NFLドラフト

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NFLドラフト(NFL Draft)はアメリカプロフットボールNFLで行われているドラフト会議である。

歴代の全体1位指名選手については


概要[編集]

初日に1ラウンド、2日目に2~3ラウンド、3日目に4~7ラウンドの指名が行われる。

各ラウンドごとに指名する球団に10分間の制限時間を与え、その間に指名する選手を決定する。

NFLドラフトで指名される選手は原則として大学を卒業した選手であるが、特例として「アーリーエントリー」という「高校卒業後、3フットボールシーズンが過ぎればドラフトにエントリーしても良い」という制度がある。

ドラフトされ入団した選手はラウンドごとに定められた年俸で4年契約を結び、5年めの契約はチームが選べるオプションとなる。

歴史[編集]

NFLの戦力均衡策として考案され、1936年に第1回ドラフト会議が開催された。以降米国内外プロリーグで同様のドラフトが行われるようになった。

1965年以来ニューヨークで4月下旬に行われている。長らくマディソン・スクエア・ガーデンで行われていたが、2006年はラジオシティ・ミュージックホールに会場を移した。以降は会場持ち回りで行われており、2018年はAT&Tスタジアム、2019年はナッシュビル特設会場で行われていた。2020年は新型コロナの影響でテレビ会議での開催となった。

1983年のドラフトでは、ジョン・エルウェイ、トッド・ブラックリッジ、ジム・ケリー、トニー・イーソン、ケン・オブライエンダン・マリーノらが指名された。この年のドラフトが現在史上最高のQBドラフト組と評されている[1]

1994年より7巡までの指名となった[2]

2009年までは2日間に分けて、初日に1~3ラウンド、2日目に4~7ラウンドの指名が行われていたが、2010年以降は期間が3日間になった。

2020年は、2019新型コロナウイルスの感染拡大により開催地のラスベガスが事実上封鎖されることとなったことから、一般向けのイベントを中止のうえ前述の通りオンラインで開催されることとなった[3]

指名順位[編集]

前シーズンの成績下位球団から順番に選手を指名する完全ウェーバー方式が採用されている。まずプレーオフに進出できなかった20球団に対し、レギュラーシーズンの成績が悪かった順に優先指名権が与えられ、その後は、プレーオフで早く負けた順、そして最後にスーパーボウル優勝球団となる。プレーオフの同じラウンドで負けたチーム間では、プレーオフ進出と同様のタイブレークが適用され、成績の悪い順に優先指名権が与えられる。

だが、選手のトレードの代償としてしばしば指名権が移動する。また、Non-exclusiveフランチャイズ・タグをつけた選手やRestricted フリーエージェントの選手を失った球団には代償として指名権が譲渡される。

前述の10分間の指名時間内に、各球団のニーズに合わせてドラフト会議中に球団間で指名権のトレードが行われて指名順位が変わることもある。このことをトレードアップ(もしくはトレードダウン)と称する。各球団にはこれらの交渉を実施するためのウォールームという控室が与えられ、トレード交渉はそれぞれの部屋に詰めた球団の編成責任者同士で主に電話もしくは電子メールによって行われる。例えば2020年ドラフトにおいては、ニューヨーク・ジェッツニューイングランド・ペイトリオッツと指名権のトレードを行い、同年の3ラウンド目の指名権を1つ譲渡する見返りに、同年の4ラウンド目の指名権を二つと2021年ドラフトにおける6ラウンド目の指名権を一つ得ている。

一つの指名権が複数のチームを渡り歩くことも、一つのチームが同じラウンドで複数の指名権を得ることもよくある。例えば2020年ドラフトでは、マイアミ・ドルフィンズが1ラウンド目で三つ、2ラウンド目で二つの指名権を得て行使している。

また1999年には、当時ニューオーリンズ・セインツのヘッドコーチだったマイク・ディトカの意向で、テキサス大学のリッキー・ウィリアムズを全米5位指名するために、セインツが同順位の指名権を持っていたワシントン・レッドスキンズに対して、同年の全ドラフト指名権と翌年の1位と3位の指名権をトレードで放出する事例があった。[4]

2019年ドラフトでは、このような権利譲渡の結果、補償ドラフトを含む全254人の指名のうち半分以上の133人が譲渡された指名順によるものであった。

補償ドラフト (Compensatory Draft)[編集]

フリーエージェントで選手を失った球団に対し、Compensatoryドラフト(補償ドラフト)の指名権が与えられる。指名権は自動的に計算されて3ラウンド目の後から7ラウンド目の後まで合計で32回の指名が行われる。この補償ドラフト権利もまた、トレードの一部として譲渡の対象となる。

追加ドラフト (Supplemental Draft)[編集]

1977年から始まった制度である。4月時点で何らかの事情でNFLドラフトにエントリーしていなかった選手が対象のドラフトである。ただし指名権を得たチームは翌年の同順位の指名権を失う。レギュラーシーズンで6勝以下だったチーム、それよりは成績が良かったがプレーオフに出られなかったチーム、プレーオフに出たチームの3グループに分かれて行われる。各チームは、各ラウンドでのドラフト権を賭けて選手を指名することができ、1人の選手に対し最も上位のドラフト権を賭けたチームが権利を獲得する。権利を得られなかったチームは翌年の指名権に影響がない。

1985年にはバーニー・コーザーが希望するチームであるクリーブランド・ブラウンズに入団するためにレギュラードラフトにはエントリーせずにこの制度を利用した。コーザーの獲得にはニューヨーク・ジャイアンツミネソタ・バイキングスが興味を示していた。

1987年にはシアトル・シーホークスが1巡でブライアン・ボズワースを指名、当時の新人最高額の契約を結んだが期待はずれに終わった。またフィラデルフィア・イーグルスが4巡でクリス・カーターを指名している[5]

1989年にはダラス・カウボーイズがその年就任したジミー・ジョンソンの教え子であるスティーブ・ウォルシュを指名した。またデンバー・ブロンコスが1巡でボビー・ハンフリーを指名、彼はその年1,000ヤードラッシャーとなり、チームは第24回スーパーボウルへ出場した[5]

2009年にはワシントン・レッドスキンズがジェレミー・ジャーモンを3巡目で指名した[6]

2011年にはNCAA規定違反によりオハイオ州立大学でのプレーが不可能となったテレル・プライアーが3巡目でオークランド・レイダースに指名された[7]

2012年にはクリーブランド・ブラウンズが2巡でベイラー大学などでプレーしたジョシュ・ゴードンを指名した[8]

2013年,2014年,2016年,2017年には指名される選手はいなかった。

エクスパンジョン・ドラフト (Expansion Draft)[編集]

新チームが追加された年に行われ、新チームが他のチームから選手を得るドラフトである。

ルールの詳細はその年ごとに定められる。2002年にヒューストン・テキサンズが誕生した時の例では、各チームが5人の選択され得る選手のリストを提出し、その中からヒューストンは全体で30人、あるいは年俸総額がその年のサラリーキャップの38%である27.2百万ドルに達するまで指名が可能であった。同一チームから2選手が選択された場合、当該チームはそれ以上の選択を拒否することができた。結果として、ヒューストンは19人の選手を選択した。

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ ビッグベン、「2004年ドラフトQB組が史上最高になる」”. NFL JAPAN (2011年11月2日). 2012年11月4日閲覧。
  2. ^ NFLドラフトで チームが 優秀選手に注目”. NFL JAPAN (2000年3月30日). 2012年7月19日閲覧。
  3. ^ NFLドラフトは予定通り開催、一般向けイベントは中止”. AFP (2020年3月17日). 2020年4月18日閲覧。
  4. ^ NFLドラフトにおいて球団が保有していた全指名権をトレードで譲渡したのはこの1例だけである。
  5. ^ a b 印象に残る補足ドラフト指名トップ5”. NFL JAPAN (2012年7月4日). 2012年7月14日閲覧。
  6. ^ 補足ドラフトは1人、「第2のチャンス」を得たDEジャーモン”. NFL JAPAN (2009年7月17日). 2011年8月28日閲覧。
  7. ^ 補足ドラフト、注目QBプライアーはレイダース指名”. NFL JAPAN (2011年8月23日). 2011年8月28日閲覧。
  8. ^ ブラウンズ、補足ドラフトで注目WRゴードンを指名”. NFL JAPAN (2012年7月13日). 2012年7月13日閲覧。