X線分光撮像衛星

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X線分光撮像衛星[1][2]
XRISM[1][2]
所属 宇宙科学研究所 (ISAS)/宇宙航空研究開発機構 (JAXA)
主製造業者 NECスペーステクノロジー[2]
公式ページ XRISM X線分光撮像衛星|JAXA
目的 宇宙の構造形成と銀河団の進化、宇宙の物質循環の歴史、宇宙のエネルギー輸送と循環の研究
超高分解能X 線分光による新しいサイエンスの開拓
設計寿命 3年[2]
打上げ機 H-IIA[3][4]
打上げ日時 2021年度予定[3][5]
物理的特長
最大寸法 7.9m x 9.2m x 3.1m[2]
質量 2.3トン[2]
軌道要素
周回対象 地球
軌道 円軌道[2]
高度 (h) 550 ± 50 km[2]
軌道傾斜角 (i) 31度[2]
観測機器[2]
Resolve 軟X線分光検出器
soft X-ray spectrometer (SXS)
Xtend 軟X線撮像検出器
soft X-ray imager (SXI)
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X線分光撮像衛星[1][2](えっくすせんぶんこうさつぞうえいせい)、XRISM[1][2](クリズム[6]、X-Ray Imaging and Spectroscopy Mission)は、2016年に姿勢制御系の不具合のため短期間で運用終了したX線天文衛星ひとみ」の代替機として、宇宙航空研究開発機構 (JAXA) 宇宙科学研究所 (ISAS) が2021年度打上げを目標に開発中のX線天文衛星[2]。「ひとみ」と同じく、アメリカ航空宇宙局 (NASA)、欧州宇宙機関 (ESA) との国際協力ミッションである[7]。特にNASAではJAXA主導の下に行うジョイント・プロジェクトとして位置付けしている[7]

概要[編集]

プリプロジェクトの段階では「X線天文衛星代替機 (X-ray Astronomy Recovery Mission: XARM)」という仮称で呼ばれていた[8]が、プロジェクト移行時に「X線分光撮像衛星」と変更された[2]。他の日本の人工衛星と同様に名称を公募するかについては未定[9]

「ひとみ」に搭載されていた硬X線関連や軟ガンマ線の観測機器は搭載されず、軟X線に絞った構成となっている[9]

観測機器[編集]

2台の軟X線反射鏡の焦点面に、それぞれX線マイクロカロリメータ分光撮像器 (Resolve) と広視野のX線CCDカメラ (Xtend) を搭載する[7]。観測機器のうち、Resolveは、NASA、ESA、オランダ宇宙研究機関 (SRON) が開発する[2]

打ち上げ[編集]

2021年度中に、小型月着陸実証機SLIMを相乗りさせてH-IIAロケットで打ち上げることが予定されていた[10][注 1]が、2020年、以下の理由により打ち上げを2022年度に延期することとなった[11]

スラスタ噴射異常発生時の対策

XRISMは、「ひとみ」で発生した異常に対しては様々な対策が講じられており、直接の原因となったスラスタ噴射異常についても異常発生を防止する対策が講じられていた[11]。しかし、スラスタ噴射異常が発生した場合の対策を講じるようNASAからの要請があったため、「設計範囲内では想定できない要因」によってスラスタ噴射異常が生じた場合の対策として、衛星の回転が閾値を超えた場合はスラスタ噴射を停止する機能を追加することで衛星のロバスト性と信頼性の向上を目指すこととなった[11]

ミッション機器の不明事象

ミッション機器の試験中に不明事象が生じ、原因究明と対策検討に時間を要している[11]

ミッションの目的[編集]

銀河団の圧力のバランスがどのように釣り合っているかを調べて銀河団の構造形成の歴史を調べること,宇宙の化学組成の進化を調べること,ブラックホール周辺の物質の動きを調べることで一般相対論的時空構造を解明することの3点を主な目的としている。[12]

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

  1. ^ ひとみの不具合はちょうど小型月着陸実証機SLIMがプロジェクトに移行した時期と重なったため、SLIMも運用計画が見直された。その結果、H-IIAでXRISMに相乗りして打ち上げるほうが探査機重量を増やせるなどの利点があることから、相乗りが妥当と判断された[10]

出典[編集]

  1. ^ a b c d XRISM X線分光撮像衛星|JAXA”. ISAS/JAXA. 2019年12月11日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o “X線分光撮像衛星(XRISM) プロジェクト移行審査の結果について” (PDF) (プレスリリース), ISAS/JAXA, (2018年8月2日), https://www.jaxa.jp/press/2018/08/files/20180802_XRISM.pdf 2018年12月8日閲覧。 
  3. ^ a b 日本の打ち上げ予定”. 宇宙技術開発. 2019年12月11日閲覧。
  4. ^ X-ray Imaging and Spectroscopy Mission (XRISM)”. ゴダード宇宙センター. 2018年12月8日閲覧。
  5. ^ 國中均 (2019年10月25日). “宇宙科学・探査および国際宇宙探査に関する取り組み状況および今後の進め方について”. 宇宙航空研究開発機構. 2019年12月11日閲覧。
  6. ^ 平成30年7月理事長定例記者会見”. 宇宙航空研究開発機構. 2018年12月8日閲覧。
  7. ^ a b c 宇宙科学技術ロードマップ(2/2)”. ISAS/JAXA (2019年3月29日). 2019年12月11日閲覧。
  8. ^ 田代信、前島弘則、戸田謙一[他], 「X線天文衛星代替機の現状」 『日本物理学会講演概要集』 2018年 73.1巻, セッションID 25pK307-8, p.494, doi:10.11316/jpsgaiyo.73.1.0_494
  9. ^ a b 宇宙開発利用部会(第43回) 議事録:文部科学省”. 文部科学省. 2018年12月8日閲覧。
  10. ^ a b “小型月着陸実証機(SLIM)の画見直しについて” (PDF) (プレスリリース), ISAS/JAXA, (2018年8月2日), https://www.jaxa.jp/press/2018/08/files/20180802_SLIM.pdf 2019年11月7日閲覧。 
  11. ^ a b c d 國中均 (2020-05-19). “資料56-6 宇宙科学ミッション打上げ計画について”. 第56回宇宙開発利用部会. 宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所. https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/content/20200519-mxt_uchukai01-000007304_16.pdf 2020年5月20日閲覧。 
  12. ^ 取り組む謎│XRISM X線分光撮像衛星│JAXA 宇宙科学研究所” (日本語). xrism.isas.jaxa.jp. 2020年6月22日閲覧。