Waterfox

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Waterfox
Waterfox Logo (redesigned 2015).png
Waterfox 55.2.2 screenshot.png
Windows 10上のWaterfox version 55.2.2のスクリーンショット
オリジナル作者 Alex Kontos
スローガン The Lightning Fast Browser
初公開 2011年3月27日 (2011-03-27)
最新正式版 2020.04 / 2020年4月4日(29日前) (2020-04-04
開発状況 開発継続中
OS Microsoft Windows, macOS, Linux
エンジン Gecko
種類 x86-64
種類 ウェブブラウザ
ライセンス Mozilla Public License
ウェブサイト www.waterfox.net

Waterfox(ウォーターフォックス)は、Mozilla Firefoxをベースとした64ビットWindowsmacOSLinux用のオープンソースブラウザClangを用い[1]ストリーミングSIMD拡張命令 3及びAdvanced Vector Extensionsを利用するようにコンパイルされている。Firefoxのアドオン、64bit NPAPIプラグインと高い互換性がある[2]

沿革[編集]

  • 2011年3月27日[3] - 英国の16歳の学生Alex KontosMozillaオープンソースプラットフォームをベースに64ビットWindows環境に最適化したブラウザを公開。
  • 2012年8月29日 - Windowsポータブル版公開(バージョン15.0)[4]
  • 2014年7月8日 - 言語パック導入(バージョン30.0)
  • 2014年11月10日 - Mac OS X版公開(バージョン33.0.2)。
  • 2016年11月20日 - Linux版公開(バージョン50.0)。
  • 2017年11月30日 - バージョン56リリース以降、Firefox ESRベースのメンテナンスへ移行。
  • 2019年5月8日 - 次期メジャーリリースのテスト版”Waterfox Alpha”(バージョン68.0a1)公開。
  • 2019年10月15日”Waterfox Classic”と”Waterfox Current”の2ブランチでのリリース開始。
  • 2019年12月 - カリフォルニア州ベニスで設立された広告企業System1に買収された(公表は2020年2月[5])。

特徴[編集]

高速ブラウジング[編集]

WaterfoxはGeckoエンジン系のFirefox派生ブラウザの中で、公開当時より64ビット版OSに特化した開発を行い、「最速の64ビットブラウザ」と称していた[6]。Waterfoxが誕生したのはWindows 7がリリースされてから数年後、まだ32ビットプログラムが主流の頃で、64ビットまでサポートするものは少なく、開発者のAlex Kontosはハードウェアを活用しきれていないと感じていた[7]。彼は既存のブラウザが「スポーツカーを2速ギアのまま運転している」ように遅すぎると感じ[8]、1カ月間でWaterfoxのコードを書き、Overclock.netのフォーラム[1]で公開した。すると1年後には、10万を超えるダウンロードを記録した[7]

TechRepublicが2012年にPeacekeeper browser benchmark testsを用いて行ったベンチマーク[9]ではFirefoxの方が良い結果を示したが、2014年にSoftpediaが行ったテストではWaterfoxの方が若干上回った[10]

ユーザー主義[編集]

2015年にFirefox64ビット版が公開されてからは、速さをアピールするよりも、プライバシー保護やカスタマイズ性といったユーザビリティで本家との差別化を図っている。

  • ブックマーキングサービスのPocketや、新規タブのスポンサータイルの削除。
  • ブラウザ内でのトラッキングテレメトリ情報の収集などの機能を削除。アップデート関連(バージョン・OS)以外の情報を収集しない。Cookie拒否をオプション選択可能。
  • JavaSilverlightを含めた64ビットNPAPIプラグインや、署名のない拡張機能をサポート。

Firefoxでは2017年11月リリースのバージョン57(Quantum)以降、WebExtensionsに対応しない旧型拡張機能(レガシーアドオン)を廃止したが、Waterfoxはレガシーアドオンへの対応を継続している。Waterfox 56以降は本家のバージョンアップに追随せず、Firefox ESR 52(法人向け延長サポート版)をもとにセキュリティ更新などを維持しながら、新しいブラウザの開発を行う方針である[11]。この結果、カスタマイズ環境の維持を望むFirefoxユーザーには、WaterfoxやPale Moonが代替ブラウザの候補になった[12]。なお、Firefox公式サイトで配布が終了したレガシーアドオンは、私設アーカイブサイト”Classic Add-ons Archive”から入手可能となっている[13]

展望[編集]

2019年5月、Firefox 68 Nightlyベースに開発された次世代Waterfoxのアルファ版であるバージョン68.0a1をリリース。Mozilla Thunderbirdのチームが開発したコードを使用することで、クラシックな拡張機能をある程度サポートするとされた[14]

2019年10月、バージョン2019.10より番号表記を年・月方式に改めると同時に、今後はふたつのブランチでリリースすることを発表した。

  • Waterfox Classic(ウォーターフォックス・クラシック)
レガシーブランチ。WebExtensionsに対応しないNPAPIプラグインやBootstrap拡張機能をサポートし[15]、セキュリティ更新やバグの修正を続ける[16]。このブランチをやめる予定はない[16]
  • Waterfox Current(ウォーターフォックス・カレント)
最新のウェブと完全にカスタマイズ性のあるブラウザへアップデートすることを目指す[16]。すべてのWebExtensionsと幾つかの拡張機能を利用できる[15]。ポータブル版なし、日本語未対応(バージョン2020.02時点)。

Waterfoxプロジェクトは開発者のAlex Kontosが寄付をもとに個人レベルで続けてきたが[3]、System1の買収後は同社に加入し、専属の開発チームを組んで「ビッグブラウザを代替可能」なポジションを目指す[17]。広告会社の影響を懸念する声に対し、Kontosは精査の上でマッチしたパートナーであり、Waterfoxの成長を助けてくれる分別のある人々だと述べている[17]。System1は先に「世界で最もプライベートな検索エンジン」を謳うStartpageを傘下に収めている。

システム要件[編集]

Windows macOS Linux
OS 7以降 OS X 10.9以降(Current)
OS X 10.7以降(Classic)
GLib 2.28
CPU AMD Athlon 64Intel Pentium 4
またはSSE3をサポートする新しいプロセッサ
Intel x86 プロセッサ AMD Athlon 64、Intel Pentium 4
またはSSE3をサポートする新しいプロセッサ
RAM 512 MB以上
ハードディスクの空き容量 200 MB以上

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Waterfox 50.1.0 Release (Windows, Mac & Linux)”. 2017年7月22日閲覧。
  2. ^ Waterfox”. 2016年6月8日閲覧。
  3. ^ a b Alex Kontos (2015年5月12日). “4 Year Anniversary Waterfox Charity and Storm Search”. Waterfox.net. 2020年2月21日閲覧。
  4. ^ Waterfox 15 - ウェイバックマシン(2012年10月15日アーカイブ分)
  5. ^ 樽井秀人 (2020年2月17日). “レガシーアドオン対応を続けるFirefox派生ブラウザー「Waterfox」が広告会社System1に買収される”. 窓の杜. 2020年2月17日閲覧。
  6. ^ 最速を称する64ビット版ウェブブラウザ「Waterfox」”. GIGAZINE. OSA (2015年11月20日). 2020年2月22日閲覧。
  7. ^ a b Michael Sawh (2015年6月15日). “From bedroom coder to building a Google search engine rival”. Trusted Reviews. 2020年2月28日閲覧。
  8. ^ Rebecca Burn-Callander (2015年5月11日). “New search engine from Waterfox founder aims to take a punch at Google”. The Telegraph. https://www.telegraph.co.uk/finance/businessclub/technology/11598207/New-search-engine-from-Waterfox-founder-aims-to-take-a-punch-at-Google.html 2020年2月21日閲覧。 
  9. ^ Nawrocki, Matthew (2012年4月20日). “Review: Firefox's unofficial 64-bit variant Waterfox”. TechRepublic. 2013年7月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年6月8日閲覧。
  10. ^ Opris, Elena (2014年6月6日). “Waterfox 28 Review – A 64-Bit Version of Firefox”. Softpedia. 2016年6月8日閲覧。
  11. ^ 樽井秀人 (2017年10月5日). “レガシーアドオン対応を継続するFirefox派生ブラウザー「Waterfox」の今後が明らかに”. 窓の杜. 2017年10月5日閲覧。
  12. ^ 樽井秀人 (2017年11月20日). “「Firefox Quantum」にしたらお気に入りのアドオンが動かない……どうしよう?”. 窓の杜. 2020年2月26日閲覧。
  13. ^ Classic Add-ons Archive”. k本的に無料ソフト・フリーソフト. 2020年2月25日閲覧。
  14. ^ Martin Brinkmann (2019年5月9日). “Waterfox 68 Alpha is out”. ghacks.net. 2020年2月25日閲覧。
  15. ^ a b DOWNROAD”. waterfox.net (2020年). 2020年2月26日閲覧。
  16. ^ a b c Waterfox 2019.10 Release”. Waterfox.net (2019年10月15日). 2020年2月25日閲覧。
  17. ^ a b Alex Kontos (2020年2月14日). “Waterfox has joined System1”. waterfox.net. 2020年2月26日閲覧。