V型10気筒
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V型10気筒(ブイがたじっきとう)はレシプロエンジン等のシリンダー配列形式の一つで、シリンダーが片バンクに5気筒ずつV字に配置されている形式を指す。当記事では専らピストン式内燃機関のそれについて述べる。V10と略されることが多い。トラック・バスやフォーミュラカーに採用されている。F1では2000年から2005年までF1レギュレーションによりV10が採用されていたが、2006年からはV8が採用されることとなった。(ただし、スクーデリア・トロ・ロッソに関しては2006年も、プライベーターであるという理由によって、エンジンは前年度にミナルディが使用していたコスワース製のV10・3リッターエンジンにリストリクター(吸気制限装置)を装着し、さらに最高回転数を制限されたものを使用した。詳しくは、スクーデリア・トロ・ロッソを参照されたい。)
バンク角[編集]
4ストロークのV型10気筒エンジンで、左右のバンクでクランクピンを共有した場合に燃焼間隔が等しくなるバンク角は、72°である。しかしながら、必ずしもこのバンク角が採用されるとは限らない。
F1においては初期には72°が採用されていたが、低重心化等のために90°が採用されることが多くなった。中にはルノーが、旧ベネトン・フォーミュラ時代のB201からR23にかけて採用した、111°という広角バンクの例もある。
市販車でもV10エンジンを搭載した自動車はあるが、各エンジンのバンク角は以下の通りである。
- 90°:BMW・M5、BMW・M6、ランボルギーニ・ガヤルド
- 72°:レクサス・LFA
- 68°:ポルシェ・カレラGT
レース[編集]
本田技研工業は1982年にF1用エンジンとしてV10ターボエンジンを試作したが、実戦には投入されなかった。レギュレーションが自然吸気エンジンのみとなった1989年にホンダとルノーがV10エンジンの使用を開始した。1990年にはスポーツカー世界選手権用にプジョーが製作したプジョー・905にV10エンジンが採用された。1991年に開発されたトヨタTS010にもV10NAエンジンが採用されている。
搭載車種[編集]
- いすゞ・ニューパワー
- いすゞ・810
- いすゞ・ギガ
- いすゞ・スーパークルーザー
- いすゞ・ガーラ
- 三菱ふそう・Tシリーズ(トラクターの一部)
- 三菱ふそう・Fシリーズ(トラクターの一部)
- 三菱ふそう・ザ・グレート(トラクターの一部)
- 三菱ふそう・スーパーグレート(トラクターの一部)
- 日産ディーゼル・レゾナ
- 日産ディーゼル・ビッグサム
- 日産ディーゼル・クレーンキャリアKG66W
- 日産ディーゼル・クレーンキャリアKL67Y
- 日産ディーゼル・スペースウィング
- 日産ディーゼル・スペースドリーム
- ヨンケーレ・モナコ
- 日野・HE
- 日野・HH
- 日野・スーパードルフィン
- 日野・スーパードルフィンプロフィア
- ジオット・キャスピタ - バブル期に計画された国産スーパーカー。市販化は実現されなかった。
- ダッジ・バイパー
- ダッジ・ラム
- フォルクスワーゲン・フェートン、トゥアレグ(ディーゼルエンジン)
- BMW・M5
- BMW・M6
- アウディR8 5.2FSI(市販車)
- アウディ・S8
- アウディ・S6
- アウディ・RS6
- レクサス・LFA(1LR-GUE)
- ランボルギーニ・ガヤルド
- ポルシェ・カレラGT
- フォード・エクスカージョン
- ランボルギーニ・ウラカン
- ランボルギーニ・セスト・エレメント
その他[編集]
関連項目[編集]
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