)
  • MacBook Air(Mid 2012 以降)
  • Mac mini(Late 2012 以降)
  • Mac Pro(Late 2013 以降)
  • Mac Pro(Mid 2010 以降)でMetalをサポートするGPU(Nvidia Kepler以降、ATI Graphics Core Next以降)を搭載したもの

MetalはWWDC 2014にて発表され、iOS 8で初めて導入された[3]

macOSでのMetalのサポート(Metal for Mac)はWWDC 2015において発表された。

パフォーマンス[編集]

Metalの登場以前は、macOSにはOpenGLが、そしてiOSにはOpenGL ESがそれぞれ提供されていたが、いずれも高度にハードウェアが抽象化されていることから性能上のオーバーヘッドが大きい。Metalは以下のような理由から、OpenGLよりも優れたパフォーマンスを期待できる[4]

  • シェーダーの事前コンパイルおよび最適化や、前もって実行されるステートの結合と評価(Validation)
  • GPUCPUの明確な同期
  • GPUとCPUで共有されるメモリ空間
  • より小さくなったドライバのオーバーヘッド

これらのうちいくつかは、GPUでコマンドを実行するために必要になるCPUのタスクを低減する。そのため、他の仕事のためにCPUを使えるようになり、全般的なパフォーマンスの向上につながる。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ OpenGL 4.3/OpenGL ES 3.1以降でもコンピュートシェーダーはサポートされるが、Metal登場時にmacOS/iOSはこれらのAPIをサポートしていなかった。

出典[編集]

  1. ^ Metal Shading Language Guide”. アップル (2014年9月17日). 2015年10月28日閲覧。
  2. ^ Metal に対応している Mac コンピュータの一覧”. アップル (2017年10月10日). 2017年11月14日閲覧。
  3. ^ 【西田宗千佳のRandomTracking】WWDC 2014 開発環境編:「機器の外の魅力」で戦う準備を進めるアップル - AV Watch
  4. ^ Unity - Unity Japan Official Blog – Metal, iOS 8 の新グラフィクス API”. Unity Technologies Japan G.K. (2014年7月4日). 2015年10月28日閲覧。

関連項目[編集]

  • Direct3D 12 - DirectX 12において導入されたローレベルAPI
  • Glide - 3dfxによるローレベルAPI
  • Mantle (API) - AMDによるローレベルAPI
  • Vulkan (API) - OpenGLの後継となるクロスプラットフォームなローレベルAPI, MoltenVKによりMetal上で動作するものが開発出来る